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ドラマ「家電侍」vsマンガ「宇宙人ムームー」家電は当然SFなのだ!


・はじめに


前々回のnoteの記事「こまけえコトはいいんだよ!肩ぐるしくない素敵なSFマンガ4作のご紹介。」において「なかなかこういうポップな日本の実写SFドラマってないのだし(Amazonプライム・ビデオの「宇宙の仕事」とか面白かったが)。」って書いたのだけど

そんなAmazonプライム・ビデオの中に「家電侍」などというドラマがあった。気になる……

製作:BS松竹東急・PROTX、見逃し配信:ひかりTV・GYAO!(運営終了)、現在Amazon Prime Videoにて配信中!

そんなこんなで丁度寝れなかったので勢いで「家電侍」全話を見てしまったのである(笑)

そういえばマンガでも良い家電SFがあった。その名は「宇宙人ムームー」これも面白いから読んで欲しいのだ。

宮下裕樹・少年画報社・ヤングキングアワーズ連載中・単行本5巻まで発売中!


・「家電侍」あらすじ


「江戸の浪人である兼梨四十郎は剣術指南の職についたと嘘をつき傘貼りをしながら、妻の静江や息子の太郎と貧乏暮らしをしていた。

ある日、家族に貧乏生活をさせる自分を追い込んだ四十郎は、近くのボロい神社、光雷神社に願掛けに向かう。そんな時に雷が神社に落ち、驚いた四十郎がお社の中に入ると見たコトの無い光る板に出会った。

板は21世紀の(A〇US製)タブレット。そしてAI家電アドバイザー「カージー」と名乗るプログラムが四十郎に語り掛けて来たのである。

静江の悩みをカージーに相談すると、毎度家電の説明の後、お社にnyamazonから、二十世紀の炊飯器や掃除機、冷蔵庫などの家電が届くようになった。

江戸の兼梨家はいつしか家電の宝庫に。四十郎は傘貼りと共に、家電の電源となるポータブル電源への充電のため、せっせとママチャリを漕ぐ生活をするのであった……」


・またもやBS松竹東急作品、そして強力なタイアップ


観ていて気付いたのだが、これも前回noteに書いた「めんつゆひとり飯」を放送していたBS松竹東急の作品である。

放送のタイミング的にこのドラマ「家電侍」はBS松竹東急のローンチ作品だったのだ。ゆるく見えつつもクオリティが高いのはめんつゆと同じ。やはりBS松竹東急は侮れない。

さて、もうひとつはタイアップ。前回は描かなかったが「めんつゆひとり飯」は食品メーカーにんべんとタイアップしている。「つゆの素ゴールド20周年」の記念事業のひとつであるのだ。

「家電侍」の場合は家電メーカーとのタイアップなのであるが、商品を登場させる時の見せ方が斬新である。カージーは四十郎にその商品の公式説明動画を見せる。

視聴者の見る絵としては、画面の7割くらいを公式説明動画。そして横に立った四十郎がカージーの言葉にリアクションするのである。なんと強力なタイアップ商品の見せ方。

……これはドラマを作っているPROTX(テレビ東京制作)も凄いが、BS松竹東急の東急の部分の力が大きいのではあるまいか?タイアップドラマならBS松竹東急というポジションを強固に固めているのではないのだろうか。


・これも見事な配役か


主人公の兼梨四十郎を演じるのは滝藤賢一さん。家電紹介におののき、全ての家電は中に妖怪が潜んでいると思いつつも家長として家電を受け入れ、傘貼りと充電にいそしむ四十郎。やわらかい表情、ギャグのノリ、たまに見せる殺陣、どれもが適役に感じる。

嫁の静江役は前田亜季さん。個人的には平成ガメラで実姉の前田愛さんと猛威を振るった天才子役のイメージが強い。良家育ちだが四十郎につくし、厳しい江戸時代の家事をこなす役をしっかりとこなしていた。いい役者になったなぁ。

謎の隣人、平賀役に水石亜飛夢さん。この人も「魔進戦隊キラメイジャーで押切時雨 ・キラメイブルーを演じていた方であり、二枚目であたたかい四十郎の息子である太郎の家庭教師をうまく演じていた。

江戸東京博物館の大型ジオラマを上手く使ったOP、日光江戸村を使った江戸の街並みで描かれる妙な家電紹介時代劇。出オチのようで兼梨家を襲う苦難は多く、でも微笑ましく見ていられるのであった。

もちろん「ポータブル電源でそんなに?」とか「アレとかの配管はどうしたの?」とか「カージー能力高いけど、それ発売が古くね?」とかツッコミ所は多いのだけど、こまかいコトは関係ねぇ!

