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ロンドン駐在記020 : 冷蔵庫 (交換)

1. 冷蔵庫の戦い

 8月29日の新居入居日に、冷蔵庫の効きが悪い事が発覚した。すぐに取り替えてもらえるかと思いきや、取替て貰うまでに1ヶ月以上を要した。以下にその奮闘の履歴を纏める。

2. 不具合の発覚

 入居初日に、スーパーで買い物をして、冷蔵庫に入れた。冷蔵庫は動いているようだったが、全く冷えなかった。冷凍庫の方は、問題なく機能していた。温度設定のレベルをMaxにし、翌朝に確認したが、やっぱり全く冷えていなかった。

3. 不動産屋への連絡

 別件で不動産屋が部屋に来る機会があったので、ついでに見てもらった。日系の不動産屋の社員は、同じ価値観で冷蔵庫が冷えていない事に同意し、不動産屋経由で大家さんに連絡してもらった。

4. 大家さんのチェック

 さっそくその翌日に、大家さん夫妻が状況確認にきてくれた。平日だったので、妻が対応した。妻は何を言っているのか分からなかったが、大家さん夫婦が冷蔵庫を見た後、二人満面の笑顔でOKサインをだしていたそうである。これで一件落着かと思いきや、追って不動産屋から会社に電話がかかってき、大家さんは冷蔵庫は十分冷えているので交換はしないと言っていると連絡が入った。「今は冷蔵庫が空っぽだからそんなに冷えていないが、物を詰めると良く冷える。」と言っていたらしい。でたらめもいいとこで、本当は物を詰めるほど余計に冷えなくなるのだが…。大家さんが問題ないと言っている以上、何もできないとの事で、しばらく様子をみるように促された。

5. 冷蔵庫の温度

 十分に冷えているかどうかの客観的な判断が必要なので、作戦を練ることにした。冷蔵庫の説明書を読み、温度に関する性能の記述があるかと探したがなかった。大家さんに冷蔵庫で冷えきってないビールを飲ますか等々、オフィスで後ろの席のお爺さん社員と話をしていると、その隣の社員が話しに入ってきた。Heat Transfer Engineerの肩書を持つ彼曰く、3~4℃が通常冷蔵温度らしい。一方、最初に相談したお爺さん社員からは、穴を掘って埋めると結構冷たいなど採用できないアドバイスしかもらえなかった…。結局のところ、不動産屋に依頼し修理工を派遣し、専門家に見て貰うことにした。

6. 修理工の派遣

 前もって電話で冷蔵庫の状況を説明したところ、おそらくガス漏れではないかとの専門家の見解だった。確かに冷凍庫は機能しているし、ガスを入れれば冷えるかもと、期待をして訪問を待っていた。約束の時間には10分遅れで現れ、冷蔵庫を眺め確かに冷えていないと言い、道具を取りに車に戻った。さあ作業を始めるのかと思いきや、戻ってきたとたんに今日は帰ると言い出した。理由を聞くと、ガスが後少ししか残っていないらしい。“お前はガスを入れる為に来たのではないのか!”と怒鳴りたい気持ちを抑えて、笑顔で送り返した。次の週にガスを入れたが、なんら変わりなく冷えないままだった。

7. 取替え決定

 妻は諦め感が強くなり、英語で話しかけられるのにも疲れて、「もう今のままでいい。」と言い出していた。だが、残りの駐在期間を冷蔵庫無しで過ごす訳にもいかないので、再度修理工を呼ぶことにした。妻の対応だと拉致が開かないので、会社を早く出て直接対応できる金曜日の午後にした。修理工は冷蔵庫の扉を開け、ミネラルウォーターをさわり、「全く冷えていない、いつから入れているんだ?」と少し興奮して聞いてきた。実は会社から帰ってきて、ついさっき入れたばっかりだった。しかしながら、ここは勝負の分かれ道と察し、ついさっきとは言わず、また嘘はつかないポリシーにも違反しない返答を頭の中で瞬時に考え、「Today….」の一言が口から出た。これで背中を押された修理工は、携帯で不動産屋と話をし、「この冷蔵庫は買い換えるしかなく、直接大家と話をさせろ!」と積極的に動き出した。システムキッチンの中に備え付けられた冷蔵庫であるが、冷蔵庫本体のみを取り替えることは可能で、それならそんなに値段もかからないと交渉していた。修理工の説得が功を奏し、晴れて9月19日に大家の取替え購入了解がでた。

8. 取り付け完了

 換えると言ってからも時間がかかり、黙っていると動かないので、不動産屋に督促の電話を2回入れた。10月5日に、念願の新しい冷蔵庫が取り付けられた。その翌日に飲んだ、久しぶりに良く冷えたビールは、格別の勝利の味がした。

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