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有形から無形の広がりへ

むかし、むかし。文化人類学科があったとさ。

1996年。
京都の宇治に京都文教大学 人間学部 文化人類学科が開学しました。
日本で初めて「文化人類学」を学科名にし、そこには日本全国から学生が集まりました。
わたしもその何ものかよくわからないけど、面白そうな空気に惹かれた一人。
1期生として大学生活をスタートしました。

文化人類学科の教員研究室が並ぶ普照館(通称・F館)の2階には、キッチンスペースがあって、そこは時々文化人類学科の先生方の手料理を教員・学生の区別なく共食し、楽しく語らうゆるやかな学びと遊びの交錯する場として集う共有スペースでした。

このキッチンでの集いに限らず、文化人類学科は学生も教員もお互いに認め合い、率直に対話をし、時にはガチンコのけんかもしながら主体的に関わり合い自分たちで「文化人類学科」という文化を共創した場だったと思います。

残念ながら2012年度を最後に文化人類学科が無くなり、程なく大学院の文化人類学研究科も無くってしまいました。
すでに大学のキャンパスにはその存在がありませんが、積み重ねた歴史がこのままおしまい… というのは寂しいし、卒業してからもあの頃学んだこと、経験したことがベースになっている人も多いのです。

そこで、卒業生数名で新しい形にしてみようということになり、この度文化人類学を肴にしたプラットフォームを作りました。

井戸端人類学 F2キッチン」
という名前です。
当時、誰彼となく集い語ったキッチンスペースをイメージした名前です。

昔話ではなく現在進行としての”文化人類学科”

学科という形は無くなりましたが、終わりは始まり。
開学から25年経ち、大学の枠を超えた現在進行の繋がりに発展させたいと思っています。

文化人類学は卒業してからも(もしかしたら、卒業してからのほうが)、その学びを活かし、付き合い続けたいと思う学問だなと感じます。
先日もある方と話していて「文化人類学はあなたの特性を表すタグの1つですね」と言われ、そうだなと思いました。

日常の中のありふれたものごとを見つめ直す、考えるの連続。
そして、他者を認め自分との関係性を考えながら関わることを日常の中でやってきたし、卒業後もそれぞれがやっているのではないかと思います。

正直言うと、認知度はそれほど高くない大学だったのですが、自画自賛を含め(!)そこにいた先生がたや学生たちのエネルギーは相当な熱さがありました。(最近の表現だと「クセ強」揃い)

今回久々にオンラインではあるものの、会って話してみると相変わらずクセ強だけど、リズム感や向かいたい勘所みたいなところも相変わらずで面白かったし、20年超の時間を経たからか自己主張だけではない(少しは)健全な対話が成立する楽しさがありました。

社会に飛び出して、今またあの時の学びを思い出しながら。
また最近の文化人類学で語られる話題にも触れながら、それぞれが生活に繋がる何かを持って社会と往来できる繋がりになるといいな、と話しながら企画しました。

まだどんな展開になっていくのかは未知数ですが、まずはプレイベントからぼちぼち始めます。

プレイベント「ZOOMでポトラック ~音楽とこれからのこと~」

まずは何ができるのか、持ち寄れるものを持ち寄るところから始めよう、というのが今回のプレイベントです。

はじめは言い出しっぺでもある1期生のなかから。
今もフィールドワークをしながら、文化人類学から見た研究を続けている二人に肴になってもらうことにしました。

日時:
2022/03/13 Sun. 15:00 - 17:00
オンライン(zoom)で開催。(参加無料)

▼ 参加登録:

※ 今回ご参加できなくても、今後の案内が必要な場合はご連絡先の登録のみも可能です。(キックオフは5月ごろ予定)

【卒業生・在学生・教職員のみなさん集まりませんか?】
京都文教大学 人間学部文化人類学科 卒業生数名で「普照館2階のキッチンに集まって語り合ったあの頃のような繋がりをつくろう」と企画しました。
今回はオンライン(ZOOM)に会場と肴となる話題をご用意してお待ちしています。
久しぶりに、あのとき学んだことを思い出しながら「これからのこと」を、ゆるく楽しく一緒に考えてみませんか?

◎近況 ~ フィールドワークから ~
話題 ①
「東アフリカ・ポピュラー音楽の世界: 恋愛、カネ、都市」
溝内 克之(1996年入学 :1期生)

話題 ②
「懐かしきパーティー音楽を取り戻す:ペルーの下町から」
水口良樹(1996年入学:1期生)

お問い合わせ先:
idobata-a-f2@googlegroups.com(事務局)

社会の中で人類学的フィルターから覗くとどんな世界になるのか。
今後は周縁分野も含めて広くアンテナを張りながら活動していく予定です。
ベースは京都文教大学から端を発していますが、卒業生や関係者に限らずテーマに関心のある方がそれぞれのペースで関わっていただけたら嬉しいなと思っています。

また、それぞれの持つ文化人類学科の宝だなと思うところも再び持ち寄り、学外の方と共有できる機会も持てたらとも思っています。

卒業生、関係者だけではなく、一緒にやってみようか、という方も大歓迎です。


サポートはフィールドワークや研究、社会実験の支えとして活用いたします。