「施設外の医療福祉サービス」は生命保険の新ジャンルになりうるか?

※本記事は私の個人的な予測を書いたものです。

生命保険との絡みで最近医療福祉系のサービスに関する書籍、マンガを読んでいる。中でもこちらの「シュリンク(Shrink)」は秀逸な漫画だった。

詳細は購入してご覧いただきたいが、この漫画で繰り返し発信されるメッセージは「心の問題を解決するには一人で抱え込まないこと」だ。

精神科医、保健師、ソーシャルワーカー、同じ病気に苦しむ患者同士の横の繋がりなど、点ではなく面で患者の病を癒していく様子が描かれている。いわゆる地域包括ケアというやつだ。

非常に心温まる描写なのだが、ひねくれ者の私はついつい考えてしまう。「1人の患者に対して4、5人の専門職の人間が関わっている。この人たちの人件費ってどこから出てるんだろう?」と。

調べてみると、やはりというべきか公共性を帯びた機関(市役所や福祉事務所など)が勤め先だった。

公的機関が関わるということは「経済の競争原理から距離を置く」ことと同義だ。

言い換えると、お金がない人でも標準的なサービスを受けられるということである。心の病を抱えながら放置された人間が地域社会にも悪影響を及ぼすことを考えると、正当な判断のように思う。

一方、公的機関が関わることは「給料アップの天井が低くなる」意味も含んでいる。

なぜなら、公的性格を帯びる機関は税金や社会保険料を財源としているので、給料をガンガン上げると国民からの圧が強まるからである。

とはいえ、働く人間としてはキャリアアップ、給料アップの道はやはり目指したいだろう。

キャリアを積み上げた結果として、年収500万に達するか、それとも年収1000万を超える可能性があるか。この違いは門戸を叩く人材の質に影響を及ぼしそうだ。

しかも、高齢化社会の進展で需要は増える一方なので、「富裕層への手厚いケアを売りにする民間事業(従業員の給料も高い)」はいずれ増えてゆくだろう。

若手の頃は公的機関で実務経験を積み、力のある人間は富裕層向けの民間事業者へ転職していく、なんて流れが出てくるかもしれない。

以前にも書いたが、「お金のあるなしで選択肢に大きな開きが出る時」ほど民間保険の出番だ。

保険金の支払いによって人々の支払余力を増やし、巡りめぐって業界の市場規模拡大や職員の給与アップにも繋がる。

これまでの生命保険は病院や施設内での治療に対して支払を行う商品が多数派だったが、これからはいよいよ「施設外の医療福祉関係サービス」が存在感を増してくるだろう。

商品設計では「支払事由に該当していることの客観的な証明方法」が必須だが、施設外でのサービスを証明する方法がネックになりそうだ。

なぜならば、サービス提供の主体に相当な種類があるからである。都道府県庁、市町村、福祉事務所、介護施設、児童相談所、病院などなど・・・。

これらの発行する証明書類はバラバラになることが容易に想像でき、受け皿を作るのも一苦労だ。

もし、これらの機関が共通して使えるサービスの証明方法が発見されれば・・・新しい生命保険のジャンルが生まれる可能性がある。

どこが業界のファーストペンギンになるか、要注目だ。

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