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【2021】通信制の芸大で、イラストを学んだ1年目

こんにちは、エダホです。

2021年4月から、京都芸術大学の通信教育部デザイン科イラストレーションコースにて、イラストを学んでいます。

早いもので、入学して1年が経ちました。ここで、受けた授業の感想や、課題で提出した作品を振り返りたいと思います。これから入学を検討されてる方や、入学が決まって授業を受ける方、すでに受けてる方の参考になれば幸いです。

はじめに

筆者プロフィール

  • システムエンジニアから3DCGデザイナーに転職し、現在ゲーム関係の仕事をしている社会人。

  • 2021年3月に某ゲーム会社を退職し、フリーランスに。タイミングよくこのイラストコースが始まることを知り、勢いで申し込む。(三年次編入)

  • 目的は、仕事の幅を、3DCGだけでなくイラスト分野(キャラ・背景デザイン、コンセプトアートなど)に広げること。

  • また、本業の3DCGの制作や監修にも、芸術的な知見は活かせるだろうと考えている。

  • イラストについては、なんとなく描けるが、仕事にしたり多くの人を惹きつけたりは出来ないだろう、というレベル。しっかりと完成度が高い絵はあまり描いたことがない。

入学時のツイート↓

前置き

  • 権利上、授業・課題・添削の具体的内容は掲載せず、受講の感想と自身の作品、およびその解説のみを記載します。授業内容に興味のある方は公式サイトや、公式note公開用シラバスをご覧ください。

  • 今回振り返る内容は、2021年度の情報です。2022年度以降は、授業や課題内容が変更される場合があります。

  • 三年次編入の私が受講したのは、コース専門教育科目と学部共通専門教育科目のみです。一年次入学の方は、ここにない科目も取る必要が出てくるかと思います。

  • ここでは、課題の評価・点数は省いています。Twitterでは公開しているので、興味ある方は「#KUA課題評価 from:eda_hotori」で検索してください。

  • noteの内容は、全て筆者個人の感想です。授業・課題への取り組み方は各個人でご判断ください。

用語説明

  • airU・・・京都芸術大学の通信教育部で授業を受ける際に使用する専用Webサイトです。

  • WS・・・ウェブスクーリング科目の略。動画で学習してレポートや作品課題を提出する科目です。講師の全体講評を視聴し、評価を受けます。

  • TW・・・テキスト作品科目の略。教材(主に動画)で学習して作品課題を提出する科目です。全体講評は無いですが、講師の個別添削と評価を受けます。

※参考:airU学習ガイド (https://e.guide.air-u.kyoto-art.ac.jp/)

春期(4月~6月)

WS イラストレーションI-1(デジタル演習AI)

上の写真(自分で撮ったもの)をトレースして作成したイラスト。
一時期 Twitterで流行ってた(?)「ワンパントースト」というものをイングリッシュマフィンで作ってみたときの写真を題材にしました。
  • クリスタの基礎的な使い方の授業だったが、もともとPhotoshopは使えたので馴染みやすかった。線画は苦手だったので講師の方の描き方を拝見できてよかった。

  • トレースはしつつもイラストっぽいタッチを目指した。今見ると、食べ物の絵としては、もう少しシズル感があった方がよかったですね…。

  • 自分は問題なかったものの、提出システムの容量制限に苦労する同級生が多数。Twitterで対策法を共有したりした。

WS イラストレーションI-2(クロッキーI(ヌード))

ジェスチャードローイングの練習課題(一部)。
  • ジェスチャードローイング(ジェスドロ)というものを初めて知った。

  • 見たまま描くのが正解とならないので、自分には結構難しかった(実は今でもしっくり来ていない)

  • 授業だけじゃなく日々の練習が大事。(続けている同級生はめちゃくちゃ上手くなってる。やらなきゃ…)

WS イラストレーションI-3(色彩基礎)

参照画像の配色分析(画像は非公開)
分析した配色を使って制作したイラスト
  • 色彩の知識は覚えるのは大変だが、あると知ってるだけで選択の幅が広がるなと思った。課題では、参照画像の分析により、自分ではすぐ思いつかないような配色ができたのが面白い。

