見出し画像

【みちらん10】放っておくと無くなるかもしれないみち ~天橋立~

京都府宮津市
距離:6km 天橋立駅往復

「まだふみもみず」と百人一首にも詠まれた天橋立は長さ3km余り、道幅は広いところでも50m、場所によっては約20mの細長い砂の道です。

太古の昔、イザナギ、イザナミの神が天への上り下りに使っていた浮き橋(梯子)が倒れて天橋立になったと伝わります。

ですが現在は、宮津湾の海流と阿蘇海の2つの海流がぶつかりあう場所に、砂が嘴(くちばし)状に堆積したという天橋立の成り立ちが解明されています。四方を海に囲まれた島国の日本でも、この規模で残る砂嘴は天橋立だけでしょう。

知っているようで知らない天橋立の基礎知識(宮津市HPより)

ところが昭和初期の頃から、海流によって運ばれてくる砂の量が減り始め、砂が堆積するどころか、逆に侵食される事態に。
このままでは日本三景の一角を失いかねない危機的状況の中、国や京都府が突堤を整備したり、別の場所に溜まった砂を上流に運び戻して循環させる(サンドリサイクル工法)など、力技的な対策の甲斐もあって何とか形をとどめているのが今の天橋立らしい。

サンドサイクル工法の説明(京都府HPより)

さて廻旋橋を渡り、いよいよ天橋立に「踏み」してみます。歩みとともに、左右の松林の隙間から海が見える景色が少しずつ移動してのが何とも心地よい。
こうして今、小式部内侍が詠んだ名勝を鑑賞できるのも、行政の目に見えない努力があってこそ。感謝しながら一歩一歩踏みしめます。

天橋立ビュースポット4選

天橋立の白砂青松の景観を楽しむには、四大観といわれる高台のビュースポットがおすすめです。
四大観は同じ日本三景の一つ松島が有名ですが、天橋立にもあります。昇龍観、飛龍観、雪舟観、一字観というように眺望に因んだ名称で呼ばれています。

天橋立四大観(京都府丹後広域振興局HPより)

今回私が訪れたのは傘松公園から見た昇龍観。龍が天に昇る様に見えたかというと、ちょっと微妙。
ここが股のぞきの名所としても知られるのは、実は天と地を逆さまにしてその微妙な感じを誤魔化すため? などと要らぬ想像をしてしまいました。
そういえば、2016年に立命館大学の先生が天橋立の股のぞき効果に関する研究でイグノーベル賞受賞という記事がありましたね。

復路は観光船に乗り、海上から日本三景に数えられた白砂青松の景色を楽しみながら一気に戻ります。
下船後は文殊菩薩を祀る智恩寺と知恵の輪へ。

えびせん目掛けてカモメが突進!

[星の数] ★★(遠回りしてでも訪れる価値のある、道歩きが好きな人向けのみち)



この記事が参加している募集

一度は行きたいあの場所