【前編】PPEってどんな学問?日本語IB校からのイギリス大学進学
こんにちは!モアエデュケーションのMakiです。
留学生対談シリーズ第二弾、現役の英国大学生に留学のあれこれを聞いていきたいと思います!
今回のゲスト、Rankoさんは高校を日本で卒業してから、柳井正財団の奨学金でイギリスの名門大学UCLに正規留学をされています。
日本の高校からイギリスの大学に行くプロセスと奨学金申請の体験談をお伺いしたいと思います!
IB校からイギリス大学進学を決めた理由
留学に行ったきっかけは?
あまり1つのきっかけがあった訳じゃなくて、小学生の時からなぜか親とか祖父母が「海外の大学行くのも面白いよね」と言っていて。多分あまり本気で言った訳ではないと思うんですけど、そういうことを聞かされてきました。
特に親も海外経験がすごい長くあるということではなく、母が大学生の時に数ヶ月間だけ留学に行っていたことがあって。もしかしたら祖父母はそれを受けて孫にも行ってほしいと思ったのかもしれないです。
そういうこともあって、すごい漠然と小学生の高学年頃から海外の大学に行くのも面白そうだなっていう風に思い始めました。
それで入学した中高一貫校が、海外との交流とか英語の教育に力を入れてるような学校で。自然と海外の大学に行くのもありえないことじゃないんだというか、選択肢の1つではあるんだなっていうことを実感し始めて、実際に行きたい気持ちが募っていった感じです。
一条校のIBカリキュラム(国際バカロレア)の特徴
IB校に入学した理由は?
学校が私の家から徒歩10分ぐらいのところにあって、元々高校だけだったのが私が入る2、3年前に中高一貫になって、IBを始めたという学校でした。
ちょうど小学校4、5年生の時に中高一貫になるっていう話を聞いた時に、近いし海外の大学に行きやすいという噂だからちょっと受けてみようかなと思ったのが大きいです。
そこまですごいモチベーションがあったいうよりか近いし良い感じだから受けてみようっていう感じでした。もしそれが1時間ぐらい遠いところにあったらUCLにいなかったかも笑
日本語IBはどんなカリキュラム?
中学から高校1年生まではMYPというプログラムで、高2〜高3でDP(ディプロマプログラム)か普通の日本語のコースに分かれます。
私の学校は日本語IBと言って、MYPは全員日本語で、DPでは2教科だけ英語で取って、残りの教科は授業も試験も日本語で受けます。
日本政府がIB教育を日本に広めたいから、英語だけじゃなくて日本語も使えるようなプログラムを許可したらしいです。インターナショナルスクールだと全部英語だと思うんですけど、一条校は日本語IBも多いですね。
英語で受ける科目はEnglish Bと、もう1個は選択できます。私の学校の場合は選択肢はあまりなくて、数学かビジュアルアート、物理のどれか1個から選択します。私は数学を選択しました。
IBを選ばない人は日本の大学受験の勉強がメインになるんですが、そっちの方が全然人は多いです。IBを選択していた人は私の代は特に少なくて、6人だけでした。上の代も下の代も大体十数人で、あまり数はいなかったです。
人が少ないので教科によってはマンツーマンのもあったりして。公立の学校だったので、先生たちの中にはIBの資格を持っている人と持っていない人がいて、持っている人がIB以外のコースの授業も教えながらIBのコースも兼任していました。
それがそんなこともなくて、私の代だと私含めて海外の進路を選択したのは2人だけです。上と下の代を見ていても、過半数は日本の大学に行って、海外の大学人は行く人は3人、多くて4人です。
イギリス大学進学を決断させたPPEとの出会い
留学の情報収集 – インターネットと先輩を頼った
まず1番頼ったのはインターネットで、RedditとThe Student Roomで情報収集しました。
Redditは世界中の掲示版というか、スレッドやフォーラムみたいなもので、The Student Roomはイギリス人学生向けの掲示板です。その2つを駆使して、どういうプロセスでUCAS*の選考が進んでいくのかなどをひたすら調べまくりました。
大学の評価や評判も、普通の記事を見ても肌感覚がわからなかったので、そういう個人個人の学生が聞いているような、Yahoo知恵袋的なところでひたすら調べました。いろんな情報が錯綜してはいるのですが、そういうところで感覚を掴みながらというのが一番大きかったです。
