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地元から広げる世界 伊藤美紀

こんにちは!note更新担当のたぬ子です。

当財団が毎年刊行している、機関誌『文化愛媛』
毎号、様々な方に文化にまつわるお話を、執筆いただいています。
そんな中、「原稿内に収まりきらなかった、想いがあるのではないか!」と思い、最新刊第85号の執筆者インタビューを始めることにしました。

第3弾は、特集『地域の活力、学び舎とともに ~魅力ある高校づくりと地域の未来~ 』の座談会に参加されました、高知大学地域協働学部学生の伊藤美紀いとうみきさんです。

地元で頑張る人に出会えた喜び

ー 今回の座談会に参加されてみて、どうでしたか。

 まず、愛媛で同じような志を持っている人に出会えて、嬉しかったです。
 大学でも、「地域で何かをしたい」と思っている子たちと、会うことはあるんですけど、「”地元で”活動しよう」という人は、あまりいないんですよ。
 ”地元で”というよりも、「大学で高知にいるから、”高知で”」って考えの人が多くて。
 なので座談会で、地元のために自分のできるところから活動している2人と話して「私も、頑張んないとな」と思いました。

自由な校風で、楽しんだ3年間

ー 卒業された新居浜南高校は、どのような高校でしたか。

 興味・関心がある分野に合わせて、受ける授業を選択できる(2年次以降)学校ということで、みんなのびのびと言うか、自由な雰囲気でしたね。
 それぞれ受ける授業が違っているから、いろんな子と、いろんな授業で会うことができて、1学年120人みんな仲良しって感じでした。

ー 所属されていた『ユネスコ部』では、どのような活動をされていましたか。

 主に、別子銅山の歴史継承という”伝える活動”と、体験者の聞き取りという”残す活動”を行っていました。
 ”残す活動”では、体験者の聞き取り以外にも、現地の写真や文献をまとめて、ガイドブックを作り、市内の学校へ配布しました。
 今は、PDFデータをインターネットで公開しています。
 他にも、”伝える活動”として、市内の小中学校で出前授業を行ったり、イベントや新居浜市のウェルカムツアーで、ボランティアガイドをしていました。

「愛媛だな」と思う景色

赤石山系に咲くアケボノツツジ 写真提供:佐々木那美子

ー 地元で一番好きな景色や場所はありますか。

 人が住んでいる地域で言うと、瓜生野うりゅうのという集落から、赤石山系あかいしさんけいを見た景色が好きです。
 山が少し開けた瓜生野から、連なってる山々を見ると「愛媛だな」という感じがします。
 アケボノツツジが咲いていると、山がピンクに見えるところがあって、綺麗なんですよ。

Twitterで生存報告

ー TwitterやYouTubeなどで情報発信をされていますが、発信する内容はSNS毎に分けていますか。

 Twitterは、ほんとに個人的なことをつぶやくことが多いですね。
 フォローしていただいている方は、高校時代から私の活動を見てくださっている方が多いので、「私は、高知で生きていますよ!」という生存報告を兼ねて、日々の何気ないことをつぶやいています(笑)
 あとは、自分用のメモとしてパッと思い付いた疑問や、気になったことをつぶやいていますね。

 YouTubeに関しては、POTENTIAL GRAVITYというSNS専門ショップのアルバイトで、やっているんですよ。

ー あれは、アルバイトなんですね!

 アルバイトなんです(笑)
 学生が、地域のことや地方創生を絡めながら、楽しくおしゃべりする場を作ろうと、頑張って企画を考えています。
 基本的に、木曜日の17:30から配信しているので、良かったら見てください!

