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知られてこなかった働き方の実像~先生を救え‼~

学校勤めをして、それこそ何十年もして、
学生時代の仲間と飲んでいるときに、
「教員は残業もつかないからなぁ~」とつぶやくと
「えっ!残業代ないの?良く休みの日も出勤して仕事もしてのに残業つかないの!」
そんな会話を何度となくしてきたことがありました。

どの仕事のことも経験したことがないとその仕事の実際は、分かりません。
しかし、社会で一般的に考えられている働き方と教員の働き方は、
かなりズレています。教員の働き方改革を考える時に、まずは、知られていない学校の先生方の働き方の実像が広く認知されるべきではないか
と感じてきました。

教員の一日の流れ

H30年度に横浜市教委が示している教員の一日の流れという資料を眺めてみてみましょう。朝、勤務時間が始まる前に出勤した先生方が、就業時間を過ぎ時間外業務をして日常業務をこなしている様子が示されています。

「教職員の働き方改革プラン」H30.3横浜市教委

資料によると、同市の総勤務時間平均は11時間27分。週の持ちコマ数は、現行の新しい指導要領に従うと、毎日 のように6コマまで埋まることもあり得ます。音楽や理科など担任の先生以外の先生が受け持ち、持ち時間があくことはあるものの、おおよそ担任の先生が5ないし6コマの授業を毎日受け持っています。

そうすると、一日の授業が終わるのは各学校の日課表にもよりますが、15:00、15:30位までは、授業を受け持っていることになっているはずです。

学校の休憩時間

学校は、日中に官庁や企業のように休憩時間を取れないために夕方に設定されていることが多くあります。資料にある横浜市でも16:00~16:45までの休憩が設定されています。

終業時間が迫っていても、到底一日の仕事の終わりが見通せずおいそれと45分の休憩時間を取得するようなことをする教員はこれまでの長い教員人生の中でも見たことがありません。

こうして、毎日、先生は休憩時間も取得せず、物凄い過重労働をこなしているのです。

働き方の異常さ…物理的に不可能な設定

ごくごく自然に考えていくだけでも、学校の働き方の異常さが浮かび上がってきます。授業を終えてから休憩を除くと30分か1時間程度の時間しかありません。そこでその日の授業の残務、次の日の授業準備、様々な学校教育活動に関する会議、打ち合わせ等を行わなければなりません。

そんな通常業務を就業時間内でこなすことは、物理的に“不可能”です。

資料でも多くの業務は、時間外に位置づいています。こうして学校の先生方は、 身も心もすり減らしなが、日々、異常な働き方に身を置き、子供たちのために仕事をしているのです。

定例業務とイレギュラー業務

今まで、お話してきたことはあくまでも定例の業務についての話です。

学校には、それ以外に本当に様々な突発的なことが舞い込んできます。
保護者からのクレームや苦情の類、子供たちが放課後に起こすトラブルや事故。そうしたものの学校に舞い込んできた途端に先生方が対応を迫られることが殆どです。

ただでさえ、溢れかえっている日常業務に加えて、舞い込んでくるイレギュラー業務にも応じなくはなりません。何もなくても際立っている働き方の異常さは、こうしてさらに膨らんでいくのです。

こうして、教員の働き方のブラック加減は、益々、漆黒の闇のような黒さになって、先生方を追い込んできたのです。

学校のリアルな日常を知り、先生、学校を支えなければ…

学校は、誰もがその中で過ごし、大人になっていきます。しかし、その学校でどんな風に教員が子供たちのために仕事をしているのかはその実情は把握されてはいません。

どの仕事も、実際にその業務に携わっていなければ、そのようなものかもしれません。しかし、官庁や企業とは相当に異なる働き方をしながら、学校は運営されているので、一般的な通念が通用しません。だからこそ、改めてその実相を知る必要があると思うのです。

先生方は、年々過酷さを増す中で、それこそ疲弊しながら子供たちと向き合っているのが現在の学校の姿です。

残業という概念がないために、どんなに時間外に仕事をしても残業手当がつくこともありません。そうしたことすら、数年前までは社会的にに知られていないままにされてきたといっても過言ではないでしょう。

学校はその通常の運営にすら支障を起こす危機的な状況を迎えています。そうした学校のリアルな逸脱した働き方が、子供たちにも大変な不利益を生み出しかねない事態が訪れているのです。

このことを広く社会が知り、学校、そして先生を救うよう何とかしていかなければ、学校が、文字通り成り立たなくなってきています。
今、学校や先生を救うことが、急務です。



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