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「この車中泊マンガが凄い」2021春!

ついに車中泊のマンガの時代がやって来たのかもしれない?!

上の写真はその昔、9日で北海道内の水族館を全部回るいうバカネタのためにホームセンターに通って作った自作軽キャンピングカー(笑)

1991年に24時間駐車場とトイレが使える、道の駅というシステムが出来てから、車に泊まって旅をする車中泊がぐっと身近になった。マナーの悪い人間も増え、車中泊禁止になってしまった道の駅もあるが、車中泊歓迎の道の駅も多数ある。道の駅スタンプラリーが始まってからはそれ目的に各地を回る猛者も多くなった。

だが、なかなか車中泊を主軸に置いたマンガは出てこなかった。しかし、道の駅のスタートから30年。突如として車中泊マンガの出現が始まった。今回はそんな車中泊マンガを紹介してみたい。


・今夜は車内でおやすみなさい。

「おやすみなさい」、「チェリーナイツ」(各講談社)で、ビビリでハッタリばかりな優しすぎる男たちの人生を、独特のセンスと絵で読ませてくれた小田原ドラゴン先生の新作。

工場のバイトで生計を立てているが、かってはヤンマガで連載を持っていたアラ50のオッサン、シャーク小笠原(今も月一本の4コマ漫画をアダルト雑誌に連載している)が、孤独に耐えかねてマイカーのアルトで車中泊をした。

そんな直後にヤンマガ時代の担当編集者、小部氏からヤンマガWebでの連載を持ちかけられる。車中泊を描こうと決めたシャーク小笠原は、ネタのためといいながら新車のNーVANを買って退路を断ち、旅に出る……。

リアルとフィクションの境目がわからない、素晴らしい世界観。多分、個々のエピソードは実際にNーVANを買って車中泊している小田原ドラゴン先生の経験談なのだろう。島本和彦先生の「アオイホノオ」くらいの実話度と思って読んでいる。

特有のビビリギャグは健在。車中泊はやってみると、色々と神経質ではない人に向いているのでは?と思うコトが良くある。自分もビビリなので。

……そんなアレやコレやを1・2巻でまとめて、バイトもやめて、シャーク小笠原はアレを一周する旅に出る。現実世界では小田原ドラゴン先生がツイッターで読者に名所を教えてもらったり本を売ったりしながらアレを一周する旅に出ている。虚実で連動する2人の車中泊はどうなるのか!

傑作になる予感がするいいマンガです!!

なお、車中泊好きなら一度は手にする車中泊専門誌「カーネル」による「シャーク小笠原に教えたい!車中泊入門」という記事も載っています。これから車中泊をしたい人にはオススメ。


・渡り鳥とカタツムリ

仕事に疲れた営業マンの望月雲平は、愛車のアルビレオ号(丸目換装したハイエースのキャンピングカー)で旅をする絵本作家兼イラストレーター渚つぐみに出会う。つぐみにホレた雲平は、祖父の軽1BOXでつぐみを探し、つぐみに手伝ってもらってそれなりに改造したその車で、つぐみを追い駆ける旅に出るのであった……な、高津マコト先生のほんわか車中泊マンガ。

車中泊の世界は格差社会である。普通のセダンとかハッチバック・ライトバン・軽・ミニバン・ハイエース・トラック・バス……もちろん格差で面白さに差があるワケではなく、ドコで何を楽しんだかが重要だけど、軽のヨコに海外製の大型キャンピングカーを止められるとそりゃビビる(笑)

この格差を埋めるべく雲平が車をスペックアップしていく姿も見てみたいが、基本は恋愛話が主体になる模様。2巻からはバイク旅の料理人、乙鳥ナツキというかき回し役が出てきて、雲平の車を犬小屋扱いするので、車バカとしてはワンチャンあるのも期待したい。

あと、車中泊の中でうらやましいのはつぐみの低身長。そこそこ背が高いと寝るのに長さが必要ないし、トラックベースのキャプコンとかポップアップルーフでないと着替えが厳しい。寝ながらするしかないけど、個人的には温泉かトイレで着替えるパターンだったので(笑)

マンガ内では世界を旅した朝香夫妻のパピー号(ワーゲンIIウエストファリアキャンパー)で屋根がせりあがって部屋になる、ポップアップルーフの魅力が語られている。

作内で雲平がつぶやく「部屋の中でも外でもない空間」っていうのを楽しめるのが車中泊の醍醐味なんだな。


・#離婚して車中泊になりました

離婚して家を手放した漫画家、井上いちろう先生が免許返上した父から譲り受けた、軽1BOXのエブリイ、ボーンフリー号で車中泊しながら描く実録マンガ。

正直、帰る家がないのは車中泊マンガではなく、車上生活者とか車中生活者と言われるジャンルなのではないか?という疑惑も発生するが、井上いちろう先生の場合、金が無くて貧困のために車で生活するハメになった状況でもないので車中泊で良いのかな?

マンガ内では車中ハッカーという言葉を使っているが。

元々ツイッターの投稿から始まったマンガなので基本は4ページで1エピソードの構成となっている。警察の巡回で職質されたり、ベテランキャンパーの車に挟まれたり、車間距離の少ない車だらけの道に困ったり、山で動物の出現に肝を冷やしたり、車中泊で出会うさまざまな困難が色々と出て来る。

実録なので派手さはないが、実直に描かれたひとり旅は、ちょっと寂しさが漂う重みを感じるのだ。


・山と食欲と私

単独登山女子の日々野鮎美さん(27歳 会社員)が……って、ご存じのとおり今や登山マンガの代表格でもある「山と食欲と私」ですが、このマンガには車中泊好きの黒蓮七実さんが、歩美の友達として出て来るのである。

特にこの11巻では後半3話を占めて登場。4巻の初登場時はMTの改造ジムニーでゴリゴリと日本中を車中泊をしていた黒蓮さんだが、この巻ではオサレにオースチンMINIで登場。

ただし、そのミニの上に鎮座するのはルーフトップテント。車中泊魂はそのままだった。命がけな登山のためにキッチリと慎重に計画を立てようと奮闘している鮎美さんには到底考えられない、車中泊ならではの予約も登山届もいらないルール無用の旅が待っていたのである。他人から「変態アウトドア女子と呼ばれる」と自称する、変態の黒蓮さんに振り回される鮎美さんの運命は?!

そういえば、上記3つのマンガでは車中泊の大問題である「ゴミをどうするか」問題が語られていない気がする。トイレ問題は結構出て来るけれど。山のゴミ問題をガリガリ描く信濃川日出夫先生が車中泊専門マンガの前に描いてしまったりするのかも。


・まとめ

知らない街や自然と戯れ、かつ自分だけのテリトリーである狭い秘密基地の車内に籠るという、車中泊の詫び錆びをマンガで体験してみるのはいかがでしょうか?

……とかいいつつ、個人的には車中泊よりも、車中泊用に車を改造している時が一番楽しかったとかは、口が裂けてもいうまい(笑)

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