【49】自閉症の男の子とお母さんとの出会い
私は、自分の息子が小さい頃は美容師として働いていました。
その美容室に1人の女性の方が来店してくれました。
その女性には自閉症の息子さんがいらっしゃいました。その男の子とお母さんとの出会いを書いていこうと思います。
その女性は、私が働く美容室にお客さまとして来店してくれたのが初めての出会いでした。
この時にお話しして、自閉症の息子S君がいることを知りました。
私がお会いしたとき、S君は小学校低学年でした。
私の息子アッキーは、小学校低学年では日本語がままなりませんでした。
でも、S君の場合は話すことはできていました。
話すことができるということは、私の息子とは大きな違いで、私にはS君が早く道を開いていくイメージが浮かびました。
私が住む地域では、当時の小学校は集団登校が一般的でした。
高学年の子がリーダーになって、集団で登校して学校まで行くことが習慣でした。
S君のお母さんは毎日毎日、S君の登校に付き添ってサポートしてあげていました。S君は、急な変化などが苦手とのでした。いつもと違ったり、思っていたことと違ったりすることでパニックを起こすこともあり、1人での登校などが考えられなかったのだと思います。
私自身が、息子に対して『自信をつけていきながら育っていってほしい』という思いを自分の中にしっかりできてからは、どんな小さなことでも、それを意識することを心がけて接しつづけていました。そして、息子は小学校で過ごしながら経験を重ねて成長した姿を見せ続けてくれていました。
だから、きっとS君にとっても自信をもてる経験が大きな鍵になるんじゃないかと考えていました。
私は話すことができているS君の様子を見ていて、息子よりもより早く社会性を身につけていけるのではないかと考えて、何とか、S君に『自分自身で学校に行くことができた!』、その体験で自信をプレゼントしてあげたいと思っていました。
大きなお世話かなとも思いながら、小学2年生の頃にS君のお母さんに、登校での付き添う方法を変えてみたらどう?と提案してみました。
…答えは、やはり無理。とのことでした。
私の中ではなんで??という気持ちと、母親としていろいろと不安が膨らむ思いもあることも仕方ないということを考えていました。
けれど、不思議と私は諦めることはなくて、何度も提案していました。
提案されるお母さんの方は、私と顔を合わせると「またか…」と感じたことも少なくないと思います。苦笑
でも、私は、S君に『学校に母親が一緒でなくても自分は通学できる』、この経験で自信をもってもらいたかった。
そして、お母さん自身にも『心配だから一緒に行動しなくてはいけない』という思いだけでなく、S君自身の持っている力の可能性も感じてもらいたかったんだと思います。
私は次に、S君に見つからないように隠れてサポートしてみてあげるのはどうかと提案してみました。
やはり心配の方が勝つのだと思います。一つ返事ではいきませんでした。
けれど、私が何度か提案するからか、ある日からお母さんは、S君の通学を隠れて見守ってみることを受け入れてくれました。
その日から数日、お母さんは少し離れたところから見守りながら通学させるという日々を続けてくれました。
そして、S君は一年もたたないうち、同じ年の2学期にはお母さんが付いていかなくても学校に行くことができるようになりました。
数か月でのS君の成長した姿にお母さんも大喜びでした。
そして、私自身もすごく嬉しかったのをついこの間のように思い出します。
S君とお母さんの姿に、息子だけでない自閉症の子どもの成長と可能性を感じられ、励まされた喜ばしい瞬間の思い出の一つです。
健常の子どものことなら、その子の将来のことをいろいろと描くことは楽しい部分が大きくあると思います。
でも、自閉症の子となると心配の方が先立ってしまう。
…私もそうだったから。
自閉症は心配がつきもの。でも、その子を自立させる事に挑戦してあげることも必要。
お母さんがその子の未来を描くことができなかったら、進んでいくことが難しくなってしまうのだと感じます。
この不安や心配を払拭してもらいたいな…と願いながら、このお母さんと私の長いお付き合いが始まりました。
今回は、同じように自閉症の子育てをされているお母さんとS君との出会いと私自身も励まされたエピソードについて書いてみました。
今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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