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第四回 人を救うということ ~小さい頃、僕は亀になりたかった~

幼稚園、年少さん。
クラス(という言い方で合ってるか?)のみんなと作った、七夕の短冊。
幼い僕が織姫と彦星に託した願い事は
「亀になりたい」
だった。
当時の僕曰く、
「亀になって硬い甲羅でみんなを守ってあげたいから」
という理由だったらしい。
我ながら、涙を禁じ得ない健気さである。

と、まあ。流石に僕も、もうこの願い事を真っすぐに受け止められるほどピュアボーイではないけれど。


「人を救う」
ということを、よく考える。
そうでなくとも日々引きこもってはあれこれ考えなくともよいことに思いめぐらせているのに、今のご時世で自宅にいる時間が増え、余計な思索の時間が増加してしまった。
ああ、嘆かわしい限り。小人閑居してなんとやらである。
ただ、それを考えることは、僕にとって創作の意義を考えることであり、あるいはこのマガジンの意義を考えることだ。と思う。
「一度原点に立ち返ってみよう」というやつである。
ので。
ここらで一度、言語化してみようと思う。

……四回目にやる内容か? まあ。まあ。

ということで、今回は

人を救うということ ~小さい頃、僕は亀になりたかった~

をテーマに記事を書いていく。

あ、ちなみに翌年、年中さんになった僕の願い事は
「ロックマンXになりたい」
でした。子供の心はいつでも急カーブね。

※記事にして欲しいネタや相談ごと、ご意見ご感想など、どしどし送ってください。

僕の好きな映画
『モンテーニュ通りのカフェ』
の話から入ろうと思う。

軽く内容を説明すると、

田舎からあこがれのパリに引っ越し、モンテーニュ通りの「カフェ・ド・テアトル」でウエートレスとして働くようになった女性ジェシカが、カフェに訪れるピアニストや美術収集家、舞台女優ら、いわゆる"セレブ"と交流しながら、彼らの人生の迷いや悩みに触れていく物語

といった話。
パリの美しい街並みとアート。きらびやかな世界に生きる"セレブ"たち。しかし、その人生には普通の人(=ジェシカ)と同じような迷いや悩みがあり、そんな彼らの心情が観ているこちらにゆっくりと沁みてくる名作だ。
個人的な感想としては
「ワクワクして心が躍る」というよりは、
「穏やかで心安らかに観られる」映画。少し疲れてしまった日に観るのにおすすめ。

で。
この映画の登場人物の一人。
ピアニストのジャン=フランソワ・ルフォール。
彼はオーケストラ楽団に所属する有名なピアニストであり、何百人も入る大ホールでの公演を間近に控えている。
しかし、彼が考える"音楽"とは、大ホールに来場する"セレブ"の為のものではなく、そういう場所に来られない、音楽に触れられなかった人々の為にあるものだった。
そのため、彼は病院で定期的にボランティアリサイタルを開き、またそういった機会を増やす為今後の公演を減らそうと彼のマネージャーであり、妻でもあるヴァランティーヌに掛け合う。
劇中では、そのことについて彼女と揉めてしまうのだが……。

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