AIとお仕事:ラフなプロンプトでも大丈夫
皆さん、こんにちは。イー・エージェンシーの広報・PR課の甲斐です。
最近、職場や友人との会話で「AIがすごい!」と話題にすることが増えてきました。確かに、AIの能力には目を見張るものがあります。プロンプトエンジニアリングでキチンとした指示を出すとすごい創造性を発揮してくれます。でも、ちょっと待ってください。もしかしたら、僕たちはAIの本当の凄さを見逃しているかもしれません。
「えっ、どういうこと?」と思われた方、ちょっとお付き合いください。
実は僕、最近こんな風に思っています。それは、AIって意外と「雑」が得意だってこと。そう、キチンとした指示じゃなくて、ちょっと曖昧で断片的な情報でも、驚くほど背景理解しているかのような返答をしてくれるんです。
「でも、AIには詳細な指示(プロンプトエンジニアリング)が大事だって聞いたけど...」
そう思われる方も多いでしょう。確かに、そんな風に言われています。実際プロンプトエンジニアリングの知識を使うと結果も素晴らしいです。でも、「雑」でも結構いけるんですよね。最近の僕は、この「雑に行こう」の精神でAIを使っています。
AIの意外な得意技:曖昧な情報から洞察を引き出す
ちょっと想像してみてください。あなたの机の上に、プロジェクトに関する書類やメモが散らばっています。締め切りは迫っているのに、全体像がまったく見えない。そんなとき、どうしますか?
普通なら、一つ一つの情報を丁寧に整理して、全体を把握しようとしますよね。でも、時間がない!そんなとき、AIという名の「デジタル探偵」の出番なんです。
「えっ、探偵?」
そう、探偵なんです。思い出してください、名探偵の活躍するミステリー小説を。探偵は、断片的な証拠や情報から、驚くほど正確に事件の全容を解き明かしますよね。実は、AIもそれと同じことができるんです。
では、AIは何をしくれるのか?
パターン認識:大量のデータから学んだパターンを基に、与えられた情報を分析します。
類推:似たような状況や事例から、今の状況に当てはまりそうな情報を引っ張り出してきます。
欠落情報の補完:与えられた情報の「隙間」を、学習した知識で埋めていきます。
複数の可能性の検討:一つの答えだけでなく、様々な可能性を考慮します。
ここで驚きの事実。このAIの能力、実は「雑な」情報を与えた方が、より活きるんです。細かすぎる指示よりも、ある程度曖昧な情報の方が、AIの「余白を埋める力」をフル活用できるんですね。
実践:AIと一緒に仕事を楽にする方法
さて、ここからが本題です。どうやってこの「雑に行こう」精神を実際の仕事で活用するのか、具体的に見ていきましょう。僕の経験を交えながら、いくつかの場面でAIをどう使えば良いか、ステップバイステップで説明していきます。
1. 組織を理解する:簡単な組織図から洞察を得る
ある日、僕は自社の組織について深く理解したいと思い、AIに相談してみることにしました。
従来の方法: 詳細な組織図を作成し、各部署の役割や人員配置を細かく説明する。
「雑に行こう」アプローチ:
会社の簡単な組織図(部署名だけでOK)をAIに提示
「この組織について何か気づくことはある?」と質問
結果:
驚くべきことに、AIは以下のような洞察を提供してくれました:
部署間の潜在的な連携関係
部署名から推測される主要な事業領域
部署の構造から組織特徴(フラット型か階層型かなど)
AIは限られた情報から、組織の意図、特徴や課題を鋭く指摘。組織図にはもちろんその背景情報がないのに、たしかにその通りと思えるような洞察を、わずか数秒で得られたんです。
2. プロジェクト計画:大まかな情報からヒントを得る
次は、ある複雑なプロジェクトの計画立案時の話です。
従来の方法: プロジェクトの目的、スコープ、タイムライン、リソース、予算など、すべての詳細を整理してから計画を立てる。
「雑に行こう」アプローチ:
プロジェクトの大まかな目的と、思いつく限りの関連情報をメモ程度にAIに伝える
「このプロジェクトを成功させるには何が必要だと思う?」と質問
結果:
AIは次のような有益な情報を提供してくれました:
見落としていた重要なステークホルダーの指摘
リスク要因の予測と対策案
プロジェクトの方向性を明確にするための質問リスト
特に驚いたのは、AIが「このプロジェクトの真の目的は○○ではないでしょうか?」と本質を突く質問をしてきたこと。この一言で、プロジェクトの現況に沿った方向性がクリアになったんです。
「雑に行こう」アプローチのコツ
核となる情報を選ぶ:
すべてを伝える必要はありません。重要だと思われる情報を3-5つ程度選びましょう。僕の場合、今やってること、人間関係、slackとかメールのやりとりの中で宙ぶらりんになってそうなこと、情報をペタペタと雑に入力してます。適度な曖昧さを残す:
