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英国のナチュラルライフ:休日編

こんにちは、英国ホメオパスのmadokaです。

新緑の美しい季節になりましたね。
木々の若葉の色と空の青や雲の白といった色彩のコントラストに心奪われ、「室内にいるのはもったいない!」と、外にいる時間を増やしていきたい時期でもあります。
そんな時期にぴったりなウォーキングやピクニックといった、お金を使わず楽しむことのできる英国流の休日の過ごし方についてお話ししたいと思います。

サウスダウンズの丘から向こうの丘をみた風景。
向こうの丘との間の少し屋根が見える集落に住んでいました。

ザ・イギリスの環境と風景

私が一番長く住んでいた所はサウスダウンズという丘陵地でした。
ここは丘が連なる風景が広がり、古い建物もたくさん残り歴史を感じられる、イギリス人が憧れる昔ながらの「ザ・イギリス」が見られると休暇に訪れるとても美しい地域です。
大きなお屋敷と領地が隣同士で次々と続いていることから、森や牧場が開発されずに済んだことが、昔ながらの変わらぬ美しい風景を残すことができた要因だったと聞きました。

ヘンリー・ムーアやダリのパトロン、エドワード・ジェイムスが住んでいたウエスト・ディーン。
今は建物は伝統芸術を継承するための学校に、お庭は一般公開され人気スポットになっています。

私がお庭の御仕事をお手伝いしていたのは、ウェスト・ディーン・ガーデンズでした。
お屋敷に付随する土地には、酪農やヒツジの牧場があったり、木を育てるための森があったり、お野菜や果物、家で飾る植物を育てるお庭があったりと、自給自足ができる環境が揃っているのが特徴でもあります。
私はガーデナーでしたが、森を守るフォレスター、森の動物を管理するゲームキーパー、ヒツジのお世話をするシェパードなど、そして屋敷内にはお掃除などをするメイド、お料理をするクックなど多くの職業の方がお屋敷の使用人(今風にいうと従業員やテナント)として働いています。

丘陵地帯を南側へ下ると海があるため、丘の高いところに行くと海が望めます。
その海の向こうはフランスのブルターニュ地方があり、高速フェリーであれば3時間ほどで映画の舞台にもなったシェルブールへ、車と一緒に一晩かけて城壁に囲まれた小さな町のカーンに行くこともできました。

初体験!な英国での休日

人よりもヒツジの方が多いような田舎の村から、お買い物をしたり、映画を見たりできる近くの小さな町へ行くには丘を超えて車で20分ほどかかります。
もう少し大きな町のブライトンやポーツマスへはその倍くらいの時間が必要でした。

私がイギリスに住んでいた頃は、インターネットはあったけれど、今みたいに動画配信などはまだなく、Netflixなどといった便利なエンタメもない時代。
そんな時代のカントリーサイドでの生活での楽しみといえば、季節ごとに開催される村でのコミュニティーイベントや家族や友達が集まって食事会やBBQをしたり、お茶会をしたりすることでした。お食事の前後には、自然豊かな地域ならではの丘や海辺に歩きにいくこともよくありました。サンドイッチやパイを持って歩きにいった先でピクニックをすることも。
さらには、パブに寄ってビールで喉の渇きを潤すこともありました。
これは英国文化としては、何百年も変わらない娯楽でもありました。

友達と会うといえば、レストランやカフェに行くのが当たり前だった東京生活とは一変、驚きと喜び、楽しみでいっぱいで、しかもお金が貯まる一方だった頃の休日の過ごし方は「夢のようだったなぁ」と思いながらこの記事を書いています。

3家族そろってフットパスを歩きに行きました。
森を抜け、金色に輝く麦畑を抜け、また森へ。

カントリーサイドウォーク

イギリスには網の目のように誰かの持ち物あっても、牧草地や畑を横切って歩ける権利があるパブリックフットパス(Public Footpath)という歩道があります。
距離にして英国全体で225000km以上あるそうです。
19世紀の終わりに、もともと住民が共有地として利用していた日本の里山のような存在であるコモンズ(commons)が産業革命の頃から起こった囲い込み(enclosure)で失われ、住民達が権利を求めたことから始まりました。私が働いていたナショナル・トラストの発生とも深く関わっている出来事です。
昔から地元の人が通っている道を歩く権利から始まったものではありますが、その権利が今でもなお、英国国民に広く愛される余暇を過ごす楽しみの一つとなっています。
ホリデイ(Holiday. アメリカではバケーション:長期休暇)といえば海外旅行と思う方もいるかもしれませんが、イギリスでは、私たちが住んでいたような地域に数週間コテージを借りてウォーキングを楽しむ人も少なくありません。
運よく私たちはそんな美しい、イギリス人の憧れる風景の中に住んでいたこともあり、休みの日はご近所のフットパスを歩きに行くのが定番のお楽しみでもありました。

スイセンが咲くウィンザーのサビルガーデン

春から初夏には太古の森では野生のスノードロップに始まり、スイセン、ブルーベル、ワイルドガーリックと白から黄色、青とカーペットのように地面の色が変わっていきます。その後は森の外のフィールドの色が菜の花の黄色、コーンフラワーの青、麦の金色などとパッチワークのようにな景色が変化していきとても綺麗です。

ランチやディナーで食べる野菜やお肉をカセロールや無水鍋に入れてオーブンにセットして数時間歩いて帰ってくると、ちょうどお料理が出来上がっている計算をして出かけることもありました。
ただし、日本の電気のオーブンレンジのように、タイマーで火が止まるオーブンは稀な英国では、これで火事を起こしたことがあるお友達もいたので注意が必要です!

