見出し画像

(Coldplay×BTS)ミュージシャン視点で紐解くK-POPサウンド

どうも、音楽のやり過ぎで破産しかけた過去を持つ天才ジュエラーです。

さて、先日発表され話題沸騰中の「Coldplay × BTS」から、韓国音楽のサウンド事情についてつらつら語ろうと思います。

序章


今や世界的なムーブメントとなっているK-POP。
そのなかでもBTSによるワールドワイドな快進撃が繰り広げられています。
そしてついにイギリスのモンスターバンドのひとつ、「Coldplay」とのコラボレーションも発表され音楽業界に激震が走りました。

オールドスクールに例えるなら、「加山雄三がジャニス・ジョップリンとデュエット曲を出す!」です。


話逸れましたが、韓国発の音楽が世界的にもスタンダードとなる予感さえしてきました。

演奏屋から見たJ-POPとK-POP



どんか音楽にしろ、リスペクトを持って聴くスタンスを忘れないようにしています。
最近の日本のミュージシャン、特にneosoul、jazzに影響された方々のセンスの良さは目を見張るものがあります。

それでも、
「日本にはコスト削減ドラムが溢れている。」
と感じることが多いです。


ドラムをやってない人でも、トラック(各楽器の録音テイク)を作ることが容易になった背景もあるかもしれません。
つまり、鍵盤しか出来ない人でも音楽ソフトを上手に使えば、1人で1曲まるごと仕上げられるのです。

しかし、ドラムをやってる者からしたら「これドラム叩けない人がトラック作ってるだろ」ってすぐわかります。

それは、「音」であったり、リズムパターンであったり、曲の中での展開の仕方であったり…
言葉にするのは難しいですが、経験者なら誰しも感じるモノがあります。
ちなみに、自分はそれを「歌心」って呼んでます。


たとえ誰もが知ってる大手レーベルであっても、
「これすごーくいい曲だけど、ドラムのトラックは歌心ないなあ…」で溢れ返っています。


先日ふと下北沢の古着屋に立ち寄った時、お洒落なCityPop(なんかお洒落っぽい曲調のやつ)がひたすらに流れていたので、いつもの如くスマホで調べました。

それがすべて韓国発の音楽であることが判明しました。

その中で1曲ご紹介します。

보통연애 (Ordinary love) /박경 (Kyung Park)
邦題「普通の恋愛」パク・キョン


いかがでしょう。

イントロでギターがフラットにリズムを刻むなか、鍵盤のリズムが跳ねていたり
サビ前、ドラムの手数減らして、鍵盤が白玉でコードを押さえる時(ぴゃーーんって延ばして弾くやつ)、メロディが一瞬だけスウィングしたり

リズムの緩急とアンサンブル、滅茶苦茶計算されてませんか?

そして何よりドラムが素晴らしいです。
ハイハットの歌心ときたら…

箇条書きします。

①音がかっこいい
アメリカのR&Bとかでも通用するような音。途中一瞬出てくる変なタムみたいな音以外は好き。

②リズムパターンがcool
少しトラップっぽいハイハットの刻み方だったり、Aメロでボーカルのメロディとシンクロさせるときのクレッシェンドの仕方だったり、歌心ありあり。

③リズムの緩急
普通に叩いてるように聴こえるかもしれないが、Aメロの"裏拍"意識したような叩き方からの、サビでは拍の"表"でノリを出してビートを強めたり、
すごく引き出しの多いプレイをしている。
しっかり緩急をつけて、曲をドラマティックに演出している。

ギターのオブリ(メロディの裏で弾いてるピロピロ)もオールドスクールでかっこいいですし。


韓国発の文化が日本を席巻する昨今において、
「韓国料理美味しいなぁ」くらいしか接点のなかった自分ですが、韓国音楽の緻密な音作りには驚かされました。

演奏屋から見たBTSの音楽



うら若きアーリーティーンの時分には、「funkしてない音楽は音楽じゃないやい!」って、思春期らしく反抗MAXな思想を持っていた自分。
今は決してそんなことありませんが、それほどfunkに心酔してきました。

そんな自分でも、BTSの「Dynamite」を初めて聴いた時、「ちゃんとfunkしてる…」と舌を巻きました。
ドラムのトラックにケチつけようがないのです。
「たしかに世界に通じる音作りしている」とも感じました。

そりゃ「funk度」で言ったらジョージ・クリントン(funkの偉い人)には全然敵いませんがね。ちゃんとfunkしているんです。

ファンキー加藤を筆頭に、「funkと銘打っているがfunkじゃないやい!」が溢れる一方、BTSはドラムの音にしても、ギターのカッティングにしても、少し前ノリな鍵盤にしても、全く手を抜くことなくFunk and Soulしているのです。

コスト削減することなく、ちゃんと各楽器のスペシャリストたちが美学を持って楽曲のサウンド面を作り上げているのでしょう。
ここまでの仕上がりなら、あとは好みの問題です。

耳の肥えたリスナーが聴いてもケチのつかないサウンド作りをしているからこそ、「My Universe」で世界的なコラボレーションに繋がったのではないでしょうか。


現在、日本には素晴らしいミュージシャンがたくさんいます。
セッション界隈で化け物みたいな巧さを持った人たちも、表の音楽シーンで活躍し始めています。

そんな人たちを筆頭に、「コスト削減トラック」ではなく、メジャーシーンにおいても引き続きかっこいい音楽で溢れかえらせて欲しいと思います。

総括

ジョージ・クリントンは色んな意味でやばすごい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?