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アースデイ活動の原点を辿る備忘録~地球環境への想い

文:萩谷 衞厚(アースデイジャパンネットワーク共同代表)

「地球温暖化は地球沸騰化へ」 アントニオ・グテーレス 国連事務総長は2023年7月27日、ニューヨークの国連本部での記者会見のコメントである。人類が体験した経験した最も暑い月のなった今年の7月。

そして、アースデイジャパンネットワークという世界150か国以上をネットワークするUSに本部を置くEARTHDAY.ORGの公式日本法人が立ち上がってちょうど4ヶ月が経過しました。今回はアースデイ活動の原点となる自身のこれまでの活動を皆さんと共有したいと想います。なぜアースデイジャパンネットワークの団体設立に関わり共同代表を務めるのか?それは奇跡的なバランスにより成立する美しい自然環境と多くの生命を次世代に託したいという想いからといえるでしょう。世界で解決すべき地球環境問題に立ち向かうため、私たちの活動が微力ながらも未来を変える力となることを信じて。

非財務情報開示の研究会運営を通して:ESG経営を知る

新卒で入社した外資系IT企業では、今でいう某メガバンクをクライアントに超大型汎用コンピューターの営業を担当、その後、前職のコンサルティングファームでは、企業の顧客戦略立案やコールセンター構築運用を生業とする普通のビジネスパーソンでした。本業である、企業と顧客の関係性構築に関する課題解決が2003年を境に、企業と顧客の関係性構築に加え、企業と社会との関係性構築に関する内容が増えたことを記憶しています。

2003年といえは、ライブドアや雪印などの企業不祥事が相次ぎ、日本のCSR元年と呼ばれる年でもあります。2001年から2003年にかけて、海外では、エンロンやワールドコムなどの大企業が企業ガバナンスの崩壊により経営破綻に陥る、そんな時代背景もあり、企業の喫緊の経営課題も多様化することになります。

そうした中、2003年から3年間、某大手企業2社のご支援を頂きながら、非財務情報開示に関する研究会の運営事務局を通して、多くを学ぶことになります。社会人となり初めて学んだ知識がITやプログラミングであり、前職がコールセンターやダイレクトマーケティングであるとすれば、その当時の学びは今でいうESG経営と言えるでしょう。

企業経営を財務パフォーマンスだけではなく、環境・社会・経済の側面からも評価するトリプルボトムラインの考え方に初めて触れ、今では当たり前となった「マテリアリティ」の重要性を世に問いていたUKのNGO アカウンタビリティ、その他、国内外の第三者評価機関、個人投資家の団体などから講師をお招きし、継続的に勉強会を開催していました。研究会運営を通して、その当時参加いただいた約30社の企業の方々との多くの学びが今の活動の起点と言えるかもしれません。

環境映像Webメディア運営を通して:環境問題を知り政府広報に関わる

2006年に活動を終えた研究会運営の次に関わったのが、生活者をメインターゲットとする環境映像Webメディア(Green TV Japan 現在SDGs TV)の立ち上げと運営でした。2006年に立ち上げ間もないUKのGreen TVと連携し、海外のショートムービを翻訳して20本のコンテンツからスタートしたのが、2007年7月のことです。

また、メディアスタートにあたり、オリジナルコンテンツとして日本国内の取組みを映像化した舞台は、2007年4月の代々木公園で開催されたアースデイ東京のイベントでした。取材メディアとして参加し、30以上のNPO・NGOを取材、各団体のメッセージ映像をまとめ発信しました。そして、翌年の2008年、神宮の森でも開催されたアースデイの取材で、今回一緒に共同代表を務める谷崎テトラ氏と初めて出会うことになります。

元アメリカ副大統領 アル・ゴア氏による「不都合な真実」が公開されたのは、そこから数ヶ月溯ること2007年1月。当時はマイ箸、マイボトルが生活者にも浸透し、翌年に日本で開催された洞爺湖サミットを契機に、日本でもちょっとしたエコブームが起こることになります。しかし、東日本大震災でその状況は一変し、現在に至りますが、未曾有の大災害は、奇しくも私たち日本のエネルギー政策への関心を高めるきっかけとなりました。

環境映像Webメディアの運営は、海外で制作されたショートムービーの翻訳コンテンツや国内の取材によるオリジナルコンテンツの制作・発信を地道に継続することにより、企業やNGO・NPOの方々から映像制作や環境教育、環境に関連するプロモーションなどのお声掛けを頂くことになります。また、SATOYAMAイニシアティブCOP10生物多様性の10年日本委員会、カーボンフットプリント実証事業、再生可能エネルギーの普及のためのGreen Powerプロジェクト、ESDの10年など、多くの政府広報プロジェクトも関わる機会を頂くことができました。

2007年から2015年まで、こうした活動に関わることになりますが、国内外問わず、環境に関する様々な有識者や企業経営者の方々との接点を持つことができました。こうした経験は、今の活動を進める上での糧となっていると確信をもって言えます。レスター・ブラウン氏、サティシュ・クマール氏、イヴォン・シュイナード氏などとお会いし、コンテンツ制作に関わることができたのは一生の宝と言っても過言ではありません。

次回に続く

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