っていうかエッセイ小説なんだわな

童謡も、おとぎ話も、歌も、テレビも、ツイッターも。古びてきてモノの価値は見えないもののなかにひっそりまぎれる。そうなってきた。老人からは見えないインターネットに。大人からは見えないティックトックに。一瞬しか見れないインスタグラムのストーリーに。みんな、ばらばらに散らばって、それぞれのコミュニティーを築いてそこに籠城するようになってしまった。

元ネタがあるとしたって気づかれない。知らなければ気づかれない。

たとえ、それが所謂パクリであったとして、それを囲った人たちが知らなかったら何一つも気づかれないのである。現代社会とはそうした秘境であるのだ。
皆してテレビのまえに座っておなじ話題をする時代は過ぎたのだ。

童話やおとぎ話もいずれは消え失せる。かつて日本の民話が収集家の手によって記録されていなければ、泡と化して、残存していなかったように。口伝の話なぞもはや聞く耳を持つ者もいなかった。みんな、スマホの画面やテレビを向いて、近所のおじいちゃんおばあちゃんの話何ぞ聞いていない。

今日もまたなにかの物語がだれかといっしょに死んでいく。
だから、私たちのストーリーは、書いてみるしかない。残していくしかない。ただそれも、インターネットの掲載サイトがサービス終了したらばすべて抹消されてゆく。すべては儚いインスタグラムのストーリーと大差ない。この世界の物語は本当はとっても脆弱なのだ。

消えていく物語を追うすべはなく、私たちは見送るばかり。
物語たちも、私達に手をふるばかり。

いずれは、私たち、そのものが手をふる側になるのかしら。人間の一生とは短いものである。星がまたたく間に、消える程度には。

せめて、精一杯に楽しみたいね。


END.

読んでいただきありがとうございます。練習の励みにしてます。