月
1月31日
19:00。
とても寒い。今日の最高気温は12℃だったらしい。
仕事で少々荒れた指先のざらざらした感触を思いながら、
手を洋服の袖のなかにおしやり歩いていた。
商店街で買い物をすませて帰途に着こうとしている私の目の前に、
スーパーからでてきた50代前半の女性が、一瞬、空を見上げた。
しびれるような寒さを再確認するように上空を見上げている。
視線の先にあるものは、月だった。
今日の月は、下弦の月。
斜めになったゆりかごのようみたいな形をしている。
その月を私も見ていたので、なんだかこの女性とは気が合いそうだな
と思ってみたりする。
寒いの響きは、どうしても冷たく暗い気分になりがちだ。
特に、こんな日には。
だけど、私とこの女性は今日、寒さを感じつつ、月を見た。
そこに、どのような思いがあるのか、ないのか、そんなことはどうでもいい。
始まりも終わりもない、まっ暗な空にただ恨めしい睨みをきかせるより、
ゆりかごを見ている人間の方が、私は仲良くなりたい。
やはり、そう思ってみたりする。
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