見出し画像

天邪鬼の眼☕️通信 ~学校健康経営(運営)の必要性~

健康経営を学校現場に!

健康経営とは?


「健康経営」という手法が注目を浴びています。
健康経営とは、経産省の資料等によると従業員の健康の維持・向上を経営的視点から考える経営の手法。

その目的は、働く従業員の健康維持に焦点を当てて、働く人の健康を守ることで、結果的に企業の業績や価値を向上させようとするものです。

経産省や厚労省が推進しているものです。そうした目線を学校現場にも取り入れていくが必要なのではないかと思うのです。

学校の働き方改革と健康経営

学校現場でも、平成29年8月に「学校における働き方改革に係る緊急提言」が発出された後、先生方の働き方について様々な議論がなされ、ある程度成果をあげできたこともあるにはあります。(学校や行政区による違いも随分あると思われます。)

しかし、5年ほどの時間が経過したものの途中コロナ対応に見舞われたことも加わり、学校現場での働き方改革は十分に進んだとは言えません。
ましてや中学校の部活の問題や、給特法に関わる時間外労働の問題など大きな問題は、解決に至るには程遠い状態といっても言い過ぎではないでしょう。薄い紙を重ねるような努力が必要な働き方改革は、実効をあげることができず停滞感すら漂っていて教職員にとっては希望や期待を感じられるものではなくなっている感すらあるように思います。

学校という組織は、「授業」、「指導」という先生の業務の中心にあるものに焦点をあてて『子供たちのために』という視座を重要視して運営されています。

今、学校は溢れかえる業務とその業務をこなす時間は与えられず、欠員問題と言われるように既定の定数である人員すら確保されていないために危機的な状況にあります。

心身の健康を害し、療休、休職に追い込まれる教職員の数も5000人を超えているといいます。その予備軍まで考えたらものすごい数の先生方が心身の不調を訴えながら、学校現場で子供たちの前に立っていると考えられます。この状況は、本当に由々しき問題だという現状把握が極めて重要だと考えます。

そうした学校現場の働き方改革において、経産省や厚労省が推進する『健康経営』の視座を持つ必要があると思っています。まずは、心身共に健康な状態の先生方が勤めているような学校現場に見直していかなければならないのではないかと思います。

言い換えると、教職員の健康を維持することを最優先して健全な学校経営(運営)の基軸とすることです。

学校健康経営(運営)のメリットと必要性

教職員の健康状態や生活習慣は、仕事のパフオーマンスと密接に関わっています。このことは、他の業態の仕事でも研究され、その結果を踏まえて健康経営の大切さが語られています。
文科省が発案したという「#教師のバトン」というタグで、SNS上で学校のブラックぶりが拡散していったように学校現場の働き方は、危機的とも言えるほど極まっています。

その理由は、最早、”複合汚染”と呼んでも言いすぎではないほど様々な要因が絡みあっています。とにかく、学校で働く先生方が心身共にギリギリの限界状態で子どもたちの前に立っていることは間違いないことです。

健やかな子どもたちの育成を任う学校という組織こそ、いち早く働く先生方への健康を維持できるようあらゆるリソースをふり向けて労務環境を見直し、改善することが急務です。そういうことが整って始めて、先生方が心のゆとりを持って子どもたちの前に立つことができるからです。

体調が優れずに教壇に立ったり、睡眠不足で集中力が低下していたり、いらいらしたりすることは、子どもたちにとって全く望ましい環境ではありません。

いらいらした先生は、ついカッとなって子供たちを叱り飛ばしたり、ゆとりがあれば穏やかに話して説諭するところを大声をあげることだってあり得ます。巡り巡って、保護者からこうした指導への苦情になった場合には、まさに”負の連鎖”です。疲れ果て精神状態も健康とは言えない先生にそうした対応が降りかかれば否応なく大変な対応になることも容易に起こるからです。現実の学校では、こうしたことが重層的に起こっていて混乱を加速しています。