1人1個上の先輩がイギリスの大学に行っていたので、その先輩にも少し聞きながらオンラインも駆使してという感じでした。
*UCAS=イギリスの大学出願ポータル
イギリスの大学を選んだ理由
実はイギリスは最初全然考えていなかったんです。高校の1、2年生くらいまで漠然と考えていたのはオーストラリアとかカナダで、特に理由はないんですけど笑
アメリカは学校がありすぎてわからないし、勝手なイメージで学費高そうみたいなのがあって。よく考えたら色々奨学金もあったんですけど、その時は高そうっていうイメージと出願がすごい面倒臭そうだと思っていました。
なのでIBを使って行きやすいと言われているオーストラリアやカナダを考えていました。
イギリスは正直あまりイメージがなかったというか、天気悪いくらいしか思いつかなくて、あんまり考えてなかったです。
ただ、高校2年生の時にまだ専攻が決まっていなかった中で、ネットサーフィンをしている時に私が今学んでいるPPEの教科が存在するというのをたまたま知って、その時にすごいビビっときたんです。これすごい面白そうだなって思って。
それがイギリスの大学で主に学ばれていて、オックスフォード大学が発祥なので、そういうのもあってイギリスも面白そうだなって思いました。そこからはイギリスに絞って調べていきました。
PPEとは?IB教育との相性と学問の魅力
IBで勉強する内容 – A-levelとの違い
PPEは文系の専攻ですが、IBでは理系と文系どちらも取らないといけないです。サイエンス系やMaths(数学)は全員取りますし、History(歴史)などの社会科学系の教科も全員取ります。
例えば、数学でハイヤーレベル(応用)とスタンダードレベル(基礎)どちらを取るかだったり、サイエンス教科を何個取ってハイヤーとスタンダードどちらにするか、というところで若干理系っぽい選択の仕方と文系っぽい選択の仕方はあると思います。
また、IBには教科の授業に加えて、Theory of Knowledge(TOK)、Extended Essay(課題論文)、CAS(創造性・活動・奉仕)という必須のコアプログラムがあります。
教科ごとに、試験以外で提出する評価に繋がるエッセイが1つずつあります。
教科によりますが、自分でリサーチしたり実験をしたりして、それをまとめて考察をするというのが一通りの流れになっています。それも私の学校では日本語の教科は日本語で書いていました。
というのもあって、英語でアカデミックな論文やエッセイを書いたことがあまりなくて。数学のエッセイは英語で書きましたが、数学メインなのでそれほど高度なアカデミックという感じにはならないですよね。
IBでちゃんと大学に受かったけど、実際の授業になってみるとアカデミックライティングの出来なさを感じることが特に1学期目にすごくあって、それは苦労しました。特にPPEだとエッセイをたくさん書くので絶望していたのですが、なんとかなりました笑
Extended Essay(課題論文) – PPEに繋がるテーマ
Extended Essay(課題論文)は、取っている教科から1つ選んで書きます。私はHistory(歴史)を選びました。
授業で扱う内容としては主に世界史で、第1次世界大戦の前後から第2次世界大戦後くらいを勉強しました。エッセイで書くテーマは授業で扱っていないものでも大丈夫で、私は特に日本史に絞って書きました。
私がエッセイテーマとして選んだのは、日本で大正時代に男性に対して普通選挙権が与えられた、その法律の成立についてです。どういう要因で成立に至ったのかというところを、民衆の社会運動や政党側の思惑など、いろんな観点から分析していきました。
選挙というところもそうですし、1つの法律が通るまでにどういった世論の変化や、どういう経緯で何か1つの社会的な政策が変わるのかというところに繋がっていると思います。そういったところはPPEの中でも特にPositics(政治)がそうだと思いますし、元をたどればPolitical Philosophy(政治哲学)にも繋がってくるのかなと思います。
他の国にもあるところはありますが、ほぼ全て大学にある国はイギリスだけなのかなと思います。
イギリス大学受験: 奨学金と大学選びのポイント
イギリス大学出願準備はいつ始めた?