  • 「レイアウト・構図」の授業も受けていたので構図も意識できた気がする。あと、「美術解剖学」で骨と仲良くなれたので骸骨を描いた。

WS 芸術史講義(近現代)1

  • イラスト実技ではない科目なので理解が大変かと思ったが、授業動画はテレビのアート特集のような構成で、とても見やすかった。

  • 芸術史の前提知識は ほぼなかったが、名前を聞いたことのある芸術家が出てきて親しみやすかった。

  • 初のレポート課題だったが、なんとか仕上げられた。

TW デザイン基礎1(イラストレーション)(美術解剖学)

全身骨格図の模写
  • 初めての美術解剖学。これが履修プラン最初の科目ってメチャクチャ渋いなこのコース!と思った(褒めている)。

  • 普通のイラスト講座でここまで1つ1つ骨や筋肉に触れることはないので、「大学ならでは」を感じた。

  • 授業の良さを感じた一方、授業内容と課題ルールの齟齬、疑義照会が必要となった評価誤判定があり、良くも悪くも思い出深い授業となった。

春のまとめ

「通信大学で学ぶイラスト」がどのようなものか想像がつかないまま始まり、期待したよりも「濃い」授業と課題内容に嬉しい悲鳴を上げました。

一方、初年度ならではともいえるトラブルや課題もいくつかあり、覚悟はしていたもののショックは大きかったです。
このとき、TwitterやDiscordなどで同級生と繋がっていられたのが大きな助けとなりました。独りだったらここで やる気が折れていたかもしれません。

夏期(7月~9月)

WS イラストレーションII-1(デジタル演習BI)

自分の名刺の印刷用データを想定し、Illustratorで制作したもの(連絡先は架空)
  • TwitterやYoutubeでのTips公開で有名な講師による、Adobe Illustratorの実践的ノウハウが詰まっていた。

  • 教科書的な内容だけじゃなく、「納品時に気をつけること」や「ミスを防ぐ工夫」など、リアルな仕事で使えるテクニックが満載で、良い意味で大学離れしていた。

  • 授業のおかげでIllustratorへの抵抗が少なくなり、最近は仕事でも活用するようになった。

WS イラストレーションII-2(人物キャラクター基礎I)

色んなアングルや表情の顔や体を描く練習課題。
※課題の解釈違いにより、夏は評価「不可」となってしまった。
これは、冬期に再提出して無事単位を取得できたもの。
  • アタリや等身を意識して人物を描く基礎的なやり方。

  • 書籍や一般的なイラスト講座と同等の内容だが、課題として提出が求められることで真面目に取り組めた(自分比)。

  • 人物を描くこと自体より、「線画を綺麗に描く」のがそもそも苦手だったので、その練習にもなった。

WS イラストレーションII-3(イラスト実習I)

中世ファンタジー世界における4人パーティの食事風景
  • 授業が総合的な内容だったのに対し、課題イラストを描くのが大変だった思い出。

  • ちょっとズルい気もしたが、自分の3DCGスキルを使って背景やキャラクターのアタリを取って乗り切った。(後に知ったが、最近は3DCGを活用するイラストレーターも結構いらっしゃるようです)

  • 色ラフの段階でライティングや色合いを決めて、それを整える手法をやってみて、自分の手に馴染むなと思った。

WS 芸術史講義(近現代)2

  • 建築や写真、ファッションなど、より身近な芸術が取り上げられており、興味が持ちやすかった。

  • やはりレポートには慣れておらず評価はあまり高くはなかったが、単位はもらえた。

TW デザイン基礎2(イラストレーション)(レイアウト・構図)

スタジオジブリ公式サイトにて提供されている作品静止画より取得・掲載
https://www.ghibli.jp/info/013409/
© 1989 角野栄子・Studio Ghibli・N
上記ジブリ作品静止画の構図分析
分析した構図を利用して制作したイラスト
  • 構図の種類(三分割構図や日の丸構図など)については事前に知っていたが、既存作品の分析の方法が、講師ならではの視点で興味深かった。

  • 授業での分析に、本コースの別授業を担当する講師の作品が使われたり、単体のイラスト講座ではありえないクロスオーバー感が面白かった。

  • 制作課題は、構図の分析は面白かったが、自身のイラストに落とし込むのが画力的に難しかった。春に着手したもののなかなか満足できず、完成・提出は夏になってしまった。(それでも出来には納得してない)

TW イラストレーション演習I-1(メインビジュアル)

