【ブックレビュー】 猫たちの色メガネ
浅生鴨さんの「猫たちの色メガネ」という短編集を読んでいます。
浅生鴨さんといえば、NHK の公式 Twitter アカウント「@NHK_PR」の中の人第一号として有名になられた方です。
東日本大震災のときに NHK の番組が無断でネット配信されているのを、独断にて Twitter で情報拡散してしまったとして、物議を醸しました。
「今は何よりも、どんな方法であれ、情報を求める人たちに伝えることが大事だ」との判断だったとしています。その覚悟と潔さがカッコいいと多くの支持を集めました。
そのあたりの経緯については、「中の人などいない@NHK広報のツイートはなぜユルい(NHK_PR1号)」に書かれているので読まれてみるとよいかと思います。私自身、このときのことが書かれている本や記事などを読むと、今でも涙が止まらなくなります。
普段の @NHK_PR さんのツイートというと、まあ、本当に「ユルい」のです。現在、様々な企業が公式アカウントを持ち、それを単なる宣伝に利用するのだけではなく、中の人のパーソナリティを出しながら、「フォロワーと会話をするようにつながっていく」というやり方が広まったのは、NHK_PR 1号さんがきっかけであったと言っても過言ではないでしょう。著書のタイトルにもなっている「中の人などいない」という名言(?)も、ツイートがきっかけで生まれたんですよね。
そんな NHK_PR1号さんは、2014年に NHK を退職され、「浅生鴨」さんのペンネームで作家をされています。その最新刊が2017年9月に出版された「猫たちの色メガネ」になります。まあ、この本、 Twitter で見る鴨さんらしい変態っぷりでほんと面白いんですよね(笑)
私もいつも思うのです。
私たちは私たちのメガネを通して世界を見ている、と。
では、もし私たちが別のメガネをかけて世界を見たとしたなら。
それはとても滑稽で狂気でちょっと奇妙な世界なのかもしれません。
でもきっと…そこにはたくさんの形の「幸せ」があるのではないかと思うのです。
「小説とはこれでいいのだ」
そんなことを思わせてくれる短編集です。
まあ、ほんとにくだらない(と言ったら失礼だけど・笑)ので、笑いながら、でもちょっと考えさせられてしまうような、そんな不思議な感覚を楽しみながら読んでいます。
浅生鴨さんとの出会いに感謝ですね。
ちなみに、浅生鴨さんのペンネームは、「あ、そうかも」が口癖だったから、とおっしゃっています(笑)
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?