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Web 3.0がもたらす教育業界の変化

最近、スタートアップ界隈やテック業界でWeb3.0の話題に溢れています。Web 3.0の概要については以下の記事がざっくり掴むにはわかりやすいのでご覧ください。今回はあくまでWeb3.0世界における教育業界を考えてみたいと思います。

(元gumi代表取締役CEOでThirdverse社CEOの国光さんのポッドキャスト)

まだまだWeb3.0の定義は揺らいでいる部分もありますが、いよいよWeb3.0が多くの場面で語られるようになってきました。※Web3とも表現されることもありますが、今回はWeb3.0と表記します。

こういう新しい波というのは大抵の場合、一部の界隈で盛り上がりを見せて、それをピークアウトするとまた減衰していくというのが通説ですが、今回は、いつものそれとはちょっと違うという認識を個人的には持っています。

理由は様々あるのですが、すでに多額の資本が動いており、バーチャル空間での街も急激に増え、そこに大企業はこぞって土地の買い占めをしているほどです。すでにビジネスが動いているというのは非常に大きいポイントです。

また、なぜ私たちにも身近になってきているのかを簡単に共有すると、ブロックチェーンの技術がこれまではBitcoinをはじめとするCrypt Currency (仮想通貨)を中心に台頭し、主に通貨としての役割がメインでした。イーサリアムの出現により、汎用性の高いものになり、さまざまな領域に開かれたものになりました。

これまではOS(Operating System)的にブロックチェーンのベースを開発してきました。これは多くの人が実装可能というわけではなく、高度なエンジニアリング技術を持つ開発者のみが参与可能でした。

しかし、そのフェーズがいよいよ落ち着きを見せ、そのOSの上に入ってくる様々なソフトウェアが開発可能なフェーズに突入しようとしています。そしてやがて、私たちエンドユーザー向けのサービスへと落ちてきており、そのうちtoC向けの全員に開かれたサービスをブロックチェーンを使った何かが出現する未来が近づいています。そして、すでに一部では実現しています。

この感覚は、スマホが台頭してきて、iOSが登場し、無料でiOS上にゲームアプリやSNS、ニュースなどのアプリが次々と出現し、ユーザーは利用し始める十数年前の感覚に似ています。

そして、そこに登場したのは先月発表した元Facebook社(現Meta社)のMetaverseです。元Facebook社(現Meta社)は先日の決算で、FacebookのDAU (Daily Active User)が前Qよりも減少したという歴史的事件が起きました。これを受けてMeta社は躍起になってメタバースの開発にシフトチェンジをすることでしょう。

それ以外にもNFT(non-fungible token、非代替性トークン) を活用したECなども見受けられます。

これは間違いなく教育業界にもそのうち実装されます。

とはいえ、現在の教育業界に目を向けるとタブレットPC端末が昨年4月に全国的に導入されたばかりです。この教育業界の技術革新へのスピード感はどういうものか、、、というのは考えものかもしれませんが、実際に今の生徒が社会で活躍する年は2035年以降。

この社会は間違いなくWeb 3.0の世界になっている時代でありますし、その社会を妄想し、少しでも現在の教育に実装する必要があります。

また、2035年以降の学校のあり方はどのようなものが考えられるか。

私はちょうど1年前に以下の投稿にて教育の未来予想図をしました。

この未来予想図は1年の時を経て概ね間違っていないなと再認識したのと、むしろさらに一つ一つの解像度が上がってきている感覚があります。

1年前にはまだこれほどまでに熱を帯びていなかったNFT (Non fungible token)をはじめとするWeb3.0社会における教育の形を今日は書いていきたいと思います。

1. VR空間(メターバス)上での学習可能性

こちらは昨年のブログにも記述した内容です。リアリティ空間の教育に加えて、バーチャル空間(メタバース)の教育がメインストリームになるかもしれません。

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メタバース上での教育には以下のメリットがあります。

1.  ZoomやMeetなどの2D空間では再現できないリアルな体験学習 (修学旅行、国際交流、校内打ち合わせなど)

2. 新しい才能の発揮場所の創出 (これまでの教科学習以外に、バーチャル空間ならではのクリエイティブな才能が発揮できる)

3. アバターとしての自分を表現できる (容姿や性別等も関係なく、フラットに活動ができる)

4. 学校選択の自由 (国内外問わず、自分の興味のある世界の学校やカリキュラムに参加することができる)

他にも今後もう少し私自身もWeb3.0の世界が想像できるようになればもっといろんな可能性について言及できるのですが、パッと思いついた感じだとこのような点があげられるでしょう。

