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きようけんのしゆうまいですか


地下鉄道
コルソン・ホワイトヘッド

「地下鉄道」という、とてもとても、どきどきする本を読んでいた私は、その本を机の上に置きました。
すると、その本の表紙をちらっと見た長女が言いました。
「きようけんのしゅうまいですか。」

崎陽軒真空パック

私ははじめ何のことかよくわからなかったのですが、表紙をよく見て、
「なるほど。」と思いました。
長女は思い込みとか何もなく、見たままを情報としてとらえるから、赤い色に黄色い線(線路)のデザインが、崎陽軒のシュウマイのパッケージに似てるって思ったのでしょう。
「地下鉄道」の本が「崎陽軒のシュウマイ」に似ている!!!

私は、この本が19世紀のアメリカ南部の黒人奴隷の話だと思って読んでいたから、崎陽軒に結びつかなかったのでしょうね。
ほんとに長女の発想は面白いです。
毎日こういうことがいくつかあるので、楽しいです。

さて、「地下鉄道」ですが、この言葉は、もともとは、黒人奴隷を逃がすためのシステムというような意味でした。
しかし、著者のホワイトヘッドは、小説の中で本当に鉄道に乗って、アメリカの地下を逃げていくという、SFみたいな話にしてしまいました。
19世紀南部に地下鉄はまだありませんし、この本に出てくる列車は、いわゆるふつうの列車の形でもありません。
地下鉄道なのに蒸気機関。鼻先に三角形の牛除けの鋤がついている。

でも、「行くぞ!最果て!秘境×鉄道」の番組ファンの私には、
「ありそう、この列車」と思えてしまいます。
最近の、「行くぞ!最果て!秘境×鉄道」マレーシア編では、がけ崩れで線路が断絶した地域を行くのに、線路にすのこみたいのを乗せて、それをオートバイで押して進む。がけ崩れの場所に来たら、乗客がすのこや荷物を持って、難所を抜けて、線路があるところへ来たら、またすのこをオートバイで押して進み、やっと次の駅にたどり着く。というのをやっていたので、こういう鉄道の使いかたがあるのなら、地下鉄道あるかもなどと、本気で思ってしまいました。
鉄道と秘境と地下が大好きなもので、想像が膨らんでしまいます。

それにしてもすごい物語です。
南部から北部まで行けば、自由になれるかもしれない。
でも捕まったら殺される。
悪名高い奴隷狩り人リッジウェイが追ってくる。

ランドル農園のコーラという女性がひどい虐待を受け、シーザーという男性に地下鉄道で逃げることを提案されるというところから物語は始まるのですが、その間の各章には、さまざまな場所で、たくさんの人たちの、たくさんの物語が盛り込まれているのです。

まるで、棒針とかぎ針を両方使いながら、35色くらいの毛糸を使って、複雑な模様編みのセーターを編んでいくみたいな小説です。
私はこの複雑に入り組むというのが、本でも編み物でも映画でも大好きです。

ここまでのどきどき作品ですから、もう、ドラマ化、映画化が決まっているらしいです。
ドラマになったら崎陽軒のシュウマイを食べながら見ようと思います。

ドラマの監督は「ムーンライト」のバリー・ジェンキンス監督だそうです。

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