東京



今日、上京して初めて空を撮った。とても綺麗な三日月だった。そして、私に「過去の今日のあなた」を教えてくれた。

「過去の今日のあなた」機能は、時に優しく、また残酷だと思う。過去の何気ない日常写真たちは、私を大いに励ますこともあれば、やっとの思いで施錠した感情の扉をいとも簡単に開けてしまう。その写真は、鮮明に「一年前の今日の私」を思い出させる。



一年前の今日、私の浪人生活は手応えなく終わった。

GINZA SIXの屋上から見える星々、美しさと同時に野心とプライドを見せるビル、遠くに見える真っ赤な東京タワーを私はぼんやり眺めた。期間限定のイルミネーションが、やたら洗練されている壮大だけどセンセーショナルな音楽を流していた。すると、ふと詞が頭を過ぎった。

今日 夢を歌いに来たんだ あの町にも届くように

坂口有望 / 『東京』

そして、気づいたら泣いていた。めんどくさがりを極めているうちに、いつのまにか自分との向き合い方も分からなくなって、泣けなくて。だから、この時、泣いている私に私が一番驚いた。究極のめんどくさがりである私が泣いていたのだ。

東京はずるいと思った。私は、いつかの時みたいに逃げはしなかった。あの時とは違う。だけど、勝者にはなれなかった。それでも「この街で」と思わせる東京はズルい。魅せられてしまう。悔しくて泣けてしまう。あの日、私は「東京で生きていく」そういう覚悟した。


2021年2月17日の今日の私は、案外東京という街に馴染んでいる。いや、馴染み過ぎている気がする。とても恐ろしい場所だね。誰でも受け入れる。そして、このまま私も東京の養分になるのかなあ…とか考える。



あの悔しさや覚悟は私の背筋を伸ばさせるけど、同時に胸を強く締め付けて、そんなことを考えさせた。



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