ピクニックを持って外に出よう!

外で食べるご飯って何かが違いますよね?
いつもと同じサンドイッチでも、おむすびでも、ワンランクアップした美味しさを感じます。

ロンドン市内の外側の住宅街にある公園の風景。
街中でも、カントリーサイドでも、ピクニックをしている人がたくさんいます。

イギリスでのピクニックといえば、ブランケット(毛布のような分厚い生地)を敷いて、籐籠に入ったハンパーと呼ばれるピクニックセット(重いのになぜか陶器のお皿やガラスのコップを持っていく昔ながらのスタイルがみんな好き)を持って出かけます。
メニューはサンドイッチ、パイやパスティーと呼ばれる小麦で作った生地でお肉などの具材を包んで焼いたもの、スコッチエッグ、キッシュなどがよく登場します。
そして忘れてはいけないデザートのケーキが定番です。
飲み物はワインやシャンパンの時もありますが、いつでもたいていはミルクティーが水筒に入っています。場合によってはティーポットを持って出かける場合も。
その場合は、水筒の中はお湯になります。

でも、そんなに気取る必要はありません。
家にあるパンでサンドイッチを作って、りんごと一緒にリュックサックにポンと入れていくこともあります。スティック野菜とディップと、ミックスナッツを持っていくこともありました。
手間をかけたくないなら、チーズとクラッカーと果物だけでも十分なのがイギリス流。それでも私たち日本人にとってはなんだかおしゃれな感じです。
お弁当というと、おむすびと唐揚げと卵焼きと、、、と色々考えてしまう日本人の悪い癖が出てしまいますが、イギリス人のお弁当はとってもシンプル。

イギリス人の生活を真似すると、気が楽になることがいっぱいです!

日本でもやってみよう!

日本に帰ってきた頃、私は室内にいるのが苦手で誰もいない公園や庭園でよくお昼を食べたり、休憩をしたりしていました。この頃はお花見の時以外に外で人が集まっているのはあまり見たことがなかったのですが、コロナが流行った頃から、ピクニックなどしている人が増えてきましたね。

「お金がないから遊べない」と引きこもってしまうお友達もいました。
そんな時こそ、英国流の余暇の過ごし方で、自然の中に身を置いたり、人と一緒にお話ししたりしてほしいとピクニックを企画したこともあります。

心を豊かにすることは、もちろんお金があればできることも多いかもしれませんが、素晴らしい自然を感じたり、友達と信頼関係を結んだり、思い出を作ったりとお金では買えない「何か」をたくさん得られる時間の過ごし方もあるということを思い出してほしいです。
小学生の頃、ランドセルを玄関に投げ入れて「遊んでくる!」と目的もなく外に出かけ、楽しい時間を過ごした方も少なくないと思います。
大人になっても、みんなで集まるだけでも、1人で外に出かけるだけでも、きっと素敵な時間が創造できるのではないでしょうか?

外で過ごすと、自然とつながることができます。
自然とともにいると、アイディアや答えがもらえたり、体の不調がなくなったり、気持ちが晴れやかになったり。

年に何回か近所の河原でピクニック
スピーカーでガンガン音楽をかけてサルサやバチャータをみんなでおどります
私はPCやノート、本を持って出かけて、この河川敷をリモートオフィスがわりにしています

サルサが踊れるようになった今、今までは食べて飲んで話すだけだったのが、ダンスが加わり、ピクニックがさらに楽しくなりました。
スマホで音楽を流せばすぐに踊れるし、キューバや南米ではきっと楽器を持ち寄って奏でたりもしているんだろうと想像します。
イギリスでも、ヨーロッパでも、道や広場で誰かが演奏していると、人だかりができて踊り出す人もいたのを思い出します。
サルサの中にはルエダという二人組で交代しながら踊るフォークダンスのようなものがあり、公園で踊っていると外国の方が「いれて!」と声をかけてくれて、曲の合間にお話しもできて、誰とでも仲良くなれる魔法のダンス。
世界でサルサを踊れる人は英語を話す人口よりも多いというのもうなづけます。
言語ができなくても、世界中の人とお友達になれる。これが私がサルサを始めた理由のひとつです。

春から初夏、そして秋までのアウトドアが楽しめる日本での豊かな時間をお過ごし下さい!


私を耕しながらココロとカラダを健康に導き、美しい花を咲かせましょう!
ナチュラルライフガーデナー Madoka