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新社会人になって初めての恥ずかしいミスをここで供養したい

思い出したくもないのに勝手に思い出される過去の黒歴史をどうしたものかと考えていた。
今回思い出したのは、初めてのお仕事での失態だった。
話せば少しは楽になると信じて、ここにぶちまけさせてほしい。

高校を卒業してすぐ、私は飲食店に正社員として入社した。
校則の厳しい学校だった為、アルバイトなどは一切禁止されていた。
それゆえ卒業後に入社した飲食店が、私の初めての「働く」という経験となる。
毎日てんてこ舞いになりながら必死に働いて数ヶ月が経った頃、恥ずかしいミスをしてしまった。

飲食店でよく「ごゆっくりどうぞ」と言われたことはないだろうか?
店員が食べ物を運んできた際、去り際に言うことが多い台詞である。
私の職場では必須の挨拶だったため、毎日言い続けてはもはや癖のようなものになっていた。

そんなある日、1人のお客様に御手洗の場所を聞かれた。
「ご案内致します。こちらへどうぞ。」と手で方角を示しながら御手洗にたどり着き、「こちらになります。」と案内を終えようとした。
するとお客様が「わざわざすみません。ありがとうございました。」と丁寧にお礼を言って下さった。
私は「とんでもございません。」と一言言って立ち去る予定だったのだが、つい癖で「ごゆっくりどうぞ」と告げてしまった。

テーブルでごゆっくりするはずだったお客様を御手洗でごゆっくりさせてしまった。

そもそも御手洗はごゆっくりするものであろう。
本人が己の尻に限界を感じて急いでいない限りは、基本的にごゆっくりなされるはずだ。
言わなくてもいいことを癖で口走ってしまい、私は熱くなる顔で俯きながら早足でバックヤードへ駆け込んだ。

その事を同期の子に話したところ、大爆笑された挙句、店舗全体にその日のうちに広まった。
そしてその店舗では社員同士の「御手洗行ってきます」と連絡に「ごゆっくりどうぞ〜」と返すのが流行ってしまった。

まさかひとつのミスで一世を風靡することになるとは思わなかった。
御手洗に旅立つ度に、私の黒歴史を掘り返すのは辞めて頂きたい。
こんなことになるなら同期の子に話すんじゃなかった。

一夜にして大スターになってしまった私は、流行りが収まるまで弄られ続けることとなった。

その後、家の事情で退職となったが、今でも思い出すと「うぎぃぃぃぃ」と歯を食いしばりながら枕に顔を埋めて叫びたくなる程に恥ずかしい。

もし今日、仕事で失敗して落ち込んでる方がいたら、私の過去のミスを読んで笑ってくれたら嬉しい。
少しでも読んでくれた貴方が笑ってくれたら、私は成仏出来る気がする。

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