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島根県の教育の話②


2023年 島根県立高校入試(出願最終倍率)

以前投稿した「島根県の教育の話①」はこちらからどうぞ。

2023年県立高校入試の出願時における倍率が確定しました。
松江南高校や松江農林高校が特色を活かし、人気になっているなという印象です。
なお県立高校は倍率が1倍を割っていたとしても、調査書や入試の得点で気になることがあれば不合格となります。
データを公開しておいて言うのもどうかなと思いますが、倍率はあくまで参考値。入学をゴールにするのではなく、入学後のことを考えて学力アップに励んでいくことが重要です。

さて、今日の本題は島根県の教育について。特に大学進学についてまとめます。

「北高に行けば安心」って本当?

松江市は普通科の通学区による出願の制限もなくなり、各高校が特徴をアピールし、生徒たちは自分に合った高校を選べる時代になってきました。
全国的に見れば、よくある形になってきているわけですが、島根県にずっと住んでいらっしゃる方からすれば、時代は変わったなという思いになるかもしれません。

私が教室長として勤務している教室は松江北教室のお膝元にあたる黒田町にあります。保護者の方の中には「松江北高校こそが進学校」「北高に行けば国公立大へ進学が普通」といったお話をされる方もいらっしゃいますが、私は「今はそれは半分正解で、半分は変わってきています」とお答えしています。

現在の生徒の学力

普通科高校が選べるようになったとはいえ、松江市内の普通科高校の数は決して多くなく松江北高校・松江東高校・松江南高校・皆美が丘女子高校の4校。女子高を除き、各普通科の全国偏差値でいうと47~53あたりに固まっています。
全国的に見れば偏差値50近辺の高校では国公立大学進学する生徒の数は上位10%ほどとなるでしょう。
しかし、松江北高校や松江南高校は50%ほど、松江東高は30%ほどが国公立大学に進学します。私が推測する要因を下記にまとめます。

①各高校での学習量が多く、それについていける生徒は大きく伸びる
②松江南高校や松江東高校は一般選抜だけでなく、推薦系の入試をうまく活用し合格者を出している
③同じ高校の中に普通科以外の科が存在していること、または普通科の中にも「早進度クラス」があり、その生徒たちの合格も含んでいる
④近くに島根大学や島根県立大学がある

数字は高く見えますが、考慮すべき点も多いということです。
そして、ここで注意すべきは③。
同じ高校ではあるものの、違うレベルの生徒が3つの別の高校に分かれているイメージになっているのです。

例えば松江北高校。
【理数科】偏差値60~70あたりの生徒が集まります
→県外の国公立大学や医学部・薬学部を狙う子が多いです。
【普通科・早進度クラス】偏差値57~65あたりの生徒が集まります
→県外の国公立大学や関関同立などの私大を狙う子が多いです。
【普通科】偏差値45~55あたりの生徒が集まります
→国公立であれば島根大学などの地方大、私大は産近甲龍あたりを狙う子が多いです。

偏差値の幅を見てお分かりいただけるように、理数科や早進度クラス、普通科の上位にいれば、国公立大学進学の可能性が大きくなります。
しかし普通科の中で真ん中より下になってしまうと、「松江北高校の普通科に入学したから国公立大学を狙える」というわけではないということです。

大学進学は高校選びから始まっている

例えば同じ学力の二人の生徒がいたとします。
片方はA高校にギリギリで入学し、もう片方はA高校よりも偏差値的に少し下と言われているB高校に上位で入学したとします。
この2つのケースでは、前者は高校の授業についていくことで精いっぱいとなり、大学入試どころではなくなります。準備が遅れ、結果が出ないといったこともあり得ます。後者は入学前の準備次第で高校における内申点が高い状態を維持でき、大学入試を総合型選抜や学校推薦型選抜で早々と合格を決める子も少なくありません。

高校の志望校を安易に下げたほうがいいという話ではなく、「高校選びを大学進学も踏まえて考えていますか?」ということです。

私は仕事柄、塾で保護者さんと面談する機会が多いのですが、中学生であっても高校より先の進路をどのように考えているかを聞き、それに合う高校を選択肢として提示しています。(ご家庭の方針もあるため、無理に変更させたりはしません。)

私の塾に通ってくれている今年の高3生の中にも、大学の目標を早めに定め、高校入学時から総合型選抜や学校推薦型選抜で大学を目指していた生徒も多く、その8割ほどは早めの合格を決めてくれました。このように先々まで考えて高校入学できると、大学受験の成功確率が上がります。

よくドラマや映画では「高校の最下位から大逆転!」のような話が出てきますが、その数倍、いや数百倍の数の苦労した話を私は知っています。うまくいった話はインパクトもありますし、自分もそうできるかもと思えるかもしれませんが、その0.1%ほどの確率にかけるのもリスクが高いですよね。

高校はあくまで通過点
ポイントは「大学入試は高校選びから始まっている」ということです。
大人の価値観だけで高校の評価をするとその後のリスクが大きい時代になってきていますよということを最後にお伝えしておきます。

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