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書評・レビュー(最新)

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記事一覧

デジタル・サバンナの部族主義ーー綿野恵太『「逆張り」の研究』筑摩書房

逆張りとは? もともとは株取引の用語で、相場の流れに逆らって売買する手法のこと。皆と同じ…

海老原豊
16時間前
2

動きすぎてはいけない!?――十三不塔『ヴィンダウス・エンジン』(ハヤカワ文庫SF)

(2020年12月20日シミルボン記事の再掲) 動かないものが見えなくなる奇病ヴィンダウス症。治…

海老原豊
4日前
6

人間はウソに弱い生き物であるーー石川幹人『だからフェイクにだまされる』(ちくま新…

「だから」とタイトルにある。何に続く「だから」なのかといえば、人類がおよそ300万年前に始…

海老原豊
7日前
2

「新しい支配」への抵抗は可能かーー木澤佐登志『闇の精神史』(ハヤカワ新書)評

本書は、第1章「ロシア宇宙主義」、第2章「アフロフューチャリズム、第3章「サイバースペース…

海老原豊
9日前
14

「文化」は誰のものかーーカロリーヌ・フレスト『「傷つきました」戦争』(堀茂樹訳、…

筆者はフランスのジャーナリスト、評論家、映画監督。『シャルリー・エブド』にコラムも寄せる…

海老原豊
2週間前
7

イノベーションは個人が起こすのではなく集団脳の累積的文化進化の結果である--ジョ…

面白い&分かりやすいので下巻もサクサク読めたぞ。分厚いが註がたくさんついているので、思っ…

海老原豊
3週間前
5

マーク・クーケルバーク『自己啓発の罠』書評ーー自律的でもなく他律的でもない関係的な自己

突然の質問で恐縮だが、皆さんは自己啓発本を読まれるだろうか? 私は、ほとんど読まない。自己啓発本を読むのは「ちょっとイタい」と思ってしまうからだ。メタ自己啓発本は好きだ。最近では牧野智和『日常に侵入する自己啓発』やレジー『ファスト教養』に大いに触発された。しかし、実は自己啓発動画はよく見るのだ。良くといっても週1本10分程度。英語系の自己啓発動画を「英語の勉強」と称して見る。procrastinate「先延ばしする」という単語も自己啓発動画で覚えた。もっとも、使うのは「こんな

「幸せ」であることの何がいけないのか?――エドガー・カバナス&エヴァ・イルーズ『…

本書は、ポジティブ心理学が経済学と合体した結果、個人が「幸せであること」が経済的な価値を…

海老原豊
9か月前
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超面白い本ーー宮内悠介『超動く家にて』(創元SF文庫)書評

(シミルボン2021年5月16日投稿の再録) 宮内悠介は面白い作家だ。シリアスな作品が多いかと…

海老原豊
5か月前
23

だれだって、いつだって、疎外――朝井リョウ『もういちど生まれる』

(2017年12月1日シミルボン掲載の再掲) 1『桐島』と『何者』のあいだ『桐島、部活やめるっ…

海老原豊
7か月前
10

ハッシュタグの、隙間ーー『#ハッシュタグストーリー』(双葉社)

ハッシュタグでつなげられた四つの短編。麻布競馬場「#ネットミームと私」、柿原朋哉「#いに…

海老原豊
2週間前
2

まじめにゆるく考えるーー東浩紀『ゆるく考える』(河出文庫)

(シミルボン2019年11月20日原稿の再録) SNS、とくにTwitterの可能性を信じていたころの連載…

海老原豊
2週間前
8

小麦帝国の侵略--ジョージ・ソルト『ラーメンの語られざる歴史』(国書刊行会)

(2019年10月15日シミルボン掲載の再掲) 本書は今や日本の国民食となったラーメンが、どうや…

海老原豊
3週間前
3

ノンネイティブ・ロールモデルの不在--鳥飼玖美子『本物の英語力』(講談社現代新書)書評

(2019年10月11日シミルボン原稿の再録) つい先日、某有名ミュージシャンが、「日本人は6年~9年ぐらい英語をまじめに勉強しているのに、なんで英語話せないの。アジアで比較しても、日本人が英語できないことは、突出していないか」(大意)とつぶやいた。英語教育クラスタが反論し、議論が起こっていた。反論の中にもあったが、これ自体は昔からよくある日本の英語教育批判で、新しい点があるとしたらミュージシャンがつぶやいたことぐらいか…。 日本人の英語学習者に一番たりないのはなんだろう