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自撮りばっかりしてていいの?:L'esercito del selfie/Takagi & Ketra

イタリア語で音楽を聴いてみたい人に

たまたまイタリア語が好きなので、音楽もイタリア語で聴いているタイプの人間なのですが、同好の士が見つからないのでnoteで布教してみることにしました。

べつに音楽通っていうわけじゃなくて、単にラジオを聴いているなかで「いいな」って思ったり、Spotifyで浮かんできた曲を「いいな」って思ったりくらいの選曲なので、高尚なやつは椿姫の「乾杯の歌」しか分かりません。

Takagi & Ketraの「L'esercito del selfie」

発音をカタカナで書いてみると、たぶん タカジ エ ケトラ の「レゼルチト デル セルフィ」くらいになるんですかね。
セルフィ―は日本語でもセルフィ―って言いますよね、自撮りです。
直訳すると「自撮りの軍団

とりあえず一発目なので、初夏の浮ついたイタリアを感じさせつつ、かわいくて親しみやすい曲はなかったかな~と思い出したのが、Takagi & Ketra の「L'esercito del selfie」だったんですが、うそでしょこの曲ってば2017年の発表なの……時がたつのが速すぎて困ります…。

ちなみにイタリア語で「光陰矢の如し」は「時は飛ぶ Il tempo vola」って言います。

こんなにカワイイけど失恋ソングです

お気楽な感じがしてカワイイですよね!
失恋寸前の歌です。
うまく心が噛み合わないふたりって、コメディにもトラジェディにもなるから、紙面や画面のこっち側から見てるだけだと2度おいしい。

歌詞ってぜんぶ載せちゃうと差しさわりがあるんですかね。
不勉強で申し訳ないんですが、念のために飛ばし飛ばしいきます。
ちなみに翻訳は日本語ネイティブの私が自分でやっています。

Hai presente la luna il sabato sera
Intendo quella vera, intendo quella vera

きみって土曜の夜の月のこと知ってるかな
本物のやつのことね、本物のやつ

初っ端からフワフワしてるじゃないですか、かわいい。
歌詞を読んでいくと分かるんですが、まったく違うことに関心を持ってる相手にアプローチして失敗してる男の子の歌なんですよね。

E se ti parlo di calcio
E se ti suono unpo' il banjo
Dici che sono depresso, che non sto nel contesto, che profumo di marcio

きみにサッカーの話をしても、ちょっとバンジョーを弾いてあげても、きみは僕は覇気が無くて脈絡が無くて腐ったニオイがするって言う。
Ma se ti porto nel bosco
Mi dici portami in centro
perchè lì non c'è campo, poi vai fuori di testa come l'ultima volta

もしきみを森に連れて行けば、きみは「街のなかに連れてってよ」って言う。電波がないし、頭がおかしくなっちゃう、このあいだみたいに。

止めといた方が健康的じゃない?
ずっと液晶ディスプレイを睨んでて、月をして「本物のやつのことなんだけど、月って知ってる?」なんて言わなきゃいけない相手だよ?
って思うんですけど、まぁ恋は盲目だしあばたもエクボなので仕方ない。

有名な単語ですが、イタリア語でサッカーは「カルチョ」。もともとはキックっていう意味なので、蹴っ飛ばすことを dare il calcio(キックを与える) って言ったりもします。
バンジョーっていうのはアメリカの楽器ですね。カントリーミュージックとかで、丸っこいギターみたいな弦楽器が使われている、あれです。

以下がサビです。

Siamo l'esercito del selfie
Di chi si abbronza con l'iPhone
Ma non abbiamo più contatti
Soltanto like a un altro post

僕たちは自撮りの軍団
アイフォーンで日焼けするヤツら
でももう音信は不通
ただ投稿にいいねってつけるだけ

SNS時代の青春って感じで、これウケるの分かりますわ。
絵文字の有無で一喜一憂してた私たちなんて生っチョロイです。

Ma tu mi manchi
Mi manchi in carne ed ossa
Mi manchi nella lista
Delle cose che non ho

でもきみが恋しいんだ
生身のきみが恋しいんだ
きみを見失っちゃったよ
僕の持ってないものリストのなかに

個人的に mancare ってちょっと扱いにくい動詞だなって思ってるので、そんなに自信がないんですが、まぁこんな感じかと思われます。
おつかれさま、甘くて冷たいレモネードを作ってあげますからね。

歌ってるのは Lorenzo Fragola と Arisa
Takagi & Ketra は楽曲提供者

最後にアーティストの情報を少し。

楽曲って基本的に歌ってる人の名前で発表されると思うんですけど、この曲で面に出てる Takagi & Ketra は楽曲を作ってるデュオでして、歌っているのは Lorenzo Fragola(ロレンツォ・フラーゴラ)さんと Arisa(アリーサ)さんです。どちらも音楽オーディション番組の出身だったはず。
ちなみにフラーゴラってイタリア語でイチゴっていう意味です。

Takagi & Ketra はほかの歌手とも組んで、いろいろな曲を発表しているので、もしこのマガジンが続くようなら、またご紹介することもあるかと思われます。

何年先になるか分からないけど
次のイタリア旅行がすでに待ち遠しい

今回のコロナ禍で大打撃を被ったイタリアですが、旅行するにはめちゃくちゃ楽しいところなので、今から次の旅行が楽しみです。
まだまだ世界レベルで不要不急の旅行をするような段階にはほど遠いですし、そもそも旅行にお金を掛けられるような感じでもないんですが、生きて貯金さえしていたら、またイタリアの土を踏むこともあるでしょう。

セルフィ―軍団の女の子みたいに、おしゃれな街中をうろうろするのもいいですし、私は森に遊びに行くのもやぶさかではありません。
そういえば、日本にやってきたイタリア人は、目につく限りの自動販売機をチェックして、手当たり次第に「また違う味だ!」って清涼飲料水を購入して喜んでましたが、私は道端で「また石畳の種類が変わった!」って大興奮するので、旅行って本当に何もかもが楽しいんですよね。
この歌のふたりも日本に来たらいいのに。





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