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働き方改革再考⑥ ~取り組みの糸口~

学校の働き方を支援したいという思いでいくつかの学校を訪ねて感じていることは、取り組みの糸口を見出すことが難しいということです。
既に学校現場の業務は、溢れかえり何か新しいことを取り入れることは困難極まっています。働き方を改善しようとはいえ、その取り組み自体が新たな負荷にもなりかねず、糸口を見出すことすら難しい状況です。

管理職が危機感を持ち、果敢に取り組んだとしても持って行き方を誤れば、それだけで職員から反発を食らうことは間違いありません。それほどまでに学校現場は、立錐の余地がありません。ましてや、学校が働き方を脇に置いておけば、学校がうまく回っていたり、教職員の雰囲気が良ければ尚更です。しかも、働き方改革には特効薬はなく、着手することに手間がかからず、即効果のあがることはまず見込めません。(なぜなら、そんな素晴らしい打ち手があれば、既に全国の学校で取り入れられ、学校の働き方改革は実効をあげているはずだからです。)取り組むことすら困難な状況に加え、持ち込んだものが直ぐに効果が出ないことになれば、手がけるのも余程の意識改革と教職員との対話、共通理解が必要になると思います。

よくある研修をしたところで、明日から実施して直ぐに効果が出るようなものではありませんから、働き方改革に期待を持てずあきらめ感が漂っていることも無理からぬことです。

この5年間で、行政が動いて時間外在校時間を記録したり、留守番電話は導入されなかった時代に比べればマシになったことはあります。この時間外在校時間等の記録をつぶさに見れば、過労死ラインを超えた働き方があらわになってくる学校も数多あるのが現実だと分かってきます。そこを起点にして、先生方の心身の健康、さらに言えば、先生方の命を守る事を考えると、働き方改革は、現在でも学校現場において最優先して取り組んでいかなければならないことであると思っています。

しかし、時間外在校時間が記録されていても、そのことをもとに分析して働き方が劇的に改善されたという話を耳にすることは殆どありません。それどころか、記録されるデータが明らかになることが余程都合が悪いのか、その記録の隠蔽、改竄まで行われているのが働き方改革が置かれている現在地です。そのように僅かな歩みと停滞感も感じられる働き方改革ですが、働き方を見直すことは、今も待ったなしの状況に変わりません。教職希望者減少、欠員問題などが加わり状況はさらに悪化しており、取り返しのつかない事態を引き起こしてからでは遅いからです。

数年前に、在籍していた学校で校長として、働き方改革に注力をして小さなことの積み重ねも含めて様々な取り組んでいました。

まず、1番に手掛けたことは、学校が働き方改革を意識するために、働き方改革委員を校務分掌に位置付けたことです。委員長には、働き方改革に関心を持っている中堅に差し掛かる先生を充てました。新しく組成した組織で何を手掛けて良いか、また、何か行動に移すとしても、先生方の手を煩わすことにもなりますし、また学校全体の動きにもつながることでもあって委員長としてかなりの難しさを感じていました。2年目は、校内人事の都合から20代後半に差し掛かる若手の先生を委員長に据えました。前任を引き継ぎ、それまでのアイデアが根付くようにいろいろと働きかけ、職員会議でも働き方改革委員からの提案をするなど活動が活性化していきました。こうして、校務分掌を生かしながら働き方改革を徐々に推進することができていきました。学校を組織的に運営していこうという流れもあり、働き方改革委員が案を練り、担当総括教諭に相談→学校運営を検討する企画会へ説明、提案→職員会議で提案という流れを踏まえていたことで、関わりを持つ教職員も複数に及び学校で意識して取り組む雰囲気は少しづつ醸成されていきました。こうしたことが取り組みの第一歩であり、ポイントであったと捉えています。

☑️取り組みの糸口
👉働き方改革を推進する分掌があるか?
👉推進する分掌が機能するように人員が配置されているか
👉推進する分掌が定期的にディスカッションするよう計画、実行し、改善のための具体的な取り組みを提案しているか。

教育の本質に関わる授業づくりや学校研究は、研究体制が整備されている分野であり、携わってきた職員も全てが異動で切り替わるわけではありませんから継続性を維持して取り組んでいくことが可能です。しかし、業務改善、働き方改革になると管理職が預かることも多く、(全ての運営もそうですが、)管理職の考え方によってその方向性も相当異なっていきます。
働き方改革再考③ ~人事異動(管理職)から眺める~

働き方改革再考③でも述べたように、働き方改革においても学校研究のように計画的に動く組織を設け、持続、継続的に取り組んでいくように仕立てることは、何よりも重要だと思います。管理職のリーダーシップで動くことはありますが、短期間の人事異動で元も子もなくなっては台無しになってしまうからです。

今勤める学校に曲がりなりにもこうした機能する組織、あるいは動き出せる組織があるかどうかを働き方方改革の糸口、スタートラインとして考えてみてはいかがでしょうか。そして、まずは時間を生み出すことに力点を置き、働き方改革の研究をする学校が出てこないものでしょうか?そうした研究をする学校があれば、是非サポートしたいと思っています。 〜つづく〜

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