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フットボールと読書②

猛烈な暑さの日々から、急激に涼しくなりあっという間に秋の訪れを感じている方もいるかもしれない。読書の秋ではないが、代表ウィークでクラブのフットボール再開を待ち焦がれている人達にその間を埋めるべく、ぜひとも読んでもらいたい本・雑誌を第二弾として紹介したい。

オススメ対象:日本代表に関心がある人

元日本代表キャプテン長谷部誠特集。巻頭エールからカズの「つまらない男ですよ長谷部は(笑)」から始まるように、実直でまじめなイメージ以外のことを長谷部も語ろうとしているが、それでもまじめな内容となっている。だがそこがなんだか可笑しい。ミスチル桜井との対談、内田・岡崎2人による長谷部評対談、新旧日本代表から、監督、はたまたブンデスリーガ審判まで様々な人がコメントしていく。レフェリーに執拗に抗議する選手だと認識されている話や、浦和時代の監督ブッフバルトが当時ヴォルフスブルク監督だった鬼軍曹マガトに長谷部獲得を推薦し、実際に実行した話は興味深かった。雑誌で発売より少し時間が立ってはいるが、いつ読んでも楽しめる内容になっている。


オススメ対象:移籍市場の狂乱を詳しく知りたい人

移籍マーケットの権謀術数をイタリアのメルカート専門記者ディマルツィオが語る。代理人の二枚舌、クラブのブラフ、契約直前での横槍などが具体的な会話とともに生々しく描かれている。セリエA中心かつ、ある程度脚色されている部分はあるのだろうが、欧州サッカーファンならだれでも楽しめる。
キエッリーニがマドリー入りにかなり近かったこと、ロナウド・ナザリオとCロナウドの移籍劇、メッシとモウリーニョの電話など、ワクワクと嘘と現実といろいろなものを知ることができる。

大物が続々と新天地を求め、史上最大の移籍市場と言われた今夏。時間を追うごとにコロコロと変わる情報に、一体何が起こっているのかとやきもきした人も多いだろう。クリスティアーノロナウドのシティ入りの報道は典型的な例だが、この本を読めばなぜこういったことが起きるのかだいたいの想像がつくようになる。移籍例の紹介の時系列がバラバラなことが若干気になったが、間違いなく満足できる一冊。

オススメ対象:スポーツ好きの女性

元女子アメリカ代表の絶対的なCF、アビー・ワンバックの著書。なでしこジャパンを苦しめた選手として記憶されている方も多いだろう。ただ、この本は彼女のしてきたフットボールの内容について詳しく書かれたものではない。男性社会に生きる女性の葛藤、自分自身が性的マイノリティであること、リーダーとはいったい何なのか、彼女自身の魂の叫びを感じられるものである。ただボリューム的には100数ページであり、構成も非常にわかりやすく普段あまり本を読まない人でもスラスラと読み進めることができるだろう。


オススメ対象:マドリディスタ、彼に率いられたクラブのファン、社会人

今夏、まさかの帰還を果たしたレアルマドリーの現監督。2018年日本発売の本なので、エピソードとしてはバイエルンを率いていた時点までが大半となっている。

彼がなぜビッグクラブを渡り歩くことができるのか、癖の強い会長達から求められるのか人となりも見えてくる。彼は監督を「中間管理職」であるととらえ、会長を満足させるために自分はいると大きく割り切っていたのだった。表題の「戦術」というのはフットボールの戦術のことではなく、「生き方」という意味での「戦術」ではないかと感じた。リーダーシップとはという項目についてもかなり言及されており、ビジネス本の側面もある。

ゲストインタビューやエピソードトークに出てくる人物たちがとにかく豪華なので、それだけでもとてもワクワクすることができる。

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