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毎晩、しばわんこ。

はい。今日も、老障介護、絶賛進行中です。

今年に入ってから、毎晩寝る前に、「しばわんこの、今日は佳き日」という絵本を読んでいるのです。毎晩です。

長女の寝る前のルーティンは、9時になったら、薬を飲む。ドライヤーをかけて髪を乾かす。絵本を読む。(読むのは私)夜2回目の歯を磨く。指にワセリンを塗る。(指の一本ずつにドレミファソと歌って、まず、爪にワセリンを塗り、手をひっくり返して指の腹に、また、ドレミファソと歌いながら、ワセリンを塗る。)となっている。

朝の起床から始まって就寝まで、いちいちルーティンがあって、面倒くさいが、これをこなせば、安心するのだろう。自閉症の人は、いろいろな儀式だとか、習慣があるものだ。

そして、ドライヤーをかける前に本棚へいって、「しばわんこ」の本を持ってくる。ドライヤーの仕上げをしてあげると、テーブルにつき、「読んでください。」といって、「しばわんこ」の本を開く。

長女にはブームがあって、一つのことにはまると、毎日同じことを繰り返す。朝ごはん、ゆで卵とトマトは、数年続いた。このブームはある日、ふっと終わってしまう。洋服や靴などは、毎日同じものを着るので、ストックは欠かせないのだが、ある日、ブームが去ってしまうと、もう買い置きの服や靴は着ない。

「しばわんこ」は和風の暮らしを好む「しばわんこ」と「みけにゃんこ」の、四季折々を描いた本で、どこが楽しいとか、盛り上がるとかいうことは一切ない。そして、1ページごとにぎっしり絵が描いてあり、一つひとつの絵にコメントというか、説明があり、とにかく読み聞かせしにくい。

例えば、梅雨時の描写。「濡れ縁、点々、雨のあと、釣り忍はしっとりと。」というところには、「釣り忍」とは、という説明が小さい字で、書いてある。全部読んでいると、一晩かかりそうなので、面白そうで、大事そうな要点のところだけを取り出して、読んでいる。長女は字が読めないからごまかせそうなのだが、毎晩読んでいるところをうっかり飛ばしてしまったりすると、厳しいチェックが入る。どうやら暗記しているのかもしれない。

ある日、長女が,何気なく、「ぬれえん、てんてん、あめのあと」と言っているのを聞いてしまった。しっかり、頭に入っているのだな。

それにしても、読んでいるほうが眠たくなってしまう。

そうか、眠たくなるのか。この本は。読んでいるほうも、聞いているほうも。

全く盛り上がることのない本を、たんたんと、読んでいるのだが、長女は熱心に、本に見入っている。好きなページは、どうやら、「絵巻」のところらしい。そのページに行くと、自分から先に「えまき」と言って「きれい」と言う。その次のページ、「手描きの絵本」と私が読むと、「まちえし(町絵師)」と言いながら、絵描きさんの絵を指さす。

とにかく、読み聞かせしにくい本なのだが、5カ月間の努力の甲斐あって、私なりの、脚本が出来上がった。我ながら、簡潔で、読みやすく編集した。漢字の多い本で、子供向けというわけでもなさそうな「しばわんこシリーズ」結構ファンがいるらしい。

49歳の長女に、毎晩絵本を読む私。今夜もきっと読むだろう。そして、長女は熱心に絵本に見入るのだろう。

それは、それで、幸せなひととき。



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