細かすぎる指示はAIの「余白を埋める力」を制限します。大まかな方向性だけ示すのがコツです。送信してみる:
ちょっとガチャ感ありますが、とりあえず送信してみて回答をチェックしてみる。AIの回答を吟味し、さらに質問する:
結構いい感じの回答がでてくるとおもうのですが、AIの回答を鵜呑みにせず、それをきっかけにさらに掘り下げる質問をしましょう。
この方法を使えば、AIが余白を埋めてくれます。あなたの仕事をサポートしてくれるはずです。細かい指示や余白を考える時間を節約し、より創造的な思考に時間を使えるようになります。
重要な情報の選び方:人間の「忘れる力」を活かす
でも、ここで少し立ち止まって考えてみましょう。「核となる情報を選ぶ」って、実はすごく奥が深いと思いませんか。
「えっ、情報を選ぶだけでしょ?」
そうなんですけどね。実は、ここに人間の素晴らしい能力が隠れていると思うんです。それは何か? そう、「忘れる能力」、フィルタリングする力です。
なぜ忘れることが大切か
僕たちの脳は、日々膨大な情報を処理しています。でも、そのすべてを覚えているわけではありません。むしろ、ほとんどの情報を「忘れている」んです。これって、実は脳のすごい機能だと思うんです。
なぜなら、忘れることで、本当に大切な情報だけを残せるからです。言わば、脳内での自然な「情報のフィルタリング」が行われているわけです。
では、どうやって脳は重要な情報を選んでいるのでしょうか?ここで大きな役割を果たすのが、「感情」と「経験」です。
感情と経験:情報を選ぶ力
感情のフィルター: 強い感情を伴う情報ほど、記憶に残りやすいですよね。嬉しかったこと、悲しかったこと、驚いたこと。これらは自然と印象に残ります。
経験による重み付け: 過去の経験から「これは重要だ」と学んだ情報は、自然と注目されます。ベテラン社員が新人よりも素早く問題の核心を掴めるのは、まさにこの能力のおかげです。
AIと相性が良い:人間の「要点をつかむ力」
さて、ここでAIの話に戻りましょう。実は、この人間の「忘れる能力」こそが、AIとの協働において最大の武器になるんです。
なぜなら:
ノイズを減らす: 人間が無意識に行う情報の選別は、AIへの入力の質を高めます。
核心をつかむ: 感情や経験で選んだ情報こそ、優先順位を判断できないAIが適切な推論をするために重要です。
新しい発想のきっかけ: 残った断片的な情報が、時として新しいアイデアにつながります。
結局のところ、AIに「雑な」情報を与えるというのは、実は人間の高度な認知プロセスの賜物なんです。僕たちの「忘れる能力」が、AIとの効果的な協働を可能にしてくれると思っています。
「雑に行こう」でAIとうまく付き合うコツ
大切な情報を選ぶ:
全部を伝える必要はありません。重要そうな情報を3-5つ程度選びましょう。あえて詳しく言いすぎない:
細かすぎる指示はAIの「想像力」の邪魔になります。大まかな方向性だけ示すのがコツです。AIの答えを基に更に質問する:
AIの回答をそのまま信じず、それを基に更に掘り下げてみましょう。
これでいいんです。プロンプトエンジニアリングができなかったとして、AIは頼もしい同僚のように、あなたの仕事をサポートしてくれるはずです。細かい指示を考える時間を節約し、より創造的な思考に時間を使えるようになりますよ。
こんな雑な情報で質問してAIがよい回答をくれるわけない、という思い込みを捨てて、雑にやってみてください。
まとめ:「雑に行こう」は人間の認知プロセスが肝
「雑に行こう」アプローチは、単にAIの使い方を変えるだけではありません。それは、僕たち人間の認知プロセスとAIの能力を最適に組み合わせる人らしさを活かせる新しい働き方なのです。
このアプローチを通じて、僕たちは:
情報の本質により早くたどり着ける
複雑な問題をより効率的に解決できる
創造性を発揮するための時間が増える
そして何より、AIと協働することで、僕たち自身の「人らしさ」—直感、経験、創造性—がより活きてくるんです。AIは情報の「余白」を埋めてくれて、時間という「余白」を作ってくれる。一石二鳥でしょ。
ですから、次にプロジェクトや課題に直面したとき、完璧な情報を用意しようと思い悩む前に、ちょっと立ち止まってみてください。そして考えてみてください。「この状況で、AIならどんな余白を埋めてくれるだろう?」と。
AIを「余白を埋める」パートナーとして活用することで、僕たちの仕事はより創造的に、より効率的に、そしてより楽しいものになるはずです。
さあ、あなたも今日から、AIとの新しい付き合い方を始めてみませんか?きっと、仕事の風景が少し変わって見えるはずです。
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