見出し画像

『現役大学生(達)の異常な愛情。または我々は如何にして世界からこぼれ、エロゲ―を作るようになったのか』(5)


前回からの続き。

Nscripterの使い方を覚え、なんでも作れるはずだという万能感に満ち溢れながら、当時まだ福岡に残留していた同じ学生の秋月すいれん先生へと電話をかけた。

「一緒にゲームを作ろう」

美少女ゲームだってゲームである。
クリックしたらヒロインが動いてテキストが進んでボイスが流れる。
もう十二分すぎるほどにインタラクティブではないか。
これも立派なゲームだ。
なのに大学ではメディア論としてVRとパズドラとポケモンGOの話しかしねぇ。
ノベルはと言うと、言うに事欠いて能・狂言だと?
ふざけんなコンチクショウ、浸食してやる
速い話が「エロゲ―なら世界をぶっ壊せる」と考えていた。
ロックバンドと同じノリですよね。

その為に仲間が欲しかった。

ゲーム開発と言う甘言で秋月すいれん先生との交渉を成立させた双士は、秋月すいれん先生の上京(この場合も京都を指す)の間に創作の爪を研ぎ研ぎしていた。

具体的には『Requiem ~冷たい街で~』と言う感動巨編SFノベルを書いた。(エロは無し)

いや、巨編といっても500kbほどで、白髪大好きフェチズムと逆張り社会風刺と病気とバトルと死に別れを詰め込んだオナニーシナリオである。
(因みによく独り善がりな作品を「オナニー作品」と称することがあるが、エロゲヒロインのオナバレ自慰シーンで抜くことが多々あるので、僕個人は大好きである)

「主人公以外全員白髪ね」
「素材欲しいから写真撮りにいこうか」
「骨。この木、もっと骨みたいに描いてほしい」

うん、いま思えば随分ムチャぶりをいっぱいした。ゴメンセンセイ。

因みに上記で紹介の通りこちらは、体験版がふりーむにて無料配信されている。
興味があったら是非読んでみてください。
完成は、うん、いつか、するので、気長に待っていてほしい。

この作品の告知PVを、覚えたてのNScripterで制作し、動画としてキャプチャーしたことがある。
福岡の超有名ゲーム会社社長に「退屈」「陰気」とこき下ろされた動画が。
思えばこの頃だろうか? 
何かを徹敵的に違えたのは。

この時もまた僅かばかりの手応えと、しかし確たる達成感を掴めないままに宙ぶらりんであった双士に、あるきっかけが訪れるのだが、疲れてきた。

次回へ続く。

冬コミ最新作『藍のひだりがわ』開発進捗報告

カウンセラーとの面談からばっくれて、早半年。
そこそこ深刻化していた症状を独自の呼吸法とシナリオの執筆で乗り切った双士はいま、薬効による安定と不安定を彷徨いながらのキャパオーバーなディレクション業務に襲われていた。
迫りくる内圧寄りの外圧。八方に掛ける迷惑。ハンターハンター最新刊の内容もロクに頭に入らないままに。
気が付いたらアスファルトのど真ん中に寝転んで、星を見上げていた。
もう、ゴールしてもいいよね? いや、もう少し頑張ってみようか。むくり。

あと先生からリハビリとして勧められた中島らもを一冊読み終えました。
いいんだぜ、いいんだぜ…、オレ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?