『イタリア・バリスタに求められる記憶力、スピード、無駄のない動き』
イタリア人にとり1日のはじまりはエスプレッソコーヒーです。
また、誰かとおしゃべりをしたり、会ったりするきっかけに必ずコーヒーが登場します。
そして、イタリア語で「Prendiamo un caffe」がお決まりのフレーズです。
そこでイタリアのバール(Bar)でのコーヒーの種類をご紹介します。
日本の皆さまの中でコーヒーがあまり得意でない方もこの豊富なバリエーションをご覧になると、バールでのコーヒータイムがより楽しくなるかもしれません。もちろん、ご紹介するものが全てではありませんので、バールで自分の好みを言ってみるものいいかもしれません。
お店にあるものを必ず注文しなければと思いがちですが、個性豊かなイタリア人が暮らすこの国では少々のリクエスト、パーソナライズはお店側も慣れているので、動じないと思いますのでご安心ください。
1) カフェエ・スプレッソ Caffè espresso
イタリア一番人気、王道のコーヒーです。
少量で濃厚な味わいなコーヒー、少し泡立ちがあるクリーミーな口当たりです。現在、親しまれているこのコーヒーは1948年にエスプレッソマシーンが発明されたことで誕生しました。
2) カフェ・リストレット Caffè ristretto
エスプレッソよりさらに濃厚な味わいです。
本来はエスプレッソよりカフェイン量が少ないとされていますが、エスプレッソと同じものを抽出量を減らして提供していることが多いです。
食後などによりスッキリしたい場合におすすめでしょう。
3) カフェ・ルンゴ Caffè lungo
イタリア語でルンゴは長いを意味し、その名のとおりコーヒーを多くの水で抽出しているタイプです。
ただし、このコーヒーを飲む習慣がほとんどないイタリアでは、エスプレッソコーヒーにお湯を足すことが多いです。お好みによりますが、エスプレッソ用に焙煎、挽かれた豆をこの方法で提供するのはあまり美味しいとは言えないかもしれません。
4) カフェ・ドッピヨ Caffè doppio
ドッピオはイタリア語でダブルを意味し、エスプレッソコーヒー2杯分を飲みたいときに注文します。
5) カフェ・デカッフェイナート Caffè decaffeinato
コーヒーなどのカフェインが含まれる飲み物が苦手、または眠れなくなる方にお勧めなのがこのコーヒーです。
イタリア語でデカッフェイナートとはカフェインレスを意味し、コーヒーは飲みたいけれど夕飯後などにコーヒーを控えている方もこれなら楽しめますね。
6) カップチーノ Cappuccino
コーヒーにスチームで泡立てたクリーミーな牛乳を使ったコーヒーは日本、世界中でもよく知られています。イタリアでは、朝食時に口にする人が多く、午後は飲む機会が少ないコーヒーです。
バールでの定番朝ごはん、コルネット(クロワッサンのような甘いパン)をカップチーノに少し浸して食べるのがイタリアスタイル。
7) カフェ・マッキーアト・カルド Caffè macchiato caldo
エスプレッソコーヒーにスチームで泡立てた牛乳を少量入れたコーヒーです。マッキアートとはシミ、カルドは温かいを意味し、コーヒーに少し牛乳のシミをつけたような見た目どおりのネーミングです。
8) カフェ・マッキアート・フレッドCaffè macchiato freddo
カフェ・マッキーアト・カルドとの違いは、冷たい牛乳が別に提供されるところです。お好みで牛乳をコーヒーに加えます。
9) カフェ・コン・パンナ Caffè con panna
ウィンナーコーヒーのように生クリームがコーヒーの上にのっています。
10) マロッキーノ Marocchino
ガラスのカップで提供されるコーヒーでチョコレート、エスプレッソ、スチームで泡立てられた牛乳、カカオの4層が目でも楽しめるコーヒーです。
ネーミングの「モロッコ」が謎だと思いますが、ピエモンテ州アレッサンドリアにある有名帽子ブランド「ボルサリーノ」で1930年代にモロッコで人気があったことが関係しています。ボルサリーノ社前にある「カフェ・カルパノ(Bar Carpano)」がその人気にあやかり誕生したコーヒーのようです。
