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教師の仕事は「アンパンマン」ではダメなのだ

教師の仕事は「アンパンマン」に似ている。

アンパンマンは、自分の頭をちぎって、
お腹の空いた子どもたちを満たそうとする。

教師も自分の能力や時間、お金を投じて、
子どもたちのために尽くそうとする。

その姿勢は尊いし、憧れる。
でも、アンパンマンは、ジャムおじさんがいるからこそ、
自分の頭をちぎれることを忘れてはならない。
お腹の空いた子どもたちを前にしても、
自分の頭以上のパンを与えることは物理的に不可能なのだ。

そんな当たり前の事実が、
教員=特別な仕事
教員=聖職
教員=ビジネスじゃない
と思い込みすぎてしまうと、わからなくなってしまう。

子どもたちのため
子どもたちの将来の可能性を伸ばすため、
というと本当に理想だけれども、
その理想のために、
ジャムおじさんもいないのに、
自分の頭以上のパンを与えようとして、
ボロボロになってしまう教師があまりにも多い。

自己犠牲の働き方は、
その人にとっても、
その人の家族のためにも、
その人の同僚や生徒のためにも、見直した方がいい。

自己犠牲の働き方が行き過ぎると、以下のような状態になる。

・頑張っているのに、報われない。
・時間やお金を投じれば投じるほど、失われていく。
・日々、心身が擦り切れるような感覚がある。
・人間関係に不安や恐怖を感じてしまう
・やる気のない同僚に対して、怒りが湧いてくる

そんな状態のまま、さらに働き続けると、どうなるか?

・無能感にさいなまれ、自己嫌悪、自己否定の気持ちが強くなる
・授業をはじめ、生徒と関わることが怖くなってくる。
・過度なストレスで頭が働かない。考えられない。
・なにも感じなくなる、あるいは強い悲しみに襲われる

そんな状態に陥って、しまいには、
生徒も同僚も、その人を避けるようになってしまう。

もしも、この記事を読んでいるあなたが、
自己犠牲の働き方をしている自覚があるのなら、
引き続き、僕が書いていく記事を読んでほしい。

実は、上記の項目はすべて自分が経験してきた状態だ。
過去の自分はやる気十分、
理想と情熱に燃える教師だった。
1年で100号の学級通信を書き、
生徒の悩みや相談には1時間でも2時間でも付き合ってきた。
四六時中、生徒のことを考えて、
プライベートでも、常にノートに気づきをメモしていた。
当然、部活動も熱心だった。土日はなかった。

でも、そんな働き方を続けているうち、
少しずつ少しずつ、
自分のエネルギーが摩耗していったのである。

最後は、
叫びたくなるような恐怖に襲われた。
心療内科に駆け込んだ。
自分でも、異常な心理状態だったと思う。

今、思えば、当時の自分は理想が高すぎた。
現実が見えていなかった未熟者ともいえるだろう。

そばにジャムおじさんがいてくれて、
自分のパンを補充してくれる存在がいたら、
そんなことにはならなかったかもしれない。

いや、ちがう。
そうではないのだ。

お腹の空いた子どもたちのために、
自分の頭をちぎって与える
アンパンマンの生き方は、カッコイイ。

カッコイイけれども、
教師の仕事は実は「アンパンマン」ではダメなのだ。

そんな話を次回以降も書いていきたい。
興味があったら、引き続き読んでほしい。

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