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図書室

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俳句に関する書籍の紹介だけでなく、事務局長が出逢った書籍の感想などを思いのままに綴る、個人的な図書室です。好みに偏る傾向があります。
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記事一覧

志賀直哉『暗夜行路』

高校一年生の『現代の国語』に収録されている「城の崎にて」。授業で扱うたびに、脚注の解説に…

山本文緒『自転しながら公転する』

年末に放送された松本穂香×藤原季節のスペシャルドラマ『自転しながら公転する』。評判が良い…

せきしろ×又吉直樹『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』

せきしろさんと又吉直樹さんの自由律俳句本2冊。『カキフライが無いなら来なかった』が第一弾…

川上弘美『三度目の恋』

背表紙には、次のように紹介されています。 『伊勢物語』の六段、「鬼一口」で知られる芥川の…

森博嗣『トーマの心臓 Lost heart for Thoma』

萩尾望都さんの『トーマの心臓』が、森博嗣さんによって小説となっていたことを今さらながらに…

ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

すでに続編となる完結編も刊行されている話題の一作目を、やっと手に取りました。新潮社の書籍…

出久根達郎『漱石センセと私』

直木賞作家である出久根達郎さんの『漱石センセと私』。月刊『パンプキン』に連載された「いとしのより江ンジェル」が単行本化、そして文庫化されたものです。 タイトルから、漱石がメインで登場するのかな……と思ったのですが、読んでみると、若い頃の久保より江(俳人・歌人)の物語でした。全体の印象としては、連載時のタイトルの方が、内容に近いのかなと感じましたが、より江と交流していく人々が、漱石との出会いに端を発している、ということでのタイトルの改変だと理解しました。(もちろんキャッチーさ

松浦寿輝『花腐し』

11月10日公開、綾野剛×柄本佑×新井晴彦監督の映画『花腐し』の原作が、第123回芥川賞受賞…

山田詠美『血も涙もある』

まさに、タイトル通りの「血も涙もある」小説でした。新潮社のホームページ紹介には、次のよう…

西加奈子『くもをさがす』

ベストセラーとなっている西加奈子さん初の「ノンフィクション」は、カナダでの乳がんの闘病記…

夏井いつき・奥田瑛二『よもだ俳人子規の艶』

副会長の新刊は、映画監督であり俳優であり画家でもある奥田瑛二さんとの対談本です! 『よも…

井伏鱒二『黒い雨』

本日8月15日は「終戦の日」。日本俳句教育研究会(nhkk)の旧ブログ記事の移行が完了し…

江國滋『俳句とあそぶ法』

1984年に単行本で発売、1987年には文庫化されるなど、昭和の俳句ブームを牽引したといわれる江…

松本侑子『恋の蛍 山崎富栄と太宰治』

第29回新田次郎文学賞受賞作品です。裏表紙には、 と紹介されています。 すさまじい取材に裏打ちされた評伝小説でした。私自身、卒業論文・修士論文で太宰治作品が研究テーマだったこともあり、山崎富栄に関する文献を読んだことはあったのですが、こんなにも生身の彼女を知ることができる書籍があろうとは思ってもいませんでした。そこには、愛されて育ち、英語や聖書を学び、立派な職業婦人となっていきいきと生きる女性がいました。何より、「戦争未亡人」「十二日の新婚生活」という言葉だけでは語ること