入学する前年の8、9月頃に始めました。でもIBの試験が11月にあり、その直前だったというのもありましたし、奨学金の申請や日本の大学も1つ出したので、その準備に追われていました。
何かしないとやばいという気持ちはあったので、とりあえずPersonal Statement*はすごく適当なドラフトを完成させて、試験の後まで眠らせておきました。
IBは年に2回、5月の試験と11月の試験があって、日本の一条校のIBだったら11月試験がメインですね。世界的に見ても受ける人数は11月の方が圧倒的に少ないんですけど、オーストラリアとかの学校も新学期が1月、2月だから日本と同じで11月に試験があります。
UCASのアプリケーションは試験後の12月に提出しました。IBの結果は1月の上旬に届いたので、最終スコアがわからないまま出したので、Predicted score(予測スコア)で出しました。
試験終わった直後に、まだ自分のスコアがどれぐらいになるのか分からずに出願したというのもあって、全落ちのリスクを回避するために受かりそうな大学を多めに出しました。
*オファー=条件付き合格。A-levelやIBのどの科目で〇〇グレード/スコア以上取らないといけないなど。
大学はどうやって選んだ?
ネットで調べていたらPPEのコースがある大学リストがあって、まずそれをスプレッドシートに全部書き出しました。
次に、IBで求められてる点数順に並べ替えて、その隣に英語の要件や世界ランキング、学費、学生の満足度ランキングを書いて、あと奨学金の有無も書きました。日本の奨学金を貰えるとは予想していなかったので、イギリスの大学で奨学金を出しているところも少数ですがあったので、それも含めました。
あとは柳内正財団と笹川平和財団の奨学金も受けるつもりではいたので、その対象リストに入っている大学もいくつか考えました。
そして、その中からすごくレベルの低い大学は消して、IBの試験であまり点が取れなかった時用のちょっと
低めの大学と、受かるかわからないけどみたいな大学と、塩梅を考えながら選びました。
イギリスの出願では5校を選びます。UCLは日本人がもらえる奨学金はなかったので、ちょっと賭けで日本の奨学金に受かったら行きたいなという思いでピックアップしました。日本の奨学金を取れないと思っていたので、残りの4校は大学に授業料免除などがあるところを選びました。
イギリス大学受験で大変だったこと
志望校選びがやっぱり1番大変だったなと思います。
すごい面白そうだし評判も良くて行きたい大学がいくつもあったのですが、受かったとしても金銭的に奨学金を貰わないと行けないだろうなというのがたくさんあって。でも日本の奨学金の倍率を考えたら、そこに頼りきるというかそこ前提で大学を選ぶのはすごいリスキーだなって思いました。
今思ったら、もうちょっとレベルの高い大学も受ければ良かったなとは思うんですが、当時はすごいそこの金銭面と行きたい大学の葛藤がありました。
世界大学ランキングはあるけどそれだけじゃないと思うし、実際の生徒がどう思っているのかや、イギリス国内でどういう見方をされているかというところが日本にいると本当に全然わからなかったです。なので、インターネットでなるべく調べて、リアルな情報を得るようにしていました。
後編はこちらから – 「柳井正財団の奨学金」「UCLでの大学生活」「卒業後のキャリアプラン」「就活に繋がるインターンシップ」について話しています!
この記事のもとになっている対談はこちらからご覧いただけます!
イギリスの大学出願について解説している動画:
イギリス大学留学に使える給付型奨学金についてはこちら:
UCL(University College London) 公式サイト:
https://www.ucl.ac.uk/