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[12]研究を始めてn年、読んだ論文の内容を記録・管理する方法の話

私は論文を様々な媒体で読み、その時やりやすい方法で書き込み、その後論文は放置していた。これではマズイ(理由後述)。そう思い、読んだ論文やこれから読む論文は、厳しい規則に習って管理・整理するようにした。


## 私の実践方法: Notionとスライドでの整理

私が行っている方法は、目的別に2つある。

① Notionでの管理
目的:将来検索しやすくするため
・Tableを作り、出版年、著者、雑誌、タイトル、分野、手法を書く。
・Tableは3つ作り、理論研究、実証研究、一般誌掲載論文(Nature / Science / PNAS等)を分類の基準にしている(3つ目を設けている理由は、自分もいつか一般誌に掲載したく、その傾向を掴むため)。
・分野は、開発、農業、教育、政治、、など。
・手法は、DID、RDD、IV、、など。

① Notionでの管理」は、必ずしも読んだ論文に限らない。今度読む予定、今後読んだ方がいい、そんなものも含めている。DL/印刷して読みっぱ・積みっぱはダメだめ。Google Chromeのタブに残すのはダメだし、Twitterのお気に入りに残すのもダメ。
 検索で漏れなくhitするように、分野や手法の欄も設けている。上記に加えて、Summaryの列もあるが、正直読みにくいし、(まとめに)規則性を持たせることが難しい。あくまで目的は「検索のための管理」なので、まとめは以下の②で行う。


② 読んだ論文をスライドにまとめる(1日1本、時間を決めて)
目的:(a) 内容を忘れないように・振り返れるように記録、(b) インプット/アウトプットの効率を上げる、(c) 習慣化
・1つの論文を16:9のスライド1枚にまとめる
・次の5つの項目を埋める形式を採用:発見、貢献(先行研究との違い)、識別戦略/手法、限界/議論、次に読む論文
・併せて、Citationに関するの基本情報も記入する

② 読んだ論文をスライドにまとめる」は、①に比べ少々複雑になる。

 目的(a)は、記憶力の問題もあると思うが、読んだ内容がまとめてあると、いざ〇〇分野の△△に関するリテラチャーの理解を深めたい、となれば、スライドの中から該当するものを引っ張り出して読めば概要は掴める。

 目的(b)は、私の未熟さによる設定だが、限られた時間で「特定の問いに拘って読む・理解する」能力が低く、その向上のためである。自分の研究と「非常に密な関係を持つ」論文でない限り、脚注含め頭からお尻まで几帳面に読むことは無い(と思っている)。論文の構成と特徴を把握した上で、短時間でインプットを行うことが目的だ。また、アウトプットも兼ねて、上記5つ項目に沿って、長い論文から自分の言葉でまとめる力を養うことも目標としている。

 目的(c)は、主に上記の習慣化で、1日1本、決められた時間に読む習慣、限られた時間の中で読み、限られた時間の中で整理する習慣を身につける。(まるでコン●ルのような、、でも研究でも大切だと思う。)

 (補足1)毎回体裁を気にすると時間の無駄になるので、LaTexでフレームのテンプレを作り、R MarkdownでMarkdown形式で書けるようにした。エクセルは便利だが、環境に依存+長期利用+目的(b)の観点から好ましくない。

 (補足2)項目は5つでなくてもいいし、軸もこれらに限る必要はない。そもそも分野によっては論文の構成も主眼も異なることがある。


例:まとめのスライド(1論文1スライド)

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## そもそも、こんなことをやろうと思ったきっかけ

 冒頭で書いた通り、ルールなく論文を読んで管理していた(Mendeleyを使っていたこともあるが、当時の自分と執筆環境に合わなかった)。

 「このままではヤバい」というぼんやりとした焦りから、様々な文献管理や論文の読み方、執筆に関する本や資料を読んでいたとき、1つの事実を見た。Natureによると、執筆に関して正式な(おそらく授業やゼミで教授から)指導を受けたことがない人が半分以上いるらしい(ゼミだけの教えは少々危険だと思っている)。自分もこの中に入っている。

Nature Masterclasses「科学論文執筆&出版ワークショップ」
パンフレットより抜粋

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 また、Twitterで流れてきた加納先生の「論文を見付けて読む癖を付けよう」や落合先生の資料「先端技術とメディア表現1 #FTMA15」、白木先生の「M1で論文を書く研究室の運営」を読んで、猛烈に焦った。「ヤバい、こんな研究室・ラボ・ゼミがあるのか」と思い冷や汗が出た。経済学含め社会科学は伝統的に個人プレイがスタンダードだと思うが、それでも、上記にある先生方の記事の内容はぶっちゃけ研究分野やスタイルに依存しない。理系文系は関係ない。今すぐ取り入れないといけないと思った。

 落合先生の資料の中に、以下の文章があった。色々事情があり研究と少し距離ができていて(+時間を取れていなくて)焦り出していた自分に、また研究を始めた頃の新しい気持ちで、貪欲に学ぼうと思えた。

サーヴェイは自分のネタが先行研究と被ってないか探すもんじゃないんだ! 先行研究と自分が目指したい世界との間で,何が研究になるかを考える作業なんだよ.だから音が好きとか絵が好きとかそんな感じの出発点でいいから乱読してマップを作ってみることに意味があるんだ.



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