音大卒の貧困?
こんにちは! ファゴット奏者の蛯澤亮です。楽器を吹いたり、youtubeやnoteで情報を共有したり、コンサートの企画運営をしています。一緒に人生と音楽を楽しんでいきましょう♫
さて、基本的にポジティブに人生を歩んでいきましょうと言っている私ですが、そんな私が取り上げなくてはいけないであろう記事がありました。
東洋経済オンラインの記事です。
私と同世代の音大卒のリアル体験を取材した記事なのですが、いかにも東洋経済らしい記事といえば東洋経済らしい。
結果的にこの記者は何を言いたいんだよ!って記事です。
記者の中村淳彦さんは、私のように個人的につらつら書いているような人間ではなく、プロとして書いているであろう記者なのでしょうが、こんな記事になんの意味があるのか?と私は思ってしまいます。どこに需要あるんだろうと思ったのですが、なんとこれがアクセス数を稼いでいるのです。
なんとこの一日のアクセスランキング第一位!!
今回、私の書くことにも批判は出るでしょうが、私としてもこの記事への感想を書いておこうと思います。
色々思うところはあるのですが、とりあえず2000文字程度で書けるところを書いてみます。
音楽家としての私についてはこちらをご覧ください↓
バイトをしながら音楽活動するのは珍しいことではない
大学時代も大卒後もバイトしながら音楽活動するのは全く珍しいことではない。
たとえ裕福な家庭の生まれであってもバイトをしている友達はいた。富裕層で東京に一戸建ての良い家を建てていてもバイトしながら大学生活をしたり、卒業してから一人暮らしをして、音楽活動だけでは賄えないからバイトをしている人も多くいる。
そもそも音楽家には資格がない。なんの資格もないのだ。
医大も学費がかかるが、医師になれば生活ができる。しかし、音大はそうはいかない。音大を出ても、大学院を出ても、音楽家としての資格は何もない。自分で音楽家を名乗り、生計を立てるべく精進しなければいけないのだ。
そのつなぎとしてバイトをしながら生計を立てる。これは芸人や俳優などと同じ。実際はバイトで暮らしていても自分が「音楽家だ」「芸人だ」「俳優だ」といえばその職業なのだ。青色申告の申請書に職業「音楽家」と記載すれば紛れも無い音楽家だ。
もし私が不慮の死により報道されるなら「自称音楽家」と報道することはやめてほしい。私は「職業• 音楽家」として事業申請している。それで事業申請が通って確定申告しているので日本国民として紛れも無い音楽家のはずだ。
一般的に認められるにはオーケストラのように会社に属するか、大学の先生になるか、またはコンクールで賞を取ったり、有名になったりして自分のブランドで売れるかである。
バイトをしながら音楽活動をするのをどの時点で抜けるか、どのような手段で抜けるかというのは人それぞれ。この記事の女性、香月江美子さん(仮名、42歳)のように私と同世代でバイトをしながら音楽活動をしている仲間だって少なくない。でも仕事をもらえて人前で演奏するときは意気揚々と「プロの音楽家」として演奏するのだ。
時代も国も関係ない
よく、ヨーロッパは違うとか、日本はダメとか言う人がいますが、安易に言う人には賛同できない。
モーツァルトだって貧乏だった。彼が自分の表現したい曲を作れば作るほど評価されないジレンマに陥り、やりたくもない貴族の娘へのピアノレッスンだってやったし、自分の曲を披露するコンサートを自分で開いたし、いろいろなところに自分を売り込みに行った。
ウィーンフィルだって第一次世界大戦後の不況ではチケットが全く売れなく存続の危機に陥った。その時代、あの世界一のオーケストラの団員たちが一人一人チケットを売って回ったのだ。私の師匠ヴェルバ先生や馬込先生の師匠であるカール エールベルガー先生の時代だ。インタビューで「私は最高何枚売ったぞ!」とお互いに自慢する姿が書かれている書籍もある。
どこにいようが、どの時代だろうが、大変な職業であることには変わりない。問題は自分がどう生きていくかではないだろうか。
東洋経済が注目するべきは当時の経済政策ではないのか?
香月さん(仮名)は私の二つ上ということだが、私たちの世代は就職氷河期といわれた時代だった。音大卒がどこかに就職しようと思っても簡単ではない。だって一般の大学生が就職しようとしたって大変だった時代だ。
私たちの世代は子供の頃にバブル経済を経験し、そこから凋落する日本経済で思春期を過ごし大人になった世代だ。その延長上で就職氷河期。失われた二十年とよくいわれるが、この間の経済政策を精査し、今に活かすことが大事であり、そのためのメディアではないのだろうか?
就職氷河期の世代は音大卒だけでなく、全体的に契約社員やバイトで生計を立てている人が多く、そういった人たちはアベノミクス以降、職を得られたとしても管理職になれることは極めて難しく、賃金は上がらない。これは音大卒という括りで語る問題ではなく、社会問題なのではないか。
では政府の政策はどうだったのか?
日銀の金融政策はどうだったのか?
そこからの反省はなんなのか?
どう今に活かすのか?
ここが大事なのではないだろうか?
この東洋経済オンラインの記事を読んだ音楽家はぜひそこも重要な論点として考えてほしい。そして自分の生活を良くするための投票行動に繋げてほしいと思います。
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音楽は人生だ
師匠の言葉でこんな言葉があります。だから私の師匠は「質問されれば生徒にはどんなプライベートなことも話す。それが全て音楽に繋がるから」と言っていました。
そしてまたこうも言っていました。
その言葉は私の音楽家としての指針になっています。
もちろんネガティブな要素は音楽を表現する上で必要です。パッシブであることも必要です。そういった気持ちも経験もきっと音楽を創る、奏でる上でプラスになっていきます。
もし今回の東洋経済オンラインの記事でモワモワした気持ちになったり、同調して暗くなったりした人はぜひ気持ちを持ち直してほしいです。仲間はたくさんいます。どんな境遇でも音楽家としてみんな仲間なのです。香月さん(仮名)もです。
既にnoteで書きましたがこの3年間よりもフリーの音楽家にとっては厳しい時期がこれから来るかもしれません。でも音楽家みんなで頑張っていきましょう!だって、音楽がしたいんだから!
みんなで助け合い、精進していきましょう!
良い週末を!
蛯澤亮でした。
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