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【音大生のキャリア戦略】音大生もフリーの音楽家も!現代に対応できる能力とは!?【ポートフォリオキャリア】

緊急事態宣言が解かれたとはいえ、演奏会場はまだしばらく機能しない、開けたとしても演奏会をするには準備が必要なので急に開けられるようになっても開催できない。つまり、まだしばらく音楽家にとって時間がある時期が続きます。

そんな時に読んでみるのにちょうど良いのが、自分を見つめるような本。自己啓発本も良いですが、音楽家向けに書かれている本を読んでみるのも良いと思います。

とはいえ、音楽関係の本と言っても意外と売っていないし、いつもは忙しくて気にもしていない人は多いと思います。そして、買おうと思ってもこういう本って高い。なので、これからえびチャンネルとこのnoteで音楽関係の本の紹介や解説などを行っていきたいと思います。

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【音大生のキャリア戦略】音大生もフリーの音楽家も!現代に対応できる能力とは!?【ポートフォリオキャリア】


どうすれば音大卒の若者は仕事にありつけるのだろうか?

この本ではまず最初に、音大生の多くが抱いている「プロになる」とはどういうことなのかを考えさせられます。

音大生の多くは自分の専攻をとにかく追求します。作曲、ピアノ、バイオリン、フルート、トランペットなどなど、自分の専門を深め、スペシャリストになろうとします。それは正しいことです。若い頃の私もそうだったし、今でも同じ考えでいる人も少なくないと思います。

しかし、現代社会において「一芸」に秀でたものが評価されるのだろうか?

オーケストラに入れば勝ち組でフリーランスは負け組なのだろうか?

コンクールで良い成績を取れば勝ち組なのだろうか?

そもそも成功とは何か?

それを音大生がどう考え、何をしてどう変わっていくのかというところも書いてあります。また、フリーで活躍する音楽家がどのように成功しているかを語ってくれています。



雇用される、あるいは自営業を営むとはどういうことなのか?

今までは基本的に「雇用される」ということが成功でした。「事務所に入り、世界を股にかけて演奏活動する」「オーケストラに入る」などなど。

しかし、他業種であっても今はフリーランスが多くなっています。大手企業を辞めてフリーに転身し、成功する人。一流企業を辞めて起業し、成功する人。音楽界であってもそれは同じ。かつてのようにごく一部の認められた人たちが活躍し、そうでない人は地味に生きていく時代ではないのです。チャンスは誰にでもあるという決まり文句が当たり前になっています。

今回、持続化給付金を受け取るのに「事業収入で申告していない音楽家」が多いことが発覚しました。私もかつてはそうでした。雑所得で良いと私も言われましたし、それで申告していました。しかし、個人事業主として、フリーランスとして活動するということはやはり自分で「事業」を行っているという自覚が必要です。ただ、同じことをしていても「事業」か「雑」で申告するだけの違いと考える人も多いでしょう。しかし、それは周りの見方も役所の見方も全く違います。実際、今回のようにフリーランス向けの給付金を受け取れないということになるのです。もちろん、それは今回においては救済されるべきですが、それでもまた来年「雑」で申告するような人は次にこのような自体が起こった時に救済されないと思った方が良いと思います。

フリーランスは負け組ではないが、勝ち組になるかは自分次第。生活できるかも自分次第。決まった給料がない中で安定した収入を作り、常に精進しなければいけない。大変なことですが、逆に楽しく、夢のある働き方だと思います。


音楽家とはそもそも何なのか?

音楽家は音楽だけをすれば良いのか?という問いに、音楽家、特に自分の専攻に打ち込んできた人たちは耳を塞ぎたくなるでしょう。

作曲をすること、演奏をすること以外に何もしなくて良いという人は実はいないのではないでしょうか?成功を手にした世界有数の音楽家たちも決して音楽だけをしてきたわけではありません。

現代だけでなくとも、バッハ、モーツァルトやメンデルスゾーンなどクラシック作曲家たちも作曲活動以外に仕事をこなしながら二百年以上演奏され続ける名曲を作ってきたのです。

バッハはオルガニスト、ヴィヴァルディは修道院で教鞭を取り、モーツァルトは自分で演奏会を開き、フリーメイソンでパトロンを探し、メンデルスゾーンは指揮者。マーラーは生前、作曲家としてよりも指揮者として高名で、当時は作曲家としてほとんど認知されていませんでした。

しかし、彼らは嫌々やっていたのかといえば違うでしょう。それぞれ一所懸命にこなし、自分の本当にやりたい創作活動ができる人生を作り上げていったのではないでしょうか。


ポートフォリオキャリア

動画で話したように様々な収入源を持つ働き方。それを行える多様な経歴がこれからの時代に必要なのです。

しかし、経歴というのは自分で作っていくもの。例えば会社に入って全く知らなかったやり方を知ってスペシャリストになっていく人は多いでしょう。音楽家も同じ。最初はみんな素人です。大事なのは自分が進みたい方向を大きく持ってアンテナを張り、対応していくことです。動かなければ何も始まらないし、外から何かを持ちかけられてやらないなんてもったいないです。もちろん、決断は全てあなたにあります。断るべきものは断るべき。しかし、様々なことに興味を持ち、楽しんで仕事することが音楽家としての幅を持つのにも良いのではないでしょうか?

実際、私も今までえびチャンネルの動画は全てしおりDに任せっきりでした。しかし、このコロナ禍で一つずつ勉強していくことで動画編集もそれなりにできてくるようになってきました。最初は文字入れ程度でしたが、今回の動画では所々カットして編集することができるようになりました。最初とは作れる内容もスピードも段違いです。なんでもやってみるというのも大事だと改めて思いました。


これからを生き抜いてゆく音楽家へ

かなり大雑把な解説でしたが、この本を読んでみると細かくメモするべき内容があります。一読してみるのも良いかもしれません。こういったことを「演奏家のための基礎講座」として昨年に何回かやりましたが、今年は定期的にやろうと思っていました。しかし、コロナ禍で延期中ですが、もう少ししたら始めたいと思います。フリーで活動する音楽家がほとんどという中で、みんなで情報共有し、一緒に歩んでいけるようなコミュニティも作ろうと思っています。それはまた後ほど。

最後にイギリスのピアニストであるスーザン トムズ氏がこの本の冒頭に書いている文を引用して終わりにしたいと思います。

本書でも「キャリア戦略」について多くのことが語られると思いますが、音楽というのは、実際のところ、誰でも気づけるキャリア(仕事)というより、ヴァケーション(天職)なのです。若い音楽家の人はこのことに気づいてもらいたいと思います。あなた方は音楽を愛することで、仕事が不確実であてにならなくて失望してしまうような状況にも、きっと耐えられるからです。音楽は確かな仕事ではありませんし、将来もきっとそれは変わらないでしょう。しかし、音楽の仕事は大いに満足を与えてくれますし、それはほかのどんな職業よりも大きいのです。音楽の世界は深く、常に演奏家を夢中にさせ、満足させてくれます。多くの人々が心から音楽を愛し、その音楽を聞かせてくれる演奏家をも、愛してくれているからです。


ファゴット奏者
蛯澤亮


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