ちなみにAI家電アドバイザー「カージー」の声はMEGUMIさん。グラビアアイドルからいい役者となったが、何故この謎なロボ声を。ちなみに「カージー」は、とある回だけとても発声が良くなるので見逃さぬように。


・「宇宙人ムームー」あらすじ


「大学に入学した梅屋敷桜子はかなりコミュ障。そんな桜子のひとり暮らしの部屋にUFOが刺さった。語尾が「ムー」な宇宙人は白い火星人型……ではなく、ネクタイをした三毛猫の容姿。名前はムームーという。

星の内戦によって技術者と知識人を暗殺し、バカだけが残ったムームーの星。惑星間航行は出来ても機械が作れない彼らは、自分達がギリ理解出来そうな地球の家電を勉強するために来たのだ。

家電の理解のために家電を分解するムームー。もちろんバカな猫(型宇宙人)にはそれは元には戻せない。修理するために桜子は通っている京急大学の怪しい集まり、人類再生研究会(活動は廃品回収・修理)へ行く。

家電バカの部長やイケメンの鶴見等と出会った桜子は、ムームーのために研究会に入部して家電の深淵に進むのである……そしてムームーは一応家電の勉強をしつつ、焦って地球に降りて来る仲間と凄惨なじゃれあいを……」


・主役は家電かヒロインか宇宙人なのか


もはや知識人不在の宇宙人たち。すでに星は消滅し、住んでいるコロニーはあと一年の命。その間に命を繋ぐ技術を理解しなければ……そんな厳しい状況のムームーであるが、まあ基本的に三毛猫である(ただし三毛の理由は別にある)のでゴロゴロと。未来のネコ型ロ……宇宙人の居候ものと家電紹介がくっついた形なのだ。

家電については作内でしくみを伝えつつ、後ろに2ページで家電ライター藤山哲人さんのコラムで現状を補完する形となっている。また、話が進むにつれてメーカー名や商品名も実名が出て来る回も出て来る。もちろんコラムでも。最新家電を語るのには昔のどこかの放送局のようにメーカーや商品名を伏せるのは難しいのである。

大きな流れはあるけど、基本的には1話1エピソード。もちろん家電紹介だけではなく、その家電を主にしたストーリーもしっかりと描かれる。徐々に家電と人と宇宙人に慣れて行く桜子と、たまに仲間と争うがいつもはポンコツなムームー、そしてキャラが立ってる登場人物、特に部長の天空橋わたるの家電愛からの活躍?が良すぎるのだ。


・実力者による硬軟自在な作画

作者の宮下裕樹先生は「正義警官モンジュ」で警官ロボの活躍と葛藤をしっかりと描いた実力者で、現在は「宇宙人ムームー」の他にサンデーGXで「任侠転生」を連載中。

月刊2作連載だが、実に骨太で、なのに綺麗な絵を描いている。かつポンコツな猫の作画が多い「宇宙人ムームー」とゴリゴリの「任侠転生」をうまくコントロールしている。凄い。まあ、ムームーもたまにゴリゴリな絵もあるけれど。ゴリゴリの大半が猫だけど。

※ 年老いても今だ任侠に生きるヤクザが異世界の姫に転生し、民や仲間を襲う敵を倒しまくるハードボイルド異世界物。原案:夏原武、4/18 最新11巻発売予定!


・おわりに


どうもBS松竹東急のドラマを探す旅はしばらく続きそうだ。とにかく配役がうまい。しっかりとベースがある役者さんが出て来るので飽きないしドラマに引き込まれるのだ。

家電マンガについてはニッチだけど、企業への取材が必須なのでwebマンガではなかなか難しいかもしれない。少年画報社の編集がどこまで汗をかいているかは分からないが、とにかく続けて欲しいマンガである。

なお、ウチの家電は三十年選手が二台もいる。そこそこ電気は知っているから危険なのも分かっているが、愛着のある製品は捨てられない(笑)

〇ャープさん、RE-102の直系作らないかなぁ。



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