見え始めている女子サッカーと観客席の新しい関係
FIFA女子ワールドカップ2019フランス大会のベスト16敗退で「フィジカルが」とか「戦術が」といった根拠に乏しい批判が蔓延していた日本の女子サッカー。女子サッカーの価値とは何なのか?日本サッカー協会や選手・関係者は真剣に考えている。
日本の女子サッカーカルチャーは、まだ、その実態を紹介することが難しい。
世界一に立った経験はあるものの、例えば、女子バレーボールや女子バスケットボールと比べると土台が脆弱なままだ。
米国等の女子サッカー先進国と比べ、日本の女子サッカーを応援する人々と選手との関係が大きく違うことは、このnoteでも触れてきた。日本の女子サッカーは、他の競技と比べると同性のプレーヤーの観客がとても少ない。そして、これまで、Jリーグと同じような、いわゆる応援パフォーマンスがJリーグよりも少人数のサポーターによって行われてきた。
しかし、現場は動いている。素晴らしい光景と遭遇した。
なでしこリーグカップ2019準決勝戦の試合後は、FIFA女子ワールドカップ2019フランス大会と少しだけ似ていた。
いわゆる応援パフォーマンスは、いつもの通り、男性サポーターを中心とし、東京ヴェルディの女性版であり、浦和レッズの女性版であった(いくつかは女子チームのオリジナルの応援方法が盛り込まれている)。しかし、今、日テレベレーザの試合の客席には、多くの若い女子サッカープレーヤーが足を運んでいる。
「Jリーグの代用品」ではない、なでしこリーグならではの応援。
彼女たちは選手に声援を送る。Jリーグのようなコールやチャントではない。「私の憧れの存在はあなたです」というメッセージだ。試合後、トラックのすぐ外にまでたくさんの女子が押しかけた。
チーム単位で観戦に来ていた女子たちは、日テレ・ベレーザの選手と一緒に写真に写ったことを、同行した指導者に自慢していた。
憧れの選手との思い出の一日。試合内容が素晴らしかっただけではなく、試合後の選手との交流は忘れられない経験となっただろう。日テレ・ベレーザの選手たちは山下選手を先頭にたくさんのサインをし、多くの写真に収まった。
サッカーの応援は開催地、ファン層、取り巻く社会環境等によって異なる。もちろん男女のリーグで主たる応援方法が全く異なってもおかしくない。
新しい日本の女子サッカーの応援スタイルは、これから生まれるのかもしれない。
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