見出し画像

大腸内視鏡検査に行ってきた

※この文章は若干ですがシモな表現が出てきますので、お食事前後に読むのは控えたほうが良いかもしれません。

大腸内視鏡検査を体験してみた

お尻から血が出るからと消化器科にかかり、いぼ痔ですねと診断された後、「出血の原因が痔だけでない場合もあるので、内視鏡検査をしましょう」と言われた。

痔の診察からこれってやりすぎじゃない?とも思ったが、医師から勧められるとなかなか断りにくい。これも一つの人生経験だと思ってやってみるかと、予約をした。(書く場所があると何事もネタにできて精神衛生上良い)

前日は夜の9時以降食事禁止。当日の朝も水だけ摂取して向かう。前処理室に通されて、下剤1リットルと500mlの水を分割して時間をかけて飲む。下剤はアクエリアスのような味付けでそこまで飲みづらくはない。規定量を飲み終わる頃には、便が透明な液体になっていた。

職場の人が断食に取り組んで、体の悪いものが全部出て清々しい気持ちになった、と語っていたのを思い出す。ここ最近ストレスから食べる量が増えていて、全然休ませていなかった胃腸を強制的にリセットできたので、これはこれで自分に必要な経験だったかもしれないなと思った。

胃腸がキレイになったところで、今度は更衣室へ通される。衣服を全部脱いで施術用の服(お尻部分が開いたパンツと、その上に被るじんべえみたいなもの)に着替えて待機する。内視鏡を入れられているうちは起きていたくないなと思ったので、鎮静剤の処方をお願いした。

見事な病院経営に圧倒される

行ってみて、このクリニックの設備はかなり凄いと思った。

トイレ付き個室がたくさん用意されていて、下剤と飲み物を飲んですぐに便が確かめられるようになっている。更衣室や貴重品を預けるロッカー、血液検査や手術用の設備も揃っていて、トイレは全て自動で便座が上がるハイテク仕様になっている。患者の呼び出しもパネル上に番号が表示されるようになっていて、まさに医療DXの最先端という感じだ。

医者はできればあらゆる医療サービスを自分のところでワンストップで提供したいと思うものであり、ヒト・モノ・カネのいずれかがボトルネックで我慢しているのが実情だ。

ここまでの設備を整えることを考えると、経営者としては相当覚悟のいる借入金額になると思うが、患者のプライバシーに配慮した判断は素晴らしい。カレンダーには女性医師が出勤する日が明記されており、気持ちの面でも心配りが行き届いている。

そのおかげか、こちらには女性患者も多数訪れている。「患者第一」を口だけでなく仕組み化して実践しているのには感心してしまった。

院長先生が万が一に備えて保険に加入するとしたら、各社の定める加入限度額いっぱいまでいっても足りないかもなぁ。一方で、医療業者の営業トークに乗せられて若干散財しすぎな気もする。患者の呼び出しぐらいはもうちょっとケチってもいいんじゃないだろうか。

そんな勝手な妄想を繰り広げながら、内視鏡の順番が来るのを待っていた。医療行為は医師にしかできないので、どうしても回ってくる順番を待たないといけない。設備がしっかりしている分、次のボトルネックはやはり医師の数になるのだろう。

どこまでいっても病院経営の悩みは尽きなそうだ。

手術後に発覚したあれこれ

注射を打たれると一瞬で意識がなくなり、起きたら対応が終わっていた。いやはや、薬の力は凄い。ジョジョの奇妙な冒険でいうところの、ザ・ワールドをくらった気分だ。

結果を聞いてみると、なんと大腸ポリープがあったので切除したという。私は素人考えでやりすぎじゃないのか、と思った自分を恥じた。ネットで調べたところ、大腸ポリープは見た目だけだと将来悪性になるかを見極めることは難しいらしい。

となると、疑わしきは罰せよの精神で切除するのが普通の人間心理だろう。今回切り取った組織は、顕微鏡で確かめて良性がどうかの診断を下すとこのこと。

思わず「あっ、これが保険約款で言うところの病理組織診断か!」と進研ゼミにあるオマケ漫画のように職業病を発揮してしまった。

まあ、さすがに悪性はないだろうが、大腸ポリープ切除術は入院保障の支払対象になる可能性が高い。保険に入っておいてよかったなぁ、と私は内心ほくそ笑んだ。

お会計は保険適用の3割負担で2万7千円。総額でいうと8万円越えとは、なかなかの金額だ。家計がギリギリの人はこれだけで破綻する可能性もある。インドでは医療費のせいで貧困層に転落する人が国民のうち7%に達するという。立て替えできるだけの貯金をしておいて本当によかった。

ところが、この手術により私にとって絶望的な制約が課されることになる。脂っこいものをはじめとして、消化が悪いものは大腸の出血リスクを高めるので1週間の間避けてくださいというのだ。

手渡された紙を見ると、なんと消化の悪いものリストにコーヒーと記載があるではないか。無類のコーヒー好きであり、食べることが楽しみの私にとっては手痛い制約である。

歳をとって病気がちになると、身体の制約により基礎的な娯楽がこうやって失われてゆくんだろうなと思った。

やはり自らの五感で得た経験は何ものにも変え難い。手術や病院経営、腸の病気、保険の保障などについて多くの示唆を得ることができた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?