コロナ禍においては物理的な移動ができず、国外での修学旅行や留学等が制限されています。これは非常に大きな機会損失です。各所Zoom等で必死にオンラインで擬似体験をと東奔西走していますが、やはり2Dで体験できることに限界はあります。メタバース空間であれば実際に現地に行く感覚に非常に近い体験ができます。

また、NFTの本でも紹介されていましたが、これからはデジタル建築家なんかも必要な職業としてあがってくるなんて話もありますし、昨年に公開された映画、「竜とそばかすの姫」にもリアル世界ではパッとしない女子高生が、バーチャル空間ではアイドル、みたいな設定で物語が描かれています。つまり、リアル世界で輝ける能力もあれば、バーチャル世界で輝ける能力もあります。

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自分の居心地の良さを感じる場所が多種多様になっていくのは良いことかもしれません。

そして、物理的な空間を伴わないため、学校選択の自由というのも非常に興味深いポイントでしょうか。最近ではオルタナティブスクールやN校といった従来の典型的な日本の学校とは別のオプションが出来つつあります。しかし、やはりまだまだ海外の学校に行く、という選択肢は金銭的であったり、未知の世界のような感覚があり、ハードルが高いです。

一方でメタバース空間であれば、世界単位で良い教育を選ぶ空間が存在していますので、どこに国籍を置こうが関係なく、生徒や保護者が求める教育に参加することができます。

2. 教材や生徒の成果物、コンテンツのNFT化

現在様々な企業では、デジタル教材の開発が進んでいます。それにはGIGAスクール構想により多くの児童生徒が1人1台のタブレットPCを持つ時代の到来が背景にあります。

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一方で現状各出版社やコンテンツメーカーが頭を悩ませるのは、いかにデジタルコンテンツを無料で不正利用されないか、ということです。オンラインの教材はシェアラブルなので、一人が購入して他の先生にコンテンツを共有するなんてこともあります。

コンテンツメーカーはそのようなリスクからなかなか厳しいレギュレーションを設けたり、オンラインプラットフォーム用のコンテンツ開発が進まなかったりします。

その反動でどこもかしこもSaaS(Software as a Service)系のID管理型でのコンテンツを作成することにより、児童生徒側はID/パスワード地獄に追われています。

このような背景下において、デジタルコンテンツをNFT化するで、そのデジタルコンテンツが誰のものなのか(所有権)がデジタル空間で明確にわかるわけですので、複製されたり転用されたりといったリスクは無くなります。

これによって多くの出版社やコンテンツメーカーはより教材をデジタル空間で生みやすくなると思います。

3. セキュリティの強化と校務のイノベーション

現在は定期的に個人情報の流出などがニュースで流れています。どんなに強固なセキュリティを敷いても脆弱性は存在しています。そして、ハッキングした者の特定やデータ取得元の特定が困難であったりします。

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Web3.0の社会では、Decentralized (分散型)された空間ですので、中央集権的に一つの企業や一つの政府が管理したデータというわけではなく、分散型で透明性が担保された空間です。誰がどのタイミングで所有し、誰がどこで手渡したか、全てが追跡可能です。これをよく「Trustless」な空間といったりします。追跡可能にする、トレーサビリティの担保はセキュリティの強化につながるため、生徒の成績管理やテストの結果の取り扱いなど、センシティブな情報を取り扱う教育業界においては非常に重要な技術になります。

これによって校務においてより安全に運用することができます。まだまだ残念ながらそれらのリスクによって、ガチガチの規制を設けている教育委員会や学校があります。セキュリティの担保ができる一方で、YouTubeをみられないようにする、検索に制限をかけることで幅広いリサーチができなくなる、など学習面においてもマイナスの影響を及ぼす場合があります。そのような安全性が担保されれば、より学びにとって必要なことが何か、だけに注力し、校務に必要なシステム、授業に必要なシステムを純粋に採用することができます。

終わりに

いかがでしたでしょうか。まだまだ私自身もWeb3.0について、ブロックチェーンについて、NFTについて、勉強中の身ではあるので間違った解釈の仕方もあるかもしれません。

とはいえ、5年後、10年後、20年後には間違いなくリアルの世界とメタバースの世界の二つの世界で語られる点が増えていきます。そしてそれは今の児童生徒が20代、30代になる頃です。

彼らが社会人になるときに私たち教育に携わるものは何ができるか。

結局は一人一人が学び続け、未来を想像しデザインした上で、今を全力で生きることなんだと思います。

明日の幸せをみなで創造していきたいですね。

それでは!







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