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⭐️欠員問題『異次元の学校教育危機!』①~

今回の話題は、学校関係者にとっては身近な話です。できれば、お子さんを学校に通わせる多くの保護者の皆さんに学校を巡る『異次元の危機!』について理解を深めてもらえたらと思って書いてみました。

◇学校現場を襲う“欠員”問題

昨年度、学校の欠員問題がニュースで報じられ、全国で2021年度、2022年度も2000名を超える「欠員」が発生しています。

欠員というのは、そもそも学校を運営する人員として定められた定数を満たすことができない状態を指します。

単純化して例えると、A小学校では、子どもたちの数から換算(定数法※1という法律で定められています。)して20名の先生方を定数として配置することになっているにもかかわらず、”様々な事情”で19名しか配置ができない学校では、欠員1名という形になります。18名しか配置できなければ、欠員2名となります。この欠員を生じさせる”様々な事情”が問題です。

今、こうした欠員を生じている学校が全国で数多あり、学校の運営が危機に瀕しています。

※1正式には、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律という名称の法律」

先生の質を保てない 公立2000校で欠員、1年で3割増加 教育岩盤・迫る学校崩壊(1) 教育岩盤 2023年1月16日  日本経済新聞

◇“欠員”が生じる理由

さて、欠員を生じさせる様々な事情とは、なんでしょうか?

「2021年度に全国で教員5897人が精神疾患で休職」
こんなニュースの表題を目にします。学校は、ブラックと言われるほどの過酷な働き方が蔓延しています。さらに、定額働かせ放題と揶揄されるように過労死ラインを跨ぐような働き方をしても公立学校の教員は給特法※2によって定められる「教職調整額」(基本給の 4%)が一律で支給されるのみで時間外勤務手当は支払われていません。

この4%の「教職調整額」だけで、際限なく働かざるを得ないことを「定額働かせ放題」と呼んでいます。

このように、過労死ライン級の働き方をしなければならない上に、時間外勤務手当として報われることもありません。あるのは、子どもたちの笑顔と成長する姿です。そうした労務環境にあって長年、教員の善意に頼って学校は運営されてきました。

しかし、近年、現行の指導要領に示す授業時間の標準時間数の増加〇〇教育と呼ぶあまりにも広範にわたる教育内容が現場の指導に持ち込まれてきました。〇〇教育と名付けられ指導を求められる数も膨大です。

その上、発生する”いじめ問題”は、たとえ学校の外で起こったものでも”いじめ”として捉えられるときは、学校がその解決に関与しなければなりません。

その他にも、数多くの児童・生徒指導案件福祉面にも関わり児童相談所とも連携しながら対応する事案もあります。また、20万人以上にも及ぶ不登校の問題などなど、先生方が療休、休職に追い込まれるような事情は、複合したものです。細かく辿れば、一つ一つでまとまった話ができるような問題です。

こうして、学校で働く先生方が心身の健康のバランスを崩し、学校を休まざるを得ない状況が生まれます。加えて、若い先生方が増えたことで、産休、育休を取得する先生方も数多くいます。

こうして、学校では、定数として教員を配置したとしても年度の途中で、先生方がお休みせざるを得ない事態が発生します。こうしたことは、今までもなかったことではありません。ただ、その事案数が多くなったことが近年の傾向です。

先生方がお休みに入る場合は、通常、代替教員として代わりの先生が配置されることになっています。この代替教員の手配がうまくいかないと定数を書いた状態、つまり、先生の数が足りない状態で学校を運営しなくてはなりませんので、穴をあけることのないように教育員会の人事担当者はそれこそ血眼になってその確保に努めてきました。

しかし、お休みする先生の数と代替教員として働けるように教委に登録している数が全く見合わなくなり現在の欠員問題が生じているのです。

◇深まる欠員問題

お休みする人の数、教員の労働環境等を見限り転退職する先生方の数は、増加。その一方で、代替教員として働こうとする人の数も激減しています。それは、学校を巡るブラックな働き方をはじめとした労務環境が、教師の魅力を上回り始めたからかもしれません。教員採用試験の受験者も激減。

学校を休まなければならない先生の数⤴ 
代替教員として働いてくれる先生の数⤵

相反した力学が働き、現場の混迷は増す一方です。

◇「近未来の教育危機」

今、その混迷は、つぎの記事が指し示す「近未来の危機」につながっていこうとしています。

同調査では、総時間外勤務が長い教員ほど、準備不足のまま授業に臨んでしまっている傾向も明らかになった。調査した内田氏は「長時間労働と授業の準備不足はリンクしている」と警鐘を鳴らす。危機に追い込まれる公立学校のシワ寄せは不準備授業を受ける子どもたちにも行く
~週刊東洋経済 2022年7/23号~

子供たちへのシワ寄せは、学校単体での問題ではなく、国をはじめとした教育行政、そして、政治の問題ではないでしょうか。

一日も早く多くの子供を持つ親たちも大きな声をあげ改善をもとめていかないと学校で学ぶ子供たちが犠牲になります。

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