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選択肢の作り方とミッシー


こんにちは!
今日は選択肢について、少しお話しします!

アンケート調査票の設問設計における基本は、回答者が自分の考えや意見を正しく選択できるようにすることです。
その際に留意すべきは、選択肢をMECE(ミッシー: Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)にすることです。
「モレなく、ダブりなく」を意味します。

例えば、日常的に購入している飲料を行く場合、選択肢を「コーヒー」「紅茶」「緑茶」の3択とすると、「ジュース」や「炭酸飲料」、「乳性飲料」などが回答選択肢からもれてしまいます。
さらに「コーヒーも紅茶も同じ程度によく飲む」という場合は、選択を1つに限定すると、ダブりとなり回答者がどちらを選んでいいかわからず調査結果に偏りが生じます。

その他によくあるのが期間に関する設問で、例えば、「最後に来店したのはいつ頃ですか?」という設問に対し、

  • 1ヶ月以内

  • 2ヶ月以内

  • 3ヶ月以内

何が問題なのでしょうか?
そうです、「1ヶ月以内」は「2ヶ月以内」の中に含まれるためダブりが生じてしますます。
そのため「未満」や「以上」などの表現を使うと解決します。

このように、選択肢は漏れなく、ダブりなく提示することが基本となります。選択肢が網羅的に示すことか困難な場合には、その他を設定して、具体的に記載を求める方法が良く採用されます。

二項目選択式か多項目選択式回答か

そのようなことから選択肢を検討する際には、MECEであることが基本です。そのためには選択肢を網羅することの他、
・複数の選択の可能性
・「A」か「B」のどちらかを二者択一でたずねる二項目単一選択式の可能性
・複数の選択肢をからあてはまるもの全てを複数以上選択できる多項目複数選択式回答の可能性
・単一回答の可能性
というように、回答方法の様々な可能性を検討しましょう。

回答にブレが生じないような設計

例えば、「いつも」「最近」といった表現は、回答者によってどれくらいの程度を意味するのかが異なるため、アンケートでは正確な結果が得られない可能性があります。例えば、頻度や期間を聞きたい場合は、「週に1回以上」や「毎日」など、全ての回答者が同一の基準で選択できるように設計することが基本です。

  • 週3~4日

  • 週1~2日

  • 月に2~3日程度

  • 月に1日程度

  • 数か月に1日程度

イエステンデンシーの回避

例えば、「本日火災されたセミナーは参考になりましたか?」という設問に対して、以下のように二項目単一選択式の選択肢を提示したとします。

  • 参考になった

  • 参考にならなかった

一見すると、選択肢はMECEで問題ないように思われますが、このような場合には、回答者は肯定的な選択肢を選ぶ傾向にあり、「参考になった」が多く選ばれる傾向があります。
これは心理学的にも証明されている「イエステンデンシー」と呼ばれる潜在的意識の傾向が働くためです。そのため、2択ではなく他の選択肢を用意することが適当です。例えば、以下のようにすることで回避できます。

とても参考になった

  • 参考になった

  • どちらでもない

  • 参考にならなかった

  • まったく参考にならなかった

自由記述は限定的に

アンケート調査では回答者に対して生の声や自由な意見をうかがう、自由記述があります。しかし自由記述は一段的に定量的に集計することが困難なことや、設問の意図が正確に伝わらない場合は参考にならない情報になる可能性があることから、限定的にすることが基本です。
まず、選択肢化できないのかを優先的に検討して、それが困難な場合にのみ限定します。

一般的には、選択肢のうちの「その他」を回答した方に対して具体的な記載を求める場合や、アンケート調査の最後に自由意見や要望などを求める場合に限定します。選択した理由を問う場合に自由記述を求める場合もありますが、その場合は基本的には選択肢化が望ましいです。

なお、ネットモニター調査では各回答については選択肢を先駆しないと前に進めない設計にしているため、自由記述の記載を必須とした場合には、意味のない回答、例えば「あああ」のような回答が多く収集されてしまうことが懸念されます。その場合、正当な回答として取り扱うかどうかの判断の他、その他の回答も含めて誠意ある回答であるのか、疑念が生じます。
自由記述の不適切な記載や、選択肢を全て「1」とするような場合は、バットデータとしてサンプルから除外することもあります。

トラップ設問と回答の品質管理

トラップ設問とは、回答者が正しく設問を読んで回答しているかを確認するために配置される、本調査の設問とは異なる問いを意味します。

例えば「以下の質問には回答せずに(つまり、どの選択肢もクリックせずに)、次のページに進んでください。」という教示が表示され、その下には選択肢が3つ。
回答者がもし質問をきちんと読んでいれば、これらの質問に対して回答を選択せずに、次のページへ進みます。
しかし、もし設問を読まずに回答を選択したら、この回答者はきちんと設問を読んでいないことになります。
このような回答者を見つけるのが、トラップ設問です。

その他には、実際にはあり得ない選択肢を入れ、その中に正しい選択肢を挿入するなどの方法があります。
例えば「あなたは日本国内でどこに行ったことがありますか」という問いに対して、以下のような表示をして、正しい選択肢を選んでいる回答者なのかを確認します。

1.アメリカ
2.イギリス
3.タイ
4.北海道
5.イタリア
6.フランス
7.沖縄
8.シンガポール
9.選択肢にはない

トラップ設問は書面調査の他、ネットモニター調査会社でも設置することがあります。特にネットモニター調査は回答に対する報酬がインセンティブになっており、それを目当てにして誠実に回答しない層が一定割合いることは事実であるという点で、トラップ設問を設定することに合理性はあると言えます。ただし、ネットモニター調査の多くでトラップ設問を設定しているかというとそうではありません。ネットモニター調査が広く普及して定着した現在、多くのモニターはボランタリーの回答協力が多い書面調査と同様に、誠意をもって自身のことを回答している方が多数で、トラップ設問を設定することはむしろ稀です。

一般にネットモニター調査の場合、技術を活用して不正回答を炙り出すという方法が主流です。一つは回答時間です。不誠実の回答者は設問や選択肢を読まずに回答することが通例であることに着目して、想定される回答時間や調査時間の平均の一定割合以下での回答者を不適切と判断して除外することも可能です。また特定の選択肢に著しく偏っている回答を除外する方法もあります。例えばすべての選択肢を1と回答することなどです。

ネットモニター調査の場合には、トラップ設問を設定する際には、本問の中ではなく、スクリーニング設問において配置することが適当です。
仮に本問に挿入すると、求められている調査内容に関係がない設問によって回答者の思考を混乱させる場合や、回答後半などに配置すると回答者が疲れていてそれまでは正確に回答していた人であっても、意味が分からず適当に回答して、結果として不正回答として排除してしまう場合があるからです。

なおその他には、トラップ設問を設定することそのものが回答者にとって、自身を試されているかのような印象を付与して心理的に抵抗感をもたらし、回答に非協力的姿勢を導くということも懸念されます。

そのようなことからネットモニター調査においては、トラップ設問を設定することの要否、そして設置する場合の場所、内容についての十分な検討と吟味が必要です。

アンケート調査を始めたい方、ぜひ一度Dynataにご連絡ください。

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