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「解体屋ゲン」92巻!ウィズコロナのニューノーマル。

・はじめに


「解体屋ゲン」92巻はコロナ禍での新生活をばじめ、3Dプリンターめし、職人とは、キャリアウーマンの葛藤、ホワイトカラーとブルーカラー、災害対策色々なネタが満載の巻となっている。特にコロナで働き方が変わった人の問題事例を描いた前後編「ウィズコロナのニューノーマール」は新生活の理想と現実がくっきりと描かれている。

・909~910話「ウィズコロナのニューノーマル」


「ゲンの会社、五友爆破の中の女性チームによる不動産部門、クローバー事業部の活動が再開された。地方の不動産を仲介する新事業は株価上昇とコロナ禍によるテレワークへのシフトによってビジネスチャンスとなる。新入社員の敦子が宅建資格持ちだったために希望の新事業となりそうだ。

クローバー事業部活動再開の最初の仕事は野島が地方移住の夫婦から相談された案件。夫がIT企業に勤める遠山夫妻は緊急事態宣言によるフルリモート移行により都会のマンションから田舎への移住を進め、小川に近い傾斜地に建つ1戸建てを購入した。物件は雨漏りがあったが、その分の値引きもあり、重ね葺きによって屋根を二重化して対策をした。

しかし、遠山夫妻の夫は僅か3か月で自律神経失調症で休職という事態となった。

女だけの工務店、バブルガム株式会社との共同作業で問題解決を考えた慶子たちだが、対処に不安があるためゲンを現地調査に加えた。家の問題点は虫の声、小川のせせらぎ、鳥の声という田舎特有の騒音と、山地の日当たりの悪さ。問題点が見つかれば対策するだけであるが……。」


謎のワードが
DXガン〇ムの…
有能
使用前
使用後
いったい何が
謎のワードその2

田舎の音の問題。田舎出身者としては帰郷の度に「虫の声・カエル・鳥の鳴き声」にうんざりするのでとても良くわかる。キャンプにいって小川のせせらぎや波の音で寝られなかった経験のある人もいるだろう。

田舎への転居については音や日当たり以上に大変な問題もあるが、家の問題も色々とある。古民家再生YouTuberか沢山世に出ている時代だが、収益が得られない状況になっても田舎暮らしを続けられるかは疑問だ。

今回はテレワークありきの移住であり、テレワークの状況次第では同じように移住を考える人も出て来るだろう。ただし田舎は車社会であり、老後には厳しい生活になるのが見えている。

限界集落を持つ田舎の自治体(または企業)が、長期レンタルの建物と移住者を受け入れる教育・医療を用意して若い世帯に暮らしてもらうのが理想だと思うが、国の補助は必ず必要であり、コロナ禍後にテレワークが馴染むのだろうか。オフィスを引き払った大手企業は良いだろうが……。



・911話「村井の3Dプリンターレストラン」


「いきつけの原島の店でカツ丼を食べていたゲン・ヒデ・光の前に久々に自称ゲンのライバル村井が現れる。コートを脱ぐと変質者……じゃなくコック姿だった村井は日本初のフルオート3Dプリンターコックになり、レストランを開業すると意気込む。

国内での3Dプリンターの家建築を目指していた村井。だが、現状では建築基準法を満たした家を3Dプリンターで作るのは難しく、また安価での3Dプリンターの家の提供は職人の職を奪う恐れもあるとゲンは考えている。

村井の開催する試食会に参加したゲンと谷。食品廃棄をゼロにする、健康状態に合わせたメニューも自由自在と謳う村井。ゲンはうまいと食べだすが……。」

ゴー!(ロボッ〇刑事Kかな)


謎のワード3
面倒な地震国
え、旨そう!
3Dプリンターにヒンナヒンナ


毎度新規事業のギャグメーカーとして登場する村井だが、その企画力は素晴らしい。3Dプリンターによる合成肉などは昨年の春には特許も出されて、今後は本当に一般化するかも知れない話なのだ。

昔のSFには必ず謎の調理器による宇宙めしが登場したものだ。3Dプリンターめしによる新しいファストフードの登場に期待したい。


・912話「職人の心構え」


「街のお助け隊に参加させるため、ビジネスマナーをゴンとヒデに教えようとする慶子と有華であるが、二人の回答は絶望的。ロクに相談すると言葉遣い以前に職人の心構えがなってない、自分が教えると言う。

ゴンの家での教育にはゴンとヒデの他に新入社員の敦子も参加した。ゴンの教育は包丁研ぎから。ゴンが謎の実力を発揮するが……。」

名門イーデン校の面接対策
ハナから怒る!
切腹準備
痛くないように切れ味向上


ゴンはわりと残念な役が多いが、元々は偽物ゲンとして多くの仕事を獲っていたので社会人としては難があっても優秀な営業マン資質もありそう。まあ、どっちのポジションにも動ける良いキャラなんだよな。

なんにしろホッとする回。磨くのは楽しいしなぁ。昔はスピードスケートばっかり磨いたっけ。今もピカール大好き人間だが。



・913~914話「木組みパズル」


「内田の関係する現場で現場監督が辞めたため、サポートに行くゲン。状況から現場監督に無理させすぎと内田に怒るゲン。

コロナ禍の影響などで企画を凍結され、仕事に行き詰まりを感じる内田。職場を休んでも他の現場を見て日本の職人技術の未来を憂いる内田。

ロクを訪ねた内田はロクに子供の時から大工になりたかったかを聞くが、ロクの答えは野球選手。ロクからもらった木組みのパズルを解きつつ、母に自分が何になりたがっていたかを聞く内田。