学校が、健康経営(運営)を基軸にして、先生方の心身の健康状態が良くなれば、明るく朗らかな気持ちになって仕事に従事することができます。

そうした先生と過ごせることがどんなに価値のあることなのかを教育行政、管理職、教職員、保護者などすべての学校関係者がこのことに目を向けて考えるべきだと思っています。

学校組織のパフォーマンス向上

先生方にゆとりができ、良い循環で仕事ができるようになれば、生産性は高まるでしょうし、学校全体の雰囲気も良くなるはずです。

実際に、学級運営に困窮する学級があった場合に、担任も気持ち的に参りますし、保護者対応が加わり容易に解決しない場合などは学級、学年、学校と沈鬱なムードも広がりかねません。(この対応についていかにそうした雰囲気に陥らずに解決を図るかは管理職をはじめとした教職員で創り上げる学校力を要すると思います。また、いつかテーマにしてみたいと思います。)

つまり、先生方一人一人が、心身の健康を維持しながら業務に従事できることは個人のみならず学校組織全体にもかかわる話として、組織のパフォーマンスの向上にも影響を与えることになります。

ワークエンゲージメントに目を向けて

ワークエンゲージメントという言葉があります。
ワークエンゲージメントとは、仕事に誇りややりがいを感じ、仕事に喜びや活力を感じていきいきとしている状態です。

そもそも、学校の先生という仕事は、志してなることの割合が多い仕事でした。将来なりたい職業として、長い間上位に位置づく意義のある仕事として認識されていました。学校現場の働き方が心身の健康に目をむけ働く環境を整えられていけば、先生方は仕事に誇りややりがい、喜びを感じていくようになるはずです。つまり、ワークエンゲージメントが高まっていくことになりま。

ワークエンゲージメントが高いということは、第一に心身の健康が良好であることです。また、個人や組織の生産性も向上すると考えられています。自分から自発的に行動することで職務を果たすようになり、組織全体へも良い影響を及ぼしていくことになります。

仕事での満足感が高まれば、先生という仕事に対しての喜びや愛着を感じるようになるでしょうし、ここ数年で増加している離退職にも歯止めがかかるようになっていくのではないでしょうか。

学校健康経営(運営)へのシフトチェンジ

学校を健康経営(運営)の視点をもって、心身の健康状態を良くすれば、先生方一人一人が生き生きとした活力を取り戻し、学校全体の組織の力も増していくわけです。

しかし、言うは易く行うは難しの通り、5年をかけた働き方改革が容易に進まない中で、『学校健康経営(運営)』がうまくいくとは考えられません。

まずは、その意識を高め学校全体で共有することでしょう。
学校経営(運営)を任せられている管理職が、こうした意識を強く持って学校を見つめ、学校全体で意識の醸成をはかることが重要です。

学校はどんなに忙しくても、「授業」、「指導」という先生の本務と言える部面を大切にして『子供たちのために』という視座で運営されています。ここを切り直して、学校経営(運営)で考えるべきことの最優先事項を『学校健康経営(運営)』としてはどうかと考えています。

このように組織経営(運営)のシフトチェンジをすることで、先生方が健康になり、元気を取り戻し、豊かな落ち着いたほがらかな気持ちで子供たちに接することが目標です。

組織経営(運営)を『健康学校経営(運営)』にシフトチェンジするからには、学校の業務の在り方をその視点で見つめ、仕切り直さなくてはなりません。こうした現場の意識改革を果たし、これまでと少しアプローチの異なる先生方の心身の健康維持こそが、『子供たちのために』なっていくことを焦点化した流れを作るよう最大限のエネルギーを傾けた学校経営(運営)が求められいるように感じます。

学校は、どんなに忙しくても時間を生み出せば、良い授業をしようと心がける先生方は多くいると思います。そのためにも、学校経営(運営)の意識、力点を変え、先生方の心身の健康を保てるよう「時間」を生み出すことに注力すべきです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?