イラストレーションコースのメインビジュアルを想定したイラスト
上記完成イラストのラフ提案シート
上記完成イラストの作品説明シート
  • イラストレーターの花形とも言える「メインビジュアル(キービジュアル)」の仕事を想定した課題は挑みがいがあった。

  • ただイラストを描くだけではなく、打ち合わせ、構想の仕方、提案など、その第一線で実際に仕事をしている講師の方の授業も身にしみた。

  • 今回も背景やアタリに3Dを使った。やりたい表現は出来たが、3Dの構図を使うと思ったよりも構図が固くなり、絵の躍動感が出にくいことがわかってきた。今後の課題。

夏のまとめ

自分の得意分野である3DCGを活用する方法も見えてきて、段々と絵を完成させる自信が付いてくるとともに、基礎的な練習はまだ足りてないなとも痛感しました。

また、より実践的で制作に時間がかかる(というか時間をかけたい)課題が増えてきて、一部の課題を履修プランの期限内にやりきるのが難しくなり、次の期に持ち越すものも出てきてしまいました。

秋期(10月~12月)

TW イラストレーション演習I-2(キャリア論)

サイバーパンク侍クセ毛少女
  • 各授業を担当している講師(現役プロイラストレーター・アートディレクター)の方々の経歴や作品、考え方などをインタビュー形式で視聴。

  • プロでも悩むことはあるし、きっかけは運も大きく、そしてベースとなるのはやはり「画力!」というのは改めて感じた。

  • この頃から、「自分は何が描きたいのか」を少し悩み始め、PCに向かっても筆が全然進まず、この課題は難産だった。最終的には「iPadで気軽に描いたラクガキ」を、「真剣に仕上げる」ことで形にした。

秋のまとめ

あれ?と思うかもしれませんが、ご覧の通り、秋に提出した課題はキャリア論1つだけです。しかも、授業を視聴したのは夏なので、秋は実質1つも受講できておりません…。

ほとんど受けられなかった理由の1つは自分が悪いんですが、次に受けるTW科目の履修前提条件に「キャリア論」が入っているのをすっかり忘れたまま、次の期に残してしまったことです。おかげで、今期は新たなTWを受けることが出来ませんでした。(最初の提出期間で即出して合格すれば次の月に受けられる可能性はありましたが、そのペースで進めるのは現実的に無理そうでした)

また、この頃から年末にかけて、中途採用を受けたいと思っている会社に応募を目指していて、個人制作やポートフォリオ更新に時間を使いたかったのも理由の1つです。TWが先送りとなったこともあり、いっそWS含めて冬期から仕切り直しだ!ということで、思い切って秋は ほとんどスキップしました。(色々と精根尽き果てて、ゲーム遊んだりもしてましたが…。)

冬期(1月~3月)

WS イラストレーションII-2(人物キャラクター基礎I)※再提出

※夏に「不可」となってしまった要因の箇所を描き直して、再提出。作品と感想は夏期のところに載せたのでそちらをご覧ください。

WS 芸術史講義(近現代)4

  • 芸術史講義は、近現代シリーズが馴染み深く入りやすそうだったので、1,2と来た流れで4を受講。(3が飛んでるのは冬に開講がない為)

  • 映画、漫画、アニメ、ゲームなど、最近のサブカルチャーが取り上げられており、もっとも親しみが持てた。

  • 個人的には、この辺はもう「サブ」じゃなくて良いんじゃないの?と思ったりもするけど、長い芸術史に比べたら全然短いんだなぁ…とも実感(とはいえ進化速度もすごいと思うけど)

WS 芸術史講義(日本)2

  • 近現代の次に興味があった「日本」の芸術史を受講。

  • こちらも学問としての前提知識は全く無かったが、浮世絵や水墨画、屏風絵など目にしたことがあるものが登場して興味深かった。

  • 実際に美術館・博物館で見たことがある作品もあったので、前提知識があれば芸術はさらに奥深く楽しめるんだな、と思った。

TW イラストレーション基礎1(アニメーション)

落とした書類を拾う女子高生
  • イラスト(静止画)をメインとしたコースなので意外な科目だが、アニメーションの基礎や作画方法を学ぶことが出来た。

  • 正直、一枚の絵を綺麗に描くだけでも大変なのに、それを何枚も描く…のは本当にしんどい。アニメーターはすごい。

  • クリスタのアニメーション機能を初めて触ったが、使い方にクセはあるものの結構面白いなと思った。

TW イラストレーション基礎2(書籍イラスト)