公園でボートに乗る親子連れを見て自分を重ねる内田。子供の前に座ってボートを漕ぐのはゲンだった。既婚者のゲンへの思いを諦めきれなかった自分、それを手放さないと前には進めない。

谷に建設業界改革からゲンを外すと言う内田。日本ではゲンによるボトムアップの戦略は難しい。ならばトップダウンから進めようと内田は考えていたのだ。

谷はAIのキクとボテに相談する。日本の企業が成長する方法を……。」

ブラック職場か
コロナ禍にて
職人の価値とは
才女のハズだが木組みパズルは
内田の夢とは
円卓からハズされるゲン
やはり革命しかないな
多分、頭が……。
ツンデレめ


内田の秘めた思い。だが、それは無理な思い。それを捨てなければ建設業界改革を進められない。色々と考えて木組みのパズルを触る。その中で考えたゲンの立ち位置は。

……でも酔った勢いでゲンを押し倒す内田も見たかったなぁ(笑)


・915話「両者の溝」


「内田の建設業界改革を進める上で直接現場の声を聴きたいと、ゲンのビル解体現場に3日間の現場体験に行く谷。

ゲンに任された仕事はハンマーによる壁解体。以前には内田や野島の女子陣もやった仕事。だが非力でセンスのない谷は現場の作業員に醜態を見せてしまう。

休憩の中で話を聞くと、作業員たちは自分たちがモノ扱いされていると思っていた。立場の違う若い現場監督は作業員が帰ってからも仕事があり(というか帰ってからが本番か)、技術がない交換部品と嘆くのだが……。」

転校生
いい音出すなぁ
いい音
かわいそう
諦めの境地


現場のブルーカラーな作業員たちとホワイトカラーな現場監督。双方がプライドを削られる建設業界をどう改革すればいいのか。谷の悩みはつきない。

トラブル時に、職人の技術の上で成り立つ良案があっても現場監督側から見ると施工要領に反していたり、他の職人の迷惑になる全体を見てない案だったのするコトは多々ある。言っている方から見れば善意による効率的な案だから、それを止めるとタチの悪い方向に転がる……なんてコトは日常茶飯事だろう。

この溝を埋めるのは大変すぎるのだ。


・916話「複合災害への備え(前編)」


「休日の昼飯時にゲンたちは地震に襲われる。庭に避難すると有華は化粧品、野島はポテチの袋を持ってくる始末。

何度も防災備蓄を検討して来たゲンたちだが、今はコロナ禍。ゲンはコロナ禍で防災備蓄を考え直す状況になっているという。避難後の共同生活を考えると感染対策も必要になるのだ。

夏の暑さの中での災害もあるし、一番良いハードは発電用エンジンのある電気自動車、それとインバータや充放電設備のV2Hが必要ではないかと考えるゲンだが……。」

地震!
色々捨てすぎだろ、野島
あっ!?
まさか後にこのセリフが
V2Hは便利だが……。


個人的に実際に地震からのブラックアウトを経験した道民なので、色々な経験をしたり聞いたりした。普通の車につけられる安価なDC12V~AC100V変換インバーターと小型端末を全店舗に配ってあり、道内1100店舗の実に95%の営業を続けたセイコーマートの神格化などは全国的に紹介されたけれど、その他に

・自家発電で給油可能なガソリンスタンドが札幌でも僅かしかなかったため給油困難となった(現在は道内全体で1000店舗程増加した)。

・電波の悪い集合住宅ではTVの電源があってもアンテナブースターの電源が無くなりTVが見られなかった。

・キャリアのデータ通信(docomoが強かった)は残ったので情報手段はラジオ……いや、AbemaTV最強説が。

・直圧式でないマンションの給水が皆止まった。給水用ポリタンク必須。

・暗いと色々とやる気が出ない(上記の909~910話に繋がる話)。

・冷凍ジンギスカンを備蓄すると程よく溶けて美味しくやる気が出る。

・天の川超綺麗。

……などなど。車中泊とキャンプ用品があると便利だが、通信等を考えるとそこそこの容量のポータブル電源は必須と思い後に購入した。

特に車の無い人はスマホの充電が難しく、公的施設では体制が整うまで勝手に使う人で大変だったとも聞いた。ものによってはPCの無停電電源としても活用できるので、ポータブル電源の購入を勧めたい

……のだが、現状でポータブル電源は廃棄方法があいまいなので、国と自治体にはこのあたりの整備をして欲しい。防災製品推奨品として販売されている商品でも現状では廃棄に困る状況なのだ。


・おわりに


コロナ禍ではないが、実際に地震+ブラックアウトという複合災害にあったので複合災害への備えの項が長くなってしまった。

コロナ禍での被災については自治体でもかなり対策しているとは思うが、発生すると爆発的な感染につながるため、マスク、消毒、手袋なども非常袋に用意しておくしかないだろう。

「ウィズコロナのニューノーマール」については今後どうなるのかわからない。しかし、田舎に生活しやすい環境があれば移転する人もいるだろう。ただし、田舎で生活している老人には「自分達の手伝いをするための若い人」という意識があったりするのでそこは難しい。

レギュラーの内田が悩む「木組みパズル」。建設業界以外でもコロナ禍でやりがいを失った人は多々いるハズだ、実力はあっても。

戦争開始後に円安が進む現状は既に世界が日本の強さを評価しなくなった証拠である。競争力が低下したのは誰のせいか?企業の利益が還元されないのは誰のせいか?労働者の地位を下げたの誰なのか?

国内だけで食える企業がそれなりにあった時代には戻れないんだろうな……。


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