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難病からの60歳から始めた筋トレで砲丸投げの大会に出るまで

私には10万人に1人と言われる掌蹠膿疱症性骨関節炎という父親から遺伝した病気があります。ひらがなで書くとしょうせきのうほうしょうせいこつかんせいえんという、鎖骨や骨盤などの中心の骨が変形してしまう病気。変形しているときは激痛で睡眠もとれませんでした。骨、皮膚、髪のビタミンBの一種。ビオチンが腸内で産生できずに、骨が変形してしまうという病気で、皮膚科でも整形外科領域でもなく、専門医もいないアレルギーと自己免疫疾患の中間にあるなかなか珍しい病気で、40歳で治療をはじめて今年で23年年目を迎えています。

40歳のときは階段3段。歩くのは300メートルで息切れ。坂道と階段は避けて通っていました。25歳からの原因不明の微熱と骨の痛み。40歳でもう歩けない、寝たきり寸前と思ったときに病名がわかり、ビオチンを飲んで3日後に歩けたときはクララが立った的な感動でした。

治らないとわかったのに病気の付き合い方がわかったことが嬉しくて号泣しました。そこで初めて自分の骨の病気が腸内から発生していることを知り、腸内菌と肌の関係、メンタル不調と栄養学を独学で学びました。これが今の仕事の原点です。腸活や腸内菌が世の中で話題になるずっと前のことです。

ビタミンB群が腸内産生できないのは、体質みたいなものなので薬と点滴で治療を続けています。40歳のときは骨が変形し、足の皮膚が割れて痛くて全然歩けなかったので、歩くリハビリから始めました。歩き出して5年くらいたったら45歳で10キロのマラソン大会に出られるくらいまで回復してきました。早く歩く人に抜かれてしまうくらい、沿道の人が乗り出して頑張ってと心配されながらのヨロヨロ走りで完走しました。

しかし60歳を前に筋肉の衰えが激しいと思い自宅から1分のジムのパーソナルトレーニングを土日だけ始めました。ゴールドジムに来ている方は、男性も女性もトレーニング慣れしている方ばかり。運動が明らかに苦手そうなニコニコしている太ったおばさんが汗かきかき、頑張っている姿は可愛そうに見えていたかもしれません。

しかし週末に筋トレを土日にそれぞれ1時間。自然観察しながらのご近所散歩を15キロ以上。毎週続けていたら少しづつ元気になり、人生で60代が一番元気になりました。そうすると疲れて起きられないという朝は1年に1日もなくなりました。身体ってこんなにラクなんだと自分が一番驚いています。別人28号です。

今ではスクワットで50キロの重りを楽々かついでできるし、腹筋も5種類。15回3セットだから2日で400回くらいはやっています。誰が見ても痩せてないじゃんという突っ込みを頂きますがその通り(児玉清風)。食事制限しないと体重は変わりませんが体脂肪率は劇的に減ります。

私のトレーニングに根気よく付き合ってくれているのはゴールドジム1500人のトレーナーで継続率も指導回数も日本一の30歳のO君。O君の家族の話や地元の話題をしながらやっていたら楽しく続けられました。40代以降は、背筋や太ももの裏などの後ろの筋肉が弱ります。太っている人は、太ももの前は鍛えられているけど後ろが弱るからそのバランスをとるトレーニングをしてもらっています。

O君以外のトレーナーからも「ちゃんとやれば世界を狙えるほど運動神経がいい」と言われ耳を疑いました。最初はずっとお世辞だと思って聞き流していましたが五輪のトレーナーやコーチを経験された方もスクワットと立ち方をみるだけで何かやらないともったいないというのです。

マシンを引いたり、押したり、しゃがんたり。話しながらやっているだけなんですが、この何も考えないで人のをみたまま、身体を正しく使えることが運動神経が良いらしいのです。足が遅いから運動なんてダメだと思っていました。

人生で一番うれしい誉め言葉は60歳を過ぎて聞いた「運動神経がいい」でした。パワー系の競技ならそこそこ良いと言われ一番向いているのはレスリングと言われました。さすがに喧嘩もしたことないのでレスリングは無理。一番距離がでなくて安全な砲丸投げに決めました。

7月から砲丸投げをパーソナルでレッスンをしてもらっています。2.7キロの砲丸は顎につけて投げるのではなくて押すんです。全身のチカラを砲丸に込めるためにバネをつかって真上に放物線に放つイメージです。左側を手と足でブロックするから斜め上に向けた空手の正拳突きのようです。

駒沢陸上競技場で9月に大会があり60歳から64歳の部にエントリーしました。砲丸投げをやるってみんな驚いてくれるので最初はシャレやネタでしたが今はちゃんと8メートルという目標をもって投てき競技のコーチと練習しています。ゴールドジムでもなかなか無いパーソナルトレーニングだそうです。

目標を8メートルにしたのは女子のシニアの記録が11メートルだからです。生まれて初めての陸上競技大会。都内シニアの地区対抗運動会みたいなものですが、初めての陸上競技大会に出るのは楽しみです。

40のプチ寝た切り生活からの奇跡の逆転劇。諦めなくてよかったです。海外の論文を翻訳ソフトで読みながら調べて、病気の原因を15年探り続けていてよかったです。自分の足で歩けることの素晴らしさは普通に歩いて来られた人にはわからないと思います。

病気や体質は克服しないで、完治もせずに付き合っていければよいし、健康オタクやダイエットオタクにならずにやればいいんだと思います。

誰でも筋トレで人生は簡単に変わります。女性の場合腹筋したら便秘は治ります。男性の場合は運動で頭髪も変わるようです。自分の足でずっと歩いていたいので運動だけは続けていきたいです。みなさんも是非。


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