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図書室

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俳句に関する書籍の紹介だけでなく、事務局長が出逢った書籍の感想などを思いのままに綴る、個人的な図書室です。好みに偏る傾向があります。
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#芥川賞

宇佐見りん『推し、燃ゆ』

第164回芥川賞受賞の話題作です。私自身、絶賛推し活中ということもあり(笑)、ずっと気にな…

高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』

第167回芥川賞受賞作です。帯の裏面には、 との紹介がありましたが、個人的には、ちゃんと(…

小山田浩子『穴』

第150回 芥川龍之介賞作品です。 まさに、私自身までもが穴におちてしまったような……不思議…

石原慎太郎『太陽の季節』

文芸評論家・斎藤美奈子さんの『妊娠小説』を読んで以来、ずっと気になっていたのが石原慎太郎…

沼田真佑『影裏』

第157回芥川賞受賞作で、昨年綾野剛✖松田龍平✖大友啓史監督で映画化された作品です。 映画…

中村文則『土の中の子供』

『教団X』がいろんな要素がある小説だったので、どこが中村文則さんの持ち味なのか気になった…

西村賢太『苦役列車』

前々回の備忘録『きことわ』と同時に、第144回芥川賞を受賞した作品です。 第144回芥川賞では、文学界のサラブレッド一家の20代女性・朝吹真理子さんと、中学卒業後日雇い労働で生活してきた40代男性・西村賢太さんという対照的な作者が受賞したことでも話題になりました。二人の特別対談は、shinchoLIVEで、記事や動画として公開されています。 西村賢太さんは、「私小説」作家として執筆をつづけられていて、受賞の前も後も変わらずに、西村賢太さん自身を投影した北町貫多を主人公とし

朝吹真理子『きことわ』

第144回芥川賞受賞作品。タイトルは、二人の主人公の貴子(きこ)と永遠子(とわこ)からと想…

平野啓一郎『日蝕・一月物語』

平野啓一郎さんといえば、『マチネの終わりに』の映画化で話題ですが、ベストセラーの恋愛小説…

今村夏子『むらさきのスカートの女』

第161回芥川賞受賞作。初めての今村夏子さんです。オビには、 とありますが、実際の〈わたし…

川上未映子『乳と卵』

第138回芥川賞受賞作。 川上未映子さんと言えば、最近刊行された長編『夏物語』が話題ですが、…

阪田寛夫『土の器』

前回の大浦みずきさん関連の二冊に続き、今回は父・阪田寛夫さんの『土の器』を。本作は、第72…

羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』

第153回芥川賞受賞作。 辞書的には「スクラップ・アンド・ビルド」とは、「老朽化したり陳腐化…

長嶋有『猛スピードで母は』

芥川賞受賞の表題作と文學界新人賞受賞の「サイドカーに犬」の二編が収録されています。 前者は、小5~6の慎と潔いまでにあっけらかんと真っ直ぐにいきる母との二人の生活。後者は、母の家出をきっかけに始まった小4の薫と父の愛人・洋子さんと共同生活。どちらも小学生ならではの眼差しで見つめる大人の世界と、彼らの成長を描いた作品です。また、どちらも親の離婚や結婚不倫といった背景を持つ作品なのですが、小学生が眺める女性たち(母と愛人)の大胆さやブレないかっこよさも影響しているのでしょう、背