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「楽天市場」単体で流通額3兆円超と話した三木谷社長講演と公開データを斜めから切って読み解く:後編

楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー(SOY)授賞式の翌日に行われた楽天カンファレンス2021。楽天の三木谷社長が発表したデータ、EC運営者として参加した当日のメモ、impress(ネットショッピング)の記事を元に斜めから切っていきます。※単純にEC運営者視点の分析です。

▼ この記事の目次
・流通総額3兆円突破はバブル?
・見えない新規ユーザーと復活購入者率
・最大の見せ場楽天mobileの現状は
・楽天エコシステムっていう言葉

前回のおさらい「楽天ショップオブザイヤー2020から見る楽天のトレンド」

流通総額3兆円突破はバブル?
「楽天市場」単体で流通総額3兆円突破の発表がありました。楽天が決算時に公表しているEC流通総額は、トラベルなどの役務サービスも含まれているので、物販単体の流通総額ってこれまでわからなかったんですよね(確か2010年くらいまでは「楽天市場」単体の数値を公表していましたが)。

そんなわけで、楽天のEC流通総額が●兆円と言われても、出店者から見ると「楽天市場」が本当に売れているのか全く読み解けない……という現象が起きていたんですよね。

全体の流通総額は、株主には非常に有益な情報ではあるでしょう。でも、出店者として聞きたい情報はそれじゃないんですよね。「楽天市場」単体の話を聞かないと店長視点では「実際どうなの?」という思いになってしまうので。まぁ、楽天経済圏がうまく回ってるという前向きなことは感じることができますが……。

さて、2020年の「楽天市場」はコロナ禍でジャンルごとで伸び率は差異があったので、2019年の2.4兆円程度(推測)から一気に3兆円超えは凄いと思いました。だって、一気に流通総額3兆円超えですから。といってもこれも数字のからくり。楽天ダイレクト(楽天の直販)、楽天モバイルの流通総額も入っているんですよね。純粋な「楽天市場」の出店者ECはどうだったかの知りたい。ネットショップ担当者フォーラムとかECのミカタなどの媒体が突っ込んで聞いてくれないかな?笑

流通総額の部分について、この急増は“コロナ禍バブル”によるものなのか”というのがはっきりわからないところが出店者としては疑問に思うところ。僕はコロナ終息後に流通総額が3兆円を切るという事もあり得るとは思っています。

見えない新規ユーザーと復活購入者率
楽天の4-6月期(Q2)の新規購入者と復活購入者が気になる数値。流通総額が伸びたのは、新規購入と復活購入者が増えたことが要因と言っているんですもん。

新規購入者は63.1%増、復活購入者が80.9%増とYOYで伸び率を見ると「おーよかったんだー」って思うけど。よく考えると、元の数字がわからない! 結局、前の年の同じQで新規購入者、復活購入者の募集がわからないと、伸び率だけ見ると危険ですよね。わからないんだもん。

そもそもいろいろな考え方ができるわけで。既存顧客の客単価とか平均購入回数、新規と復活購入者の客単価とか購入回数……いろんな数字があってこそ、掲示された数字の信憑性がわかるのであって。そもそも、これまでの復活購入者というのはどのくらいの母数だったのか、楽天市場を改めて使う新しいユーザーってそもそもここ数年、ほとんどいないんじゃないの? って斜め視点で見てしまうわけなんです。極論、掲示した項目の母数が少ないんじゃないかと疑ってしまうデータの出し方なんですよね。

カンファレンスは株主に対してじゃない、出店者に対して行っているもの。正確な数字が実際は知りたいところ、だって把握できないとビジネスがやりにくい。ねぇ、三木谷さん。

最大の見せ場、楽天mobileの現状は

楽天mobileが完全に中心となっている「楽天市場」。市場内で販売し知恵流から流通総額の押し上げになっていますよね!ここは見せ場の大一番!楽天モバイルの契約者のうち楽天のサービスを新たに使うユーザーが15%も! という事で非常に期待が高まります。が……。

その新たに楽天サービスを使った楽天モバイルのユーザー15%がロンチから6か月で、
楽天市場を新たに使った人は25%
楽天銀行を新たに使った人は10%
楽天カードを新たに使った人は5%
合計35%も楽天のサービスを利用!

ちょっとまてw この数値から見ると、まぁ「楽天市場」を使う人が最も多いのだが、「楽天経済圏」を強烈に推し進めているが、サービスを重複して新たに使う人は少ないということか。という様に見えるのですがどうなんだろうか笑

さらに、楽天モバイルの契約者の55%が12月に「楽天市場」で買い物をしたらしい。だが、出店者からするとモノ足りない。そもそも「楽天市場」のユーザーが楽天モバイルを無料だから契約していると考える方が自然。契約者へのモバイル付与率は高いのだがら、もっと多くの契約者に「楽天市場」を使ってほしいよね。90%くらいのユーザーに使ってもらえるように、何とか施策を入れて動いて欲しいなぁ……と思ったのは僕だけ? これはどうなんだろう???多いのだろうか?少ないのだろうか?個人的には多くはないと思うのだが。。

楽天エコシステムっていう言葉
最後に、三木谷社長が講演時に幾度も発した「楽天エコシステム」というワード。基本的にITの世界で言われているエコシステム(Wikipedia参照)とは全く別物です。ただの楽天経済圏の話です。なんだかエコシステムを誤認してるようにどんどん聞こえてきて、いや……エコシステムってそこはあまり言わない方がいいと思うんだけどなぁと思ったりします。

いつまでたっても日本のサービスはエコシステム化できないよなぁと、海外サービス、そうAmazonとか見ながら思ったりして。なので、エコシステムという言及にはがっかり。

そもそも、島国で囲い込みのビジネスモデルをずっとやってきたから、世界中のシステムの1つになり人の生活を社会を豊かにするという考え方があまり浸透していないのかな。それも要因のひとつなんだろうなぁと考えていたら、三木谷社長の講演が終了。。。

楽天エコシステムか…いや~やっぱり今考えても全くエコじゃない。。ただの経済圏の囲い込み施策だから。IT業界の自由な発想と未来へのなんかそういうのがないよなぁ……日本のIT企業の代表格としては、そういった社会をどうするまで個人的には見据えて欲しいものです。

出店者としてはやっぱそんなプラットフォームに乗っかるとワクワクするよね。「楽市楽座」の実現をめざして始まった「楽天市場」。なんかここ数年、出店側からすると大きな変化がないのよね。ワクワクするようなものがさ。メディアとかもいけないのかなぁ。Amazonはよいしょするけど、楽天ってどっちかというとプラットフォーム法案でも叩かれていた側ですよね。なんで日本発のプラットフォームを応援してあげられないのかなぁ。そこも不満。

というわけで、これは楽天さんに対する期待、加えて、出店者から見た疑問などをまとめてみました。

あとがき
あくまでも、データの数字に惑わされずにきちんと数字を理解して、今後のモール運用や出店・出品モールを選択するという事に対して目を養いましょうという事で、むやみやたらにdisってるわけではないですよ笑
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