見出し画像

正義感もほどほどに…

周囲を見渡すと、目に余る許せない行為を目撃する。
例えば歩きスマホ。
これは他人事ではない。
これが元でトラブルになるケースも多々ある。
そして電車やバスの車内でのリュックを背負った輩。
特に混雑した車内はすんげえムカつく。
何度かサンドバッグの様にパンチとキックの連打を喰らわそうと思った程。

しかし、正義感が強いあまり注意をすると反対に攻撃される事も珍しくない。
確かにこの様な行為は理不尽なのは百も承知である。
事故につながるのではなく、事件につながってしまっては元も子もない。
ニュースを拝見すると、注意した人が怪我や命を落としたといった悲劇もまた珍しくない。

要するにこの様な状況に出くわしたら、自身で解決するのではなく、お巡りさんに頼むのが正しい選択だ。
で、正義感あふれるポリスメンを想像してみた。
そうそう、いた!猛烈に正義感あふれる呆れるほどクソ真面目な奴を!

画像1

邦題「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」ニコラス・エンジェルだ!

わーお!

そもそも、ニコラス刑事、何だかニコラス・ケイジみたいで紛らわしいのでやり直し。
そう、ニコラス巡査はロンドンの警察に勤める超エリートだ。
しかし、周囲の同僚は真面目すぎるニコラスをよく思っていなかった。
成績優秀、検挙率No 1、市民から絶大な信頼を得る。
超というよりクソが付くほど向かう所敵なしのニコラスの存在は職場では目障りな存在だった。

ある日、突然ニコラスは理不尽な理由でサンドフォードという田舎町に左遷されてしまうのだ。

この物語の中心人物はニコラスを演じるサイモン・ペッグと、警察ものの映画が大好きで気の良いダニー・バターマンを演じるニック・フロストの二人が笑いを交えながら繰り広げる。

画像2


話しを戻そう。
サンドフォードという村は、大都会のロンドンとは違い事件とは無縁のど田舎だ。
ニコラスは村に到着すると、ホテルでチェック・インを済ませた後、薄暗い広場に立つ。
近所のパブに入るとニコラスの目の前には信じられない光景が焼き付く。
というのも当然だ。
客の大半は明らかに未成年だ。
正義感の強いニコラスは直ちに客の大半をしょっ引く。
未成年とは別にビールを飲む不健康そうな体型の中年男性が気になるニコラス。

猫の額ほどの広さだろうか、小さな広場に噴水を見つけたニコラスは噴水の製作に着手した人々の名前が目に入る。
すると一台の車に近付く男を目撃する。
ニコラスは注意深く観察する。
すると先ほどまでパブでビールを飲んでいた中年男性が車を動かそうとしていた。
ニコラスは注意する前に車が急に後進すると、後ろの噴水とニコラスにぶつかりそうになる。
またも正義感に強いニコラスはしょっぴいた未成年と共に中年男性を近くの警察署に連行する。

これは運命の悪戯というべきか、連行した中年男性は警部補の息子だったのだ。
今までの環境と違い、警察内はノーテンキな同僚ばかりで真面目なニコラスが浮いてしまっている。

このまま物語が発展しないと映画自体つまらない。
ノン.ノン、ノン、心配は無用だ。
そうそう、事件と無縁なのは理由があるからだ。
サンドフォードという村は「ビレッジ・オブ・ザ・イヤー」という賞を何度ももらっている。
平たく言うと最も平和で治安の良い場所なのだ。

だが、平和な村であるにも関わらず、ニコラスの前で不自然な事件が舞う。
最初は交通違反をした大根丸出しの演劇カップルが謎の死を遂げる。
続いて大富豪も不自然な死を遂げた後、新聞記者も謎の死を遂げる。
就任してからニコラスは薄らとこの村に対し疑問を持っていた。
その前に警部補からニコラスが就任する以前に、同じ都会から来た仕事熱心の警部が来たが長続きしなかったと聞いていた。
ニコラスは慎重に操作を繰り返して行くと、ある接点が繋がる事に気付く。

4人(後に5人となる)の死には道路拡大の計画がある事を知る。
これらを紐解くと、土地買収そのものは二束三文なのだが、これらの土地を工業施設を作る計画があると知ったニコラスは、単なる殺人ではなく計画的殺人だと仮定する。

操作を繰り返していくとある人物に辿り着く。
その人物とはメガマートと呼ばれるスーパーの主人であるサイモン・スキナーだ。
なぜかというと、事件現場に必ず居合わせたからだ。
しかも事件の同様に不自然な時に。

ニコラスはダニーと共に事件の真相を追うのだが、洗い起こせば起こすほどより不透明な真相に辿り着く。
先ずニコラスが目を疑った点は、「ビレッジ・オブ・ザ・イヤー」を毎年受賞している村そのものを怪しむ。
次に村民自体が変な団結力がある点だ。
後者は冷静に判断すると、村の美化運動というより、村から害のあるものを排除しようとする偏った正義だ。

この先は物語は大きく傾く。
続きは作品を鑑賞して欲しい。
観ていない人は絶対に損はないと勝手ながら太鼓判を押す。

この作品はサスペンスの要素とブラックコメディの要素が上手く絡み、独特な香りを醸し出すいい塩梅に仕上がった最高傑作だ。

またアクション映画の要素も詰まっている。
それとグロいシーンもある。
あ、そうだ、この作品には正義感の強い4代目ジェームズ・ボンドを演じたティモシー・ダルトンがサイモン・スキナーという悪役で出演している。
真面目な役の印象が強いだけにぶっ飛んだ演技を観るだけでも必見だ!

画像3

因みに、この作品にケイト・ブランシェット、ピーター・ジャクソン、スティーヴ・クーガンがカメオ出演している。
どの場面で出演しているかを探すのも楽しめるよ♪

もう一つの見どころは、表情豊かなサイモン・ペッグがこの作品ではほぼ無表情だ。
随所に往年の警察ものの映画作品のシーンを真似た部分は笑えます♪

何より、この作品を監督したのはエドガー・ライトだ。
タランティーノとは違う映画通を唸らされる場面も用意されてある。
例えば、ニコラスが復讐というか反撃するシーンは往年のマカロニ・ウエスタン調の出立ちで敵に向かう。
また、ニコラスとダニーがタッグを組み敵に立ち向かうシーンは、バッドボーイズ2バッドを思わせる緊張感が漂う。
こういった点も見どころの一つである☆

画像4

終盤のアクションシーンは格好良いけど笑えます♪

最後に、正義感の強い方々に改めて忠告。
くれぐれもトラブルの元となるので、許せない不埒な行動をした輩を見ても注意せずに、先ずはスーパーポリスメンを呼ぶ事をお勧めする。

なんのこっちゃ

※ 余談だが、この作品はイギリス国内では大変評判が良かったにも関わらず、危うく前回紹介した邦題「俺たちニュースキャスター」と同様、お蔵入りとなるところだった。
多くの映画通の署名活動によりお蔵入りを何とか食い止めた逸話がある映画である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?