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あした、裸足でこい。 (電撃文庫) 著 岬鷲宮

【君の隣に相応しく並び立てる様に、過去を全力で書き換えよう】



【あらすじ】

冴えない過去を書き換えて、君の隣でもう一度。



勉強も夢も諦め、冴えない高校生活を終えた俺。さらに、唯一誇れた人気者の彼女とは自然消滅……。

だが卒業式の日。今や国民的アーティストになった元カノーー二斗千華の失踪が報じられる。

呆然とする俺は、気づけば過去の世界にタイムリープしていた!

三年後、二斗の隣にいられるように。彼女の知らない一面に近づき、素直で裸足の感情に向き合って――俺たちはもう一度恋を始める。

卒業(おわり)から始まる、青春やり直しラブストーリー。

道を違えた少女と少年が、過去に戻る事で、今を全力で書き換える物語。


過去は不可逆だからこそ、振り返った時に良かったと思える様に今を精一杯に足掻くしかない。
しかし、その理が大前提から覆されたらどうだろうか?
付き合い始めて間もない頃は、対等な関係を築けていた巡と千華だったが、時が経つにつれ、巡は天文学者になる夢を諦め、千華はミュージシャンになる夢を叶えた。
後悔に苛まれた巡が手にした過去に戻る力。

その力で過去をやり直そうとする巡が自分の意思で現在と過去を行き来するタイムリープするが、巡の小さくて些細な行動が、思ってみない様な影響を及ぼし、バタフライエフェクトの様に世界に波及していく。
過去を上書きして、書き換える前よりも多くの知り合いを得ることは出来るが、まるでその代償を払うかの様に後輩の真琴と疎遠になっていく。
過去を変えて何かを得ると同時に、裏返せば何かを失う行為でもある。
そう、等価交換の様に何かを得る為には、何かを失わければならないのだ。

蓄光星形カードを昇降口に貼って天文同好会をアピールしたり、千華の家で部員勧誘の方針を考えたり、活動実績のために動画を作ったり。
巡が様々なトラブルを、周りに助けを求めつつも何とか解決していく。
そして解決した先で様々な人々と出逢う。
その人達との小さな縁がやがて大きく拡がって、巡の心を成長させていく。

ミュージシャンになった千華に追い付ける様に、巡は、再び天文学者になる夢に手を伸ばす。
彼女の隣に立つため青春を全力で駆けていく。
彼女の遺した曲をピアノで弾く事で、過去に戻れるという事は、巡の本当の夢を誤魔化さずに追いかけて欲しいというメッセージなのだ。
過去に後悔があるからこそ、取り戻しに行く。
一度に一気には変えられない。
それでも、少しずつなら変えていける。
過去と今、二つの世界を行き来して、手探りしながら、彼女と共に歩ける未来を探していく。

過去を変える事が出来るなら、僕は何がしたいだろうか?
あなたは何がしたいだろうか?
巡は、この授かった力でタイトルが示す様に、何も持たず裸足のまっさらな感情で駆け出していく。
後悔という心の楔を解消する為に。

この力を存分に活かすべく、全力で足掻く青春の躍動があったのだ。


過去に何か後悔がある人には是非とも読んで欲しい。




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