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素人文章

文字・文章というのはお金を出して読むものだった。
私にとっては。 

本や新聞。
編集だの校正だの、プロの目を通してから発表される。
それにお金を払って読むのが文字であり文章であった。

そらまあ、同人誌なんてものもあったけど。
そんなの読むのは余程の物好きで。

フツー文字はお金を出して読んだものさ。
後は無理やり読まされる教科書、学級通信、官報広報、宣伝広告……有象無象。

でもSNSが出来てから様相は変わった。

むしろ素人の文章を読まされることが多くなった。

ああ素人の文章だ……。
とか思ったらプロ企業の名前で書いていたりする。
○○ニュースとか、〇〇新聞とか。

太宰治が愛した旅館明治 甲府は湯村温泉

誤字脱字があるぞ。
その用法は間違ってるだろう。
校正は入っていないのか!?

と、素人の私でさえわかるテキトーな文章が流れて来る。

プロが「ら」抜きことばなんか使ってんじゃねーよ!!
何が「食べれる」だ!?
それは赤子か無知なトーシロが使う言葉だ。
私みたいな。

……そう。私こそ素人のくせに文章書いて発信している。
さーせん。
はい。正しくは「すみません」ですね。

それはまあ……シロートの自己顕示欲が満たされるSNSは偉大である。
けどやっぱり、お金を出して買う文章にも残って欲しいのだよ。

それは書籍や書店にも言えることで。

一時リアル書店が続々とポイントカードを作り出した。
Amazonなどネット書店が隆盛になり、負けてはならじとカードを作ったのだろう。

私は化粧品や洋服よりも、本や漫画ばかり買っていた人間だから。
ポイントカードを使いまくっていたものさ。

唐突に四谷の桜

でも……今はそれも空しいな。

くるねこ大和の『木戸番の番太郎』三巻 / 幻冬舎コミックス
が発売になった頃、リアル書店を応援すべく買いに行った。

新刊の平積みになく、漫画の書棚にも差してなかった。
「くるねこ大和の新刊は……?」
「クロネコヤマトですか?」
と言って店員はパソコンで調べ始めた。

「クロネコヤマトの本??」
物流あたりを探してるのか?
こりゃ、ダメだな……と思いつつも、
くるねこ大和です。漫画です」
と強調した。

「あら、やだわ。くるねこ大和ですか」
と店員は未だパソコンをいじっている。
そもそも漫画家の名前を知らないらしい。

「ああ、いいです」
とその店を出て、自分のパソコンで検索してネット注文した。
応援するつもりが嫌がらせになってしまった。

リアルくろごちゃん
国立劇場建て替えで今はどこに?

矢部太郎の『プレゼントでできている』/ 新潮社は、別のリアル書店に買いに行った。

数日前に平積みにあったのを見ていたから。
だが既に書棚から消えていた。

そこにいた店員さんに訊いたところ奥に探しに行った。
十分以上たってから持って来てくれた。

その本をレジに出したところレジ店員さんはまた奥に行った。

立ち読み防止の封を剥がした部分が汚れているから、きれいな物に変えてくれると探しに行ったのだ。

今度は十五分以上戻って来なかった。
(そりゃあ、さっきの店員さんも苦労して探したらしいから)

そして持って来た数冊はいずれも封を剥がすと汚れが残る本だった。
「別にいいです」
と言って、その汚れが付いた本を贖った。

カメラロールで最も古い写真
信州は渋温泉 大湯

もちろん書店カードにポイントをつけてもらった。
ちなみにそこは駅ビル内だったので、駅ビルカードも出した。

さあ、帰ろう。
いや、まだ本にカバーを掛けてもらっているぞ。

本を受け取って帰る。
やれやれ……時間がかかったことよのぉ。

ネット書店ならポチポチッで済むのにな。

それでも書店に並んだ本を眺めるのが好きなんだよ。

自分に興味がない本も、何となく流して見るのが楽しいんだよね。

ネットサーフィンとはまるで違う。

そうそう。電子書籍というものもあったな。
書店のレジに出すのが恥ずかしい本(な、何だそれは!?)は電子書籍に限るな。

でも、それで気に入ったものはやっぱりネットでポチッている。
『蛍火艶夜』amase / 新潮社 とかね。
紙の本でページを捲って読みたいじゃない。

ああ、アナログ。
けどアナログは、きちんと出版社の編集や校正の目を通って出来た本なのだ。

四谷の街灯に桜 アナログっぽい?

お金を出して文章をリアル書店で贖う。

この行動はもはや儀式に近くなっている。

リアル書店よ残ってください。
パンパン!
ニ礼ニ拍手一礼!!

その儀式を私はいつまで続けることやら。

と偉そうに書いたわりには、例に出したのが全て漫画本てのも何だかなぁ……。

どっとはらい。




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