山を守るお手伝い

ー 今は、TwitterやYouTubeを中心に、活動されているんですか。

 他にも、『こうち森林救援隊』というボランティア団体に参加させていただいて、森林関係の活動をやっています。

ー 『こうち森林救援隊』は、どんな団体ですか。

 高知市内にある運動公園の竹やぶ整備や、間伐かんばつされていない里山の整備など、”みんなが過ごしやすい山づくり”を目標に活動している団体です。

ー 伊藤さんも、山に行かれるんですか。

 そうですね、最近は山に入ってます(笑)

ー 木も切るんですか。

 たまに切らせてもらいますね。
 でも、まだまだ初心者なので、歩きやすい道にかかっている小さな木を、カマやノコギリで切るぐらいです。

ー 山は土砂災害や川・海の問題に繋がっていくので、とても重要な活動ですね。

 高知県だからというのもあるんですけど、津波がきて「山に逃げろ!」となった時に、木が鬱蒼うっそうとしていると、避難がしづらいので、”津波から避難する場所”という認識で整備している部分もあります。

愛媛を離れて気づいたこと

ー 座談会で、”地元を離れてから気付いたことがいくつもあります”と話されていましたが、具体的にはどのようなことに気付けましたか。

 別子は、ほんとに山に囲まれていて、整備された山の景色が当たり前だと思っていたんですけど。
 高知で森林整備のボランティアを始めてから「山を守っていくためには、ちゃんと整備をしていかないといけないんだ」ということに、気づくことができました。
 整備の大変さを知って、余計に「自分が見てきた景色を大事にしたいな」と、思いましたね。

 あと愛媛にいた時は、どちらかと言うと海に苦手意識があったんですよ。
 今でも泳ぐのは嫌なんですけど(笑)
 でも、高知に来てから、山だけじゃなくて全体を見れるようになったと言うか、海の良さに気づけたと言うか。
 「瀬戸内の海も見なきゃな」と、思うことがありました。

ー そんなに、高知の海が素晴らしいんですね!

 高知の海を最初に見た時、「水平線が見える!」と驚きました(笑)
 愛媛にいたら島とか、天気のいい日なら広島まで見えることもあるじゃないですか。
 高知は、海がずっと遠くまで広がっていて「これが海なのか」と、感じましたね。

ー 私は、高知の海を見て波の高さや荒々しさに「怖い」と思ったので、「高知で海を好きになった」と聞いて驚いています。

 見下ろした時の雄大さを感じて、山だけじゃない繋がりと言うか「山・川・海全部含めた景色を大切にしたい」と、思いました。

意識的に疑問をもつ

ー 地域への思いの中で、「固定概念を一旦リセットして、新しいものを地元に吹き込む役割をしたい」とお話されていましたが、地域の固定概念というのは、どのようなものですか。

 みなさん、気にしてないと思うんですけど、いろいろあると思うんです。
 昔から住んでいる人だから分かる集落ごとの関係や男女格差だったり。
 無意識でしてしまうことが、どうしてもあるなって。

 例えば、集まりの準備するのは女性で「女子おなご氏集まれ!」って呼ばれたり。それはそれで楽しいんですけれどね。
 あと、新しい人が来たら、その人の話題で持ちきりだったり。
 人が来てくれて嬉しいのは分かるんですけど、ちょっと話に出され過ぎなところがあって。
 自分だったらって考えたら、嫌じゃないですか(笑)

 そういう”気になる”がちょくちょくあるので、それを改善して、地元に人が入って来やすい環境にしていきたいです。

ー 男女格差で言うと、男性しか参加できないお祭りとかもありますよね。

 そうですね。
 そうやって、参加できる人が限られているお祭りや、性別ごとに役割が与えられていることって、多いですよね。
 それが全てダメとは言いませんが「どうして、男性しか参加できないんだろう」と、一度疑問をもつことは必要だと思います。
 疑問を調べた結果、自分がどう思うか。
 納得できるのか、できないのか。
 じゃあ、どうしたいのか。
 そこを大事にしたいなと思っています。

こういう世界も楽しいよ!

ー この座談会の内容は、どんな方に読んでいただきたいですか。

 高校生、大学生ぐらいの若い人たちに見てもらいたいですね。
 やっていることの輪を、広げてもらいたいと言いますか。
 私たちみたいに、地域のことをいろいろやっている人はいるから、自分が最初だと気負わずに、やってみたらいいよって。
 最初に何かを始めるのって、かなり勇気がいると思うんですけど、二番目とかだと、結構気楽だと思うんで。
 「こういう世界に入ってくるのもいいかも!」って、感じで読んでもらいです。


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