11) クレーマ・アル・カフェ Crema al caffè
夏場に登場するコーヒーで、コーヒーというよりコーヒーフローズンをよりクリーミーに仕上げたような、またソフトクリームをもう少し液体上にした飲み物です。小さいスプーンですくっていただきましょう。
この名称は全国区ですが、南イタリア・ナポリではなぜか「おじいちゃんのコーヒー/カフェ・デル・ノンノCaffè del Nonno」と呼ばれていことが多いです。
12) カフェ・アッフォガート Caffè affogato
アッフォガートとはイタリア語でおぼれるを意味し、このコーヒーはアイスクリームが入ったグラスにエスプレッソコーヒーが注がれます。
冷たいアイスクリームに温かいコーヒーがかかり、何だか得した気持ちになれるコーヒーです。
13) ラッテ・マッキアート Latte macchiato
これはカフェマッキアートの逆バージョン、牛乳、エスプレッソコーヒーですが、よりおいしいのは、牛乳、エスプレッソコーヒー、さらにスチームで泡立てた牛乳の3層で提供されるタイプでしょうか。
14) カフェ・ラッテ Caffè Latte
ラッテ・マッキアートとの違いは、エスプレッソコーヒーが別カップで提供されることでしょうか。
また、家庭での朝ごはんにはかかせないタイプのコーヒーです。
15) カフェ・アメリカーノ Caffè americano
ネーミングに「アメリカ」が入っているとおり、アメリカンスタイルのコーヒーです。
ただし、イタリアのバールでは、エスプレッソコーヒー用の焙煎で挽かれた豆、抽出方法が異なるので、日本人が知る味わいではないかも知れません。また、イタリアではエスプレッソコーヒーにお湯をつぎ足したり、お湯がポットで提供されるので、あまりお勧めできませんね。
16) カフェ・シェケラート Caffè shakerato
夏場に冷たいコーヒーを飲みたい方にお勧めのコーヒーです。
ただし、日本のようなアイスコーヒーではなく、エスプレッソコーヒー、氷、砂糖をシェーカーに入れて混ぜたあとマルティーニグラスに注がれます。お砂糖が要らない人は、予めお店の人にセンツァ・ズッケロSenza Zuccheroと伝えた方がいいですね。
17) モカ Moka
バールで飲むことが難しいこのコーヒーは、「モカ」または「マッキネッタ」と呼ばれるイタリアンコーヒー用のポットです。
イタリアの朝にはかかせないコーヒーで、イタリアでは一番最初に起きた人が準備します。
バールでのクリーミーなコーヒーとは異なりますが、エスプレッソ文化の原点と言えるでしょう。
18) カフェ・コレット Caffè corretto
冬の北イタリアで比較的好まれるコーヒーで、エスプレッソコーヒーに好みのアルコールを少し加えたものです。
アルコールは、グラッパ、サンブーカ、南イタリアの場合はアニスのリキュール、イタリア以外のアルコール類であればブランデー、ラム、コニャック、ウイスキークリームなどここでもパーソナライズできてしまいます。
19) カフェ・オルツォ Caffè d’orzo
コーヒーの入手が困難だった時代にその代替品として生まれたのがこの大麦コーヒーです。ほとんどのバールでも提供されていますし、カフェインが含まれていないので、子どもから大人まで楽しめるコーヒーです。
20) カフェ・ジンセン Caffè al ginseng
活力が得られると言われている高麗人参が少量含まれているコーヒーです。
エスプレッソコーヒーの香りと味わいが強いので、高麗人参はほとんど感じないかもしれません。
思いつくだけでこの20種類、職場のコーヒー休憩などでバールに足を運ぶとそれぞれが口々に注文し、それを紙に控えることもなく記憶して瞬時にさばくバリスタ、無駄のないその動きはイタリアの街の風景ともいえるでしょう。
よろしければ、ほかのコーヒーストーリーもどうぞ。
『イタリア人情劇場とエスプレッソ』|e-ponte.jp (note.com)
『モロッコ・コーヒーって何?』|e-ponte.jp (note.com)
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