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エッセイ♯5「もったいないからの卒業」


小学生の頃、家の中は、ぬいぐるみ、リカちゃん人形、小物入れなど、物で溢れていた。

これは買っているから増えたというより、友達からもらった、誕生日プレゼントのお返しで少しずつ増えていった。

小学生の私は、人から物をもらうと、すぐに使わなかった。特に文房具は、交換したりもらったりしていたが、なぜか使わない。

雑誌の付録についている、アニメキャラクターのイラストが入ったえんぴつ、消しゴム、下敷き、メモ帳も。

「いつか使うもん!」と思っていた文房具たちは、日の目を一度も見ることなく、家の中の引き出しへ。

そして、時間が経つにつれて、少しずつ少しずつ忘れていく。数えきれないほど、もらったものを使ってこなかった。

すぐ使わない理由を思い返すと、汚れちゃうのが嫌とか、使うのがもったいないとか、もらったものを大事にしたいという気持ちからだった。

友達にもらったことが一番嬉しくて、もらった時点でもう満足だった。

でも、今思うのは「もっとたくさん使ってあげればよかった」という後悔である。

せっかくもらったのなら、使った方が友達だって喜ぶはず。友達は私があげた文房具を使ってくれていたのに…。

それから社会人になり、ハンドクリーム、バスセット、ポーチなど、もらったものは昔と大分変わったが、今は人からもらったものは、すぐ使うようになった。

実際に使ってみると、もらった物を見る度に友達を思い出したり、あたたかい気持ちになったり。

また、家の中に眠っている物や使っていない物は、使いたい誰かになるべく渡すようになった。

リサイクルショップやメルカリを活用したり、誰かにあげたり、なるべく家に置きっぱなしにしないこと。

使わないなら、誰かに使ってほしい。手放すのはちょっと寂しいけど、ありがとうと伝えて、新しい主人の元へ、使ってくれる人へ。

あなたたちがずっと輝き続けることを願いながら。






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