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目覚ましアラームのお話

 目覚まし時計を置き時計からスマホに変えてからかれこれ5年くらいが経つ。そのうち4年くらい、もうずっと同じ曲をアラーム音に設定していたのだが、数日前、ついにアラーム音を変えた。以下、アラーム音について生真面目に書いてみただけだが、ぜひ、出てくる楽曲たちを聴きながらお読みいただければと思う。

 個人的にスマホのデフォルト音は心臓に悪かったし、なんとなく一日の始まりをその機械音で迎えたくないという思いもあった。だから私は、ミュージックライブラリに入れている好きな曲をアラーム音に設定することにしたのだ。その曲が、BUMP OF CHICKENさんの名曲「車輪の唄」(動画はこちら)だった。「車輪の唄」の切ない歌詞が私はとても好きでお気に入りの一曲だったのだが、アラーム音としてもこの上なく見事な楽曲だった。アラーム音は、爽やかな(爽やかにしたい)朝を迎えるために適度な明るさの曲調であるべきなのは大前提だろう。そのほかの要素としてはおそらく、イントロの編成とテンポ(BPM)の2点が挙げられる。
 はじめにイントロ編成について、これは目覚める一発目のサウンドとして重要な要素だろう。アラーム音の要(かなめ)と言っても過言ではない。まずアップテンポの激しい歌だとつらい朝には体が堪える。たとえば『君の名は。』が流行っていた当時、アラーム音をRADWIMPSさんの「夢灯籠」(動画はこちら)にしていたことがあるのだが、これはイントロの歌い出し直後で急にドラムがどんどんしてくる箇所が来るのでとても心臓に悪い。漫画とかでありがちな、掃除機の音でいきなり起こされる感じ、フライパンの底をバンバン叩かれる感じである。ではバラードがいいのかというとそうでもなく、たとえばイントロがピアノやバイオリンで始まりそうなやさしい曲ではおそらく起きれない。目覚ましアラームには両者の中間をいく、ほどよいサウンドが必要だった。わたし的にその条件を満たしたのが、「車輪の唄」だったのだ。アコースティックなイントロに始まり、裏拍のほどよい速さのテンポで進められる。「ほらほら早く起きなさい」と、やや急かされ起こされる感じである。若干Sっ気を帯びつつ優しさも忘れないという、このアラーム音が私は手放せず、もう長いことずっとこの曲をアラームに目覚めていた。
 ちなみに、多くの曲でドラムはたいていスティックで叩かれるが、この曲ではブラシで叩かれている(ブラシとはなんぞやという方、ぜひ動画に映るドラマーに着目してほしい)。もし「車輪の唄」がブラシ奏法ではなくスティックで演奏されていたら、フライパンの底バンバン効果を伴い、私のアラーム音には選ばれなかったかもしれない。関係ないかもしれない笑。
 さて、とにもかくにもここ数年間、私の一日は「車輪の唄」から始まっていたのだ。ただ、一時期、1年くらいSPITZさんの「群青」(動画はこちら)を目覚ましにしていたことがあった。これもまた明るいサウンドのほどよい速さのテンポの楽曲である。曲名の通り爽やかな曲調で、毎朝すがすがしい心地で目覚めていた。しかし、1年ほどして結局「車輪の唄」に戻してしまった。せっかくすがすがしかったのに、なぜなのか。これにはおそらく、「車輪の唄」がアラーム音として絶妙だった2つ目の要素、テンポ(BPM)が関係しているのだと思う。「群青」のBPM(Beats Per Minute)は150だが、それに対して「車輪の唄」のBPMは110だそう。一見、些細な差ではあるが、私の体には速すぎないテンポ、BPM 110くらいがアラームとしてちょうどよかったのだろう。

 このように、アラーム音には曲調とイントロ編成、そしてテンポが重要であり、私にとってこれら3つの要素がベストミックスされていたのが「車輪の唄」だった。しかし今回、こんなにも体に馴染んでいた「車輪の唄」と別れを告げ、別の曲に変更したのである。その曲が、ジャニーズのアイドルグループ、NEWSさんの「ビューティフル」(動画はこちら)だ。というのも、先ほど「車輪の唄」にはSっ気と優しさがあると表現したが、近頃Sっ気しか感じなくなってきたからだ。なぜだろう。生活の変化?ニューノーマル?…歳?いやまさか。
 「ビューティフル」は今年の夏から秋にかけて放送されていたテレビ東京の深夜ドラマ『レンタルなんもしない人』の主題歌であり、つい先日リリースされた新曲だ(あのドラマはとてもよかった。社会問題を痛切に描きながら、穏やかな気持ちになる。特に9話の恋人ののろけ話の回はお気に入りだ)。私はこの曲を初めて聴いたとき、爽やかな朝にふさわしい明るい曲調なのはもちろん、口笛から始まるイントロはきっと目覚ましアラームにふさわしいと直感した。要するに一目惚れだ。BPMはまだわからないが、おそらく110以下だろう。アラーム音に欠かせない3要素はすべて網羅されている。完璧だ。
 さて、「ビューティフル」をアラーム音にしてから2日くらいが経つ。たしかに、Sっ気で急かされる感じもなく起きれるようになった。「お〜い、朝だよ〜〜」とやや遠いところからお呼ばれされるような感じである。とても心地よい朝を迎えられていると思う。しかし、なんと大変なことに、心地よすぎてフルコーラス聴いて二度寝するという自体が生じてしまっている。どうしたものか。たぶん、寒波が訪れていること、年末で気が抜けていること、ドラマが好きだったこと、NEWSが最近わたしの中でブームになっていること、などなど様々な理由もあるだろう。しかしどうしよう、起きれない…

 私のアラーム音というめちゃめちゃ個人的な話で恐縮だが、なにもここで「車輪の唄」や「ビューティフル」をアラーム音におすすめしているのではない。人にはそれぞれにお気に入りのアラーム音があるはずで、必ずしも「車輪の唄」などではないだろう。ただ、それらはきっと、私がここで挙げた曲調、イントロ編成、テンポの3要素をすべて満たしているものではないだろうか。
 そして最後にもうひとつ、4つ目の要素を挙げたいと思う。4つ目の要素、それはコンテクストだ。私は「車輪の唄」が好きでずっとアラームにしていた。「夢灯籠」は映画を見たからだし、「群青」はそれを演奏する機会があったからだ(私はドラマーでした)。そして、「ビューティフル」はドラマを見ていたからだった。このような、曲と自分をつなぐ文脈や背景といったコンテクストが4つ目の要素として考えられると思う。
 さあ、果たして「ビューティフル」はアラームとして私にフィットするだろうか。みなさんも、よき朝を迎えられていますように。

以上

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