学園ラブコメ物のライトノベル表紙を想定したイラスト
同ライトノベルのモノクロ挿絵を想定したイラスト
  • ライトノベルのカバー・モノクロ挿絵イラストという、自分のあまり触れてこなかった業界の一端を知れて面白かった。

  • 課題で描くものが完全に自由ではなく、世界観・キャラクター設定が予め決まっているのも新鮮で、より仕事に近いスタンスで望むことができた。

  • カバー挿絵の背景(建物)は手描きだが、モノクロ挿絵の背景(体育倉庫)はガッツリ3Dをトレスしている。

TW イラストレーション演習II-1(世界観表現・コンセプトアート)

空飛ぶ車社会の屋台ラーメン
空飛ぶラーメン屋台の設定画
設定資料集め(なにも見せられないが、参考にする写真を並べたものである)
  • ある意味これが一番受けたかった授業。ゲーム業界にいると「コンセプトアート」の重要性は身にしみて感じている。

  • 講師の方の実体験を元にした授業は生々しく、うなずくばかりだった。

  • 課題イラストは、今の自分がやれることと、1年目で学んだことを総動員して制作した。自分で見ると至らない部分はあるが、こういう絵を自分が作れるんだと思えたのは かなり嬉しい。

冬のまとめ

コース専門科目のWSは受ける余裕がありませんでしたが、秋に取りこぼしたTWを いくらか取り戻せたのは良かったと思います。TWはどれも重い課題でしたが、自分なりに満足行くものが出来たので、自信にも繋がりました。

1年目の感想

イラストレーションコースの授業は、総じてどれも高い満足感がありました。正直、入学前は「通信だし、学費安いし、入学試験ないし…」ということで、(失礼ながら)あまり期待値は高くなかったのですが、良い意味で期待を裏切られました。しっかり挑もうと思える課題が設定されてるのがありがたいです。

一方で、初年度ということで見られる問題点や、airU(学習Webサイト)上の不満点も少なからずありました。アンケートなどで要望は送っていますが、授業内容が良いだけに こういう所で評価を下げないよう、改善していってほしいです。

また、三年次編入とはいえ、最短2年卒業を目指すのは、かなり大変だということは実感しました。仕事をしながらというのもありましたが、フルタイム勤務ではなかったので もう少しやれたのでは、という反省はあります。

ただ、大学の授業以外にもやりたいことは出来たし、それぞれの課題を変に妥協せずに進められたので、総合的には良かったと思っています。(卒業が伸びると学費がかかるのだけが痛い)

最後に、通信教育という孤独な環境で1年間めげずに続けられたのは、一緒に学ぶ同級生がいてくれたからだと心から思います。最初にTwitterで繋がってくれた方、Discordサーバーを用意してくれた方、ワンドロなどのイベントを開催してくれた方、課題作品を共有してくれる方、投稿に反応してくれる方、一緒に授業や課題に挑んでくれている方、すべての同級生に感謝しています。これからもよろしくお願いします。

来年度に向けて

1年目の後半は、TWのガッツリ系の課題を多めにやりましたが、その分、WSで伸ばすべきだった「基礎力」が足りてないことを実感しています。
2年目は、後回しにしたWSもしっかり受講し、基礎力を改めて高めて卒業制作へと目指していきたいと思います。(おそらく卒業制作は3年目に突入すると思います)

また、6月頃から、フリーランスから会社員に戻る予定があり、フルタイム勤務となります。今よりも学業に割く時間が少なくなり、いくらかスローペースになるかと思いますが、一期生二期生問わず同級生の皆様、よろしければ変わらずお付き合いください。

そして、noteで初めて私のことを知った方へ。普段はTwitterで活動しておりますので、ご興味あればフォローください。(https://twitter.com/eda_hotori)

おすすめ記事

今回、noteで初めて記事を書いたんですが、同じコースの方で振り返り記事を書かれてる方が結構いることに気が付きました。

せっかくなので、最後におすすめ記事をいくつか貼らせていただきます。
(他にも いらっしゃったらTwitterで教えてください